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人工知能時代の雇用のあり方(3):Deloitte Review issue 21

逆転の発想力 Tom Friedmanがジョブ、ラーニング、労働の未来について語る

人工知能やロボットが普及する世の中において、会社はプラットフォーム化していくとともに、生涯にわたるラーニングのためのツールとリソースを提供し続けることになる。一方、雇用される側には熱意と好奇心を持ち、生涯学び続け、常に起業家のように考えることが求められる。著名コラムニストのTom Friedmanがデロイトメンバーとの対談の中でジョブ、ラーニング、労働の未来について考えを述べる。

序文 — John Hagel(Co-Chairman, Deloitte Center for the Edge)

Tom Friedmanは、ピューリッツァー賞受賞歴のある高名なコラムニストで、ニューヨーク・タイムズにも毎週コラムを寄稿し、7冊のベストセラーの著者でもあります。彼の洞察力溢れる著作は、グローバル化、中東、環境問題等、幅広い分野をカバーしています。私はTomの、見出しの奥に隠されている真相を見抜く力や、世界が向かっている方向を予見する鋭い洞察力にいつも感嘆させられています。彼は物事を安易に分類したり、型にはめて考えたりしないようにいつも気をつけています。彼の興味は、ますます複雑化するこの世界の発展を形作る「コネクション」にあります。

もう何年も前のことですが、私がTomに惹かれたきっかけとなったのは、彼の新興分野への興味でした。当時はまだ周辺分野でしかありませんでしたが、将来的にデジタルテクノロジーの発展によって開かれた市場になる可能性を秘めていた分野で、彼はそれを探索し、理解しようとしていました。私たちはそれぞれ、デジタルテクノロジーのインフラストラクチャーの発展や、高まるグローバル規模の情報の流動性への造詣の重要性など、同じ分野についての著作を重ね、それを機に以来連絡をとりあう仲となっています。

Tomの最新著作『Thank You for Being Late: An Optimist’s Guide to Thriving in the Age of Accelerations.』刊行にあたり、私たちの軌跡は再び重なり合うこととなりました。この著書の中で、彼はDeloitte Center for the Edgeでの研究について言及しており、私や他のDeloitteの同僚が探求していたトピックについても議論を展開しています。「労働の未来」についてです。ぜひともTomには、Deloitte USのCEOであるCathy Engelbertや私と、このトピックについて議論を交わしてほしく、私はトムに対談をもちかけました。私たちとトムの議論は様々な領域を跨ぐものとなり、彼らしく、これらの様々なトレンドは説得力のある話し口で生き生きと語られることとなりました。

 

John Hagel: 世界の様々な出来事に対して深い造詣をお持ちかと思いますが、将来的にグローバル規模で「労働の未来」がどのようになるかについても独特なお考えをお持ちかと思います。大局的には、「労働の未来」はどんな形になるとお考えですか。

Tom Friedman: 「労働の未来」に対する私の考えは、友人でありビジネス・ストラテジストのHeather McGowanの影響を受けています。彼女によると、労働はジョブから切り離され、ジョブと労働は会社から切り離され、会社はプラットフォーム化していくということです。これはHeatherの意見ですが、私自身もそうなるだろうと思っています。

良い例が、タクシー業界で起こったことです。Bethesdaには地元のタクシー会社があり、その会社は車両と従業員を有しています。従業員にはジョブがあり、彼らが車両を運転します。今や彼らの競合はUberです。Uberには従業員も車両もありません。Uberが提供するのはプラットフォームのみ。車が必要な人、自分、そして車を提供する人をつなぐプラットフォームです。そしてこのUberのプラットフォームモデルこそが、ジョブが利益を生み出す労働に転換されるモデルであり、「労働の未来」なのだと思います。

そしてこれはラーニングの未来にも多大な影響を与えることになります。なぜなら、もしジョブから労働が抽出され、会社からはジョブも労働も抽出されることとなれば、あなたも私も著書に記したように、流動化の時代にあたっては、生涯にわたるラーニングが必要になってくるでしょう。ジョブが労働となり、会社がプラットフォームとなった場合、ラーニングのツールとリソースの両方を生涯のラーニングのために提供しなくてはならないのです。

なので「労働の未来」そのものは、はっきりとはわかりませんが、確かなのは、会社は将来的には人々を雇い、まだ発明されていないジョブに備え従業員を常にトレーニングしなくてはならなくなるということです。もし会社が生涯にわたるラーニングのためのリソースや機会を与えなかった場合、会社は潰れます。また、生涯にわたってラーニングする気が無い従業員も、生涯雇い続けてもらえることはないのです。もうすでに存在するジョブのために従業員をトレーニングしても、あるいはすでに存在するジョブに就くために学校に行ったとしても、将来困ることになるでしょう。

Cathy Engelbert: 私は常々、なぜ「未来の労働」でなく「労働の未来」なんだろうと思っていました。「労働の未来」ってなんだか響きが不吉な感じがしまして。それに対して「未来の労働」とするとより明るい感じに聞こえますよね。それでは、「未来の労働」に備えるために、我々のような企業のリーダーにはどのようなアドバイスをしますか?

TF:  まず考えられるのは、これは私がアメリカ全体に対して思っていることでもありますが、できるだけ直感的でないことをやるべきだということです。すなわち、ますます流動性の高くなるこの世の中で、しかも流動性が利益を生み出す戦略的アドバンテージの源であり、且つ流動性のスピードがどんどん速くなりつつある、これらはすべてJohn Hagelが書いていることでもあるのですが、 そのような中で第一に重要なのは、「逆転発想力」だと思います。現時点ではかなり強引に見えるかもしれません。あまりに直感に反するように思えますし、いくら「逆転的に考えたい」と思っても、どうしてもみんな壁を作ってしまいます。なぜ「逆転発想力」が必要なのでしょうか。それはより多くの「流れ」を得るためです。まずはなんらかの兆候に気づき、それによって「流れ」に敏感な人々を惹きつけます。高IQリスクテイカーと私が呼ぶ人々です。これは国レベルの視点で見た場合ですが、企業レベルの視点で見た場合も同様だと思います。出来得る限りたくさんの議論、たくさんの場所、そして流れを作り出すたくさんの人々に突っ込んでいくべきなのです。そうすることにより、「兆候」を先に得ることができ、「未来の労働」がどこからやってくるのかの理解につながるのです。

【中略】 全文はPDFファイルをご参照ください

[PDF: 3.3MB]

以下文中より抜粋

“ビル・クリントンが言っていたような、毎日出勤して、一生懸命働いて、ルールに従ってさえいれば、高給取りのホワイトカラーでいられるなんて日々は終わったのです。”
 

“高PQ(熱意指数)と高CQ(好奇心指数)の若い従業員を紹介してくれたら、私はいつでも高IQの方とリプレイスします。”
 

“最もうまくやっている会社というのは、「STEMpathy」なジョブを作り出しているところだと思います。科学(science)、テクノロジー(technology)、エンジニアリング(engineering)、数学(math)、そして他の人間とつながるための共感力(empathy)を組み合わせたジョブです。”

英語原文はこちらをご覧ください
Radically open: Tom Friedman on jobs, learning, and the future of work(Deloitte Review, issue 21)

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