御用聞きからパートナーへの進化

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御用聞きからパートナーへの進化

ドキュメント 人事部変革プロジェクト ~企業価値向上に貢献する組織への進化を追う~ 第6回

本連載では、架空の会社・尾張マシナリー社を舞台にストーリーを追い、解説編でポイントを取り上げていく。第6回となる今回は、ビジネスパートナーの提言ワークショップをきっかけに立ち上がった分科会が、どのように課題解決に向かっていったのか追いながら、改革を進めるうえでの社外知見の活用、およびビジネスパートナーの課題解決力強化に向けた研修について解説する。(人事・組織コンサルティング ニュースレター Initiative Vol.98)

《ストーリー編》

事例 : 尾張マシナリー(機械メーカー)
登場人物 :
瀬戸…人事部次長、HRBPの立ち上げを担う人事部改革のプロジェクトリーダー
松尾…HRBP(購買本部担当)
最上…外部コンサルタントのリーダー
大野…外部コンサルタントのHRBP担当リーダー 

前回までのあらすじ

ビジネスパートナー活動を始めて3ヵ月が経過した。ビジネスパートナーは、本部から聞いた問題点を解決するための、本部別人材マネジメント計画を作成した。計画を読んだ尾張マシナリーのリーダーの瀬戸は、「本部固有の要望に応えるのは大事だが、より根本的・全社的な課題解決にも取り組めないか」と考えるようになった。瀬戸から相談を受けた外部コンサルタントの大野は、ビジネスパートナー同士が問題意識を共有し、解くべき課題を見出すためのワークショップを提案する。そしてワークショップ当日。ビジネスパートナーから提起された課題を全社的に解決していくため、3つの改革分科会を組成することが決定した。 

 

改革分科会の船出~それぞれの分科会が直面した壁~

ビジネスパートナーによる提言ワークショップでは、人材不足に悩む各職場の状況が共有された。そして、 1日をかけたグループ討議・全体討議を経て、課題解決に向けて、 3つの分科会を立ち上げることとなった。

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【適材適所分科会】
人材情報を収集・更新・検索する仕組みを整え、適材適所やOJTの最適化を目指す

【採用強化分科会】
安定的な人材調達のため、求める人材像の明確化や採用ルート・プロセスの見直しを行う

【人事制度分科会】
内向きで、人材育成への関心が低い組織風土や人の動きを変える仕組みを作りだす

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プロジェクトリーダーの有田は、分科会のリーダーに人事本部の部長・課長クラスを起用した。また、ビジネスパートナーを含む尾張マシナリー社員・外部コンサルタントの双方から、分科会メンバーを選定した。内向きで、施策をやりきる力が弱い尾張マシナリーにとっては、外部コンサルタントの知見活用や、改革を“やりきる”ための伴走体制が必要と考えたからだ。 

こうしてスタートした分科会が、どのように課題解決に向かっていったのか、少し追ってみることにしよう。

 
【適材適所分科会の場合】

この分科会では、「今の社員の能力・スキル・経験に関する情報が断片的」という状況に直面していた。 

尾張マシナリーでは、中長期的キャリア開発支援のため、本人のキャリア上の目標やこれまでの経験・培ったスキル等を、所定の帳票(キャリアプランニングシート:以降CPS)に記入し、上司と面談することになっていた。しかし制度導入から十数年経つなかで、「中長期のキャリア開発より、目の前の業務優先」という風潮ができあがってしまっていた。特に最近は人手不足がその風潮を助長し、すっかり形骸化していた。 

そもそも、今回の「適材適所」は、単に、「目の前の仕事を効率的にこなすために、最も要件の合う人材をあてがう」ことだけが目的ではない。会社の持続的な成長を実現し、仕事や会社への貢献を通じた社員の成長を支援するうえでは、少し背伸びした、挑戦的な仕事を与えることも必要だ。最上は、「適材適所」という言葉に、「目の前だけでなく将来を見越した配置」「本人の志向や経験・スキル情報の蓄積による、有望人材の発掘」という意味も込めていた。最上は、CPSの運用がおざなりにされている現状に、適材適所への道のりの長さを感じ取ったのだった。 

最上は、有田と瀬戸を前に、適材適所実現のためのロードマップを語った。「ポイントは3つです。1つ目は、人材情報を社員自身が適時適切に更新し、上司がその人材情報をもとに行動を起こすような仕組みに変えること。2つ目は、有望人材を見出し、より良い経験の場を提供するための、人材情報閲覧・検索機能を整備すること。そして3点目は、本部だけの都合で人を抱え込むことなく、全社最適目線で、人の異動を推奨する仕掛けの装備です」 

最上は続けた。

「3つのポイントを踏まえ、CPSの刷新、人材情報システムの増強、そして異動促進制度が必要と思われます。CPSや異動を司っている人事部員の方に、検討メンバー入りしてもらいましょう。また、人材情報システム増強は、IT部門を巻き込んでいきましょう」 

こうして、尾張マシナリーで適材適所を実現するための、 3つの取り組みが定義されたのだった。

 

【採用強化分科会の場合】

ワークショップで採用強化を提言したのは商品戦略本部を担当する清水だったが、大野もまた、「商品戦略本部は一例に過ぎない」と考えていた。週報で採用について触れているビジネスパートナーは、20名中9名。そこで大野は9名のビジネスパートナーに、採用に関する問題点や現状を深掘りするよう依頼した。 

