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確定申告時に改めて確認:コロナ禍における海外赴任者の税務上の取扱いFAQ

グローバルモビリティ~国際税務~ 2021年2月

2月となり、確定申告書提出の開始時期となりました。2019年分の確定申告は新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)により異例の措置として申告期限が延長されましたが、2020年分の確定申告も同様に、2021年4月15日に申告期限が延長されることとなりました(本稿執筆時2月4日時点)。COVID-19による海外赴任者の一時退避についての取扱いは、国税庁ホームページのFAQで周知されていることから、国外払い給与などに課税漏れがある場合、原則通り指摘がされる可能性が高いと考えられるため、今一度状況の整理と正確な申告納税を行うことが求められます。本稿では、COVID-19に関連して見落とされがちな納税対応と、税コストを抑えるための二重課税の排除についてQ&A形式でまとめてみました。

<各Q&Aの前提>
COVID-19が全世界的に拡大していることから、日本法人からの指示で海外赴任者を日本に一時退避させています。なお、退避者の出向先国は日本との租税条約が締結されている国となります。また、出向者の給与については全額出向先法人の負担となっています。

  1. 見落とされがちな納税対応

    (1) 一時退避者の183日ルールの判定方法

    Q1:2019年中に日本への出張が多かった海外赴任者が2020年中に日本へ一時帰国をしていました。2020年については日本での滞在日数が183日を超えていたため日本において課税処理を行う予定でしたが、2019年は183日未満だったため日本で課税処理を行っていません。2019年についても日本で課税が生じる可能性はありますか? なお、日本と赴任先国との間には租税条約が締結されていることは確認しています。また、一時帰国期間が1年を超えることは現時点で想定していません。

    A1:赴任先国と締結している租税条約の内容によっては2020年のみならず2019年も日本で課税が生じる可能性があります。その場合は、日本及び赴任先国の双方で課税が生じることとなります。


    (2) 日本で課税が生じた翌年の対応

    Q2
    :Q1のケースにおいて、2020年に日本で課税が生じた赴任者が2021年現在も日本に滞在している場合、2021年の取扱いはどのように考えればよいですか?

    A2:2020年中の滞在日数がすでに183日を超えている場合は、短期滞在者免税の要件を満たさず、日本法人が支給する2021年1月分の給与から源泉徴収を行う必要があります。


  2. 税コスト削減のための二重課税の排除

    (1) 赴任先国での外国税額控除

    Q3:日本への一時退避者に対して発生する日本の所得税は日本法人が負担をしているため、グロスアップ計算を行っています。日本でグロスアップした所得税については現地で対応が必要でしょうか。また、日本での納税額が多額になっているため、赴任先国で二重課税の排除を行い、税コストを下げたいのですが、どのようなことが必要でしょうか?

    A3:赴任先国での二重課税排除にかかる制度の確認、赴任先国へ日本法人が負担した納税額などの情報共有が必要となります。


    (2) 日本での滞在期間が1年を超える場合

    Q4
    :COVID-19の影響により、2020年に帰国後1年以上日本へ滞在することが想定される対象者が出てきました。このケースにおいて、税務コストの観点から事前に検討しておくべき点があれば教えてください。

    A4:日本に1年以上滞在する場合、日本の税法上居住者として扱われ、全世界所得課税となります。現地で更に課税が出ないように日本への帰任の検討や、現地支給のベネフィットなどの切替をお勧めします。


    (3) 日本での一時退避中に住民登録をした場合

    Q5:COVID-19に伴い、日本に一時退避している赴任者の中に住民登録をした対象者がいますが、どのような影響が考えられますか?一時退避の期間は1年以内の予定です。

    A5:2020年中に住民登録をした場合には、2021年度の住民税が賦課課税される可能性があります。
 

各Q&Aのより詳しい解説はPDFよりご確認ください。

 

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

(981KB,PDF)

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