翌週の週報を読んだ瀬戸は愕然とした。もちろん、求人条件が理由で人材獲得に至らないようなケースもあった。しかし、 9名のビジネスパートナーが共通して書いていたのは、むしろ、人事の採用活動についての問題提起だった。 

「せっかく本部で面接をしても、人事が最終面接を案内する頃には他社に取られている」
「採用ホームページが魅力に乏しく、更新頻度も低すぎる」
「同様の処遇・業務内容であっても、他社では人が採用できているのに当社は採用できていない。セミナーや面接で、候補者を惹きつけられていないのではないか」
「先日の面接で、ある候補者が『採用エージェントから、話を聞くだけでいいからと言われて来ました』と言っていた。採用エージェントに、いったい何を伝えているのか」等々。 

瀬戸は、自社の採用競争力が高くない原因は、もっぱら他社の賃金水準の高さや、自社の知名度にあると思っていた。しかし週報で突きつけられた現実に、「まずは人事として、採用プロセスやエージェントの巻き込み方を見直さないといけないな」と認識を新たにした。

 

【人事制度分科会の場合】

尾張マシナリーでは、“まず人事部門の仕事のやり方を変える”ことを優先し、人事制度の見直しには未着手であった。ビジネスパートナー制を開始して3ヵ月。人事部門の仕事のやり方が完全に変わったとはいえず、採用のように業務改善が必要な領域もある。しかし、ビジネスパートナー活動を通じて、本部からは「人事が何かやろうとしているようだ」「何か言ったらビジネスパートナーからリアクションが返ってくる。今までの人事の反応とはちょっと違う」という声もちらほら聞こえてくるようになった。 

そこで有田は、改めて人事制度改革に着手すべく、ワークショップでのビジネスパートナーの意見、そしてプロジェクト当初に実施したヒアリング結果をもう一度読み込んだ。 

「キーワードは“人づくり”“やりがい”だと考えています」 

有田は最上との打ち合わせで、こう切り出した。 

「ビジネスパートナーのワークショップでは、マネジメントの大変さにスポットライトが当たっていました。しかし、仕事の大変さとともに“やりがい”も増えるものだと思っています。やりがいのある仕事に自らチャレンジする人にこそ、私は手厚く報いていきたい。そして、失敗を気にせず、のびのびと仕事に打ち込める会社にしていきたいんです」 

最上はうなずきながら付け加えた。 

「そのためにも、現状に胡坐をかいていたり、周囲の足を引っ張るような動きは断ち切らねばなりません。特に、会社の成長をリードすべき管理職には、緊張感ある仕組みを導入してもよいかもしれません。やるべきことをやっている人、やっていない人をきちんと見極め、処遇に反映させる。当たり前のようですが、これをやりきれるかどうかが、貴社の人材マネジメントの成否を分けると思います」 

人づくり、やりがい、そして緊張感。この3つのキーワードが、今後の人事制度改革の柱となっていく。

 

人材マネジメント計画の実行~職場からの高まる期待~

分科会で全社的な課題解決を進める一方、各ビジネスパートナーは人材マネジメント計画の実行に動き始めていた。 

人材マネジメント計画は、ビジネスパートナーが、本部課題とそれを解決するための施策を記入したものだ。施策を実行に移すための段取りやスケジュールも合わせて書かれている。 

「ビジネスパートナーには、本部の困りごとに都度対応するだけでなく、困りごとの発生要因そのものを取り除くよう動いてほしい」─そのような思いから、瀬戸と大野が本計画の作成を推し進めた。 

施策の実行に当たりビジネスパートナーが直面したのが、「これまでやったことのない業務に取り組まなくてはいけない」ということだった。業績不振時の、受け身で前例踏襲的な仕事のやり方では人材マネジメント計画を実行できないことが明らかになったのだ。 

例えば購買本部担当の松尾の場合。本部からよく言われていたのが、人材不足だ。ビジネスパートナー活動開始当初は、「とにかく、今、人が欲しいんだ」という部長らの声に応え、中途採用のスピーアップに向けて採用グループと調整したり、人事企画グループに期中の人事異動を持ちかけたりしていた。 

このような対症療法的アプローチで、当座の人員不足を解消できた本部長が次に松尾に相談したのが、「もっと計画的に人員を補充できる仕組み」の構築だった。本部長いわく、 

「松尾さんのおかげで、今年度は無事に業務を回せそうだ。ありがとう。今年のドタバタを繰り返さないよう、今後は、もっと前もって人繰りをしておきたい。松尾さん、ついでと言っちゃ何だが、我が本部の人員計画づくりを一緒にやってもらえないか?」 

ビジネスパートナーとして本部の役に立てた充実感を得ていた松尾は、「分かりました、一緒に頑張ります」と返事をし、人材マネジメント計画に「人員不足を先取りして解消できるような人員計画づくり」を掲げた。 

とはいうものの、松尾は、早々に壁にぶつかってしまった。 

「本部長のやりたいことは何となく理解したけど、具体的にはどうやって進めたらいいんだろう? 本部の人員計画といっても、部によって不足の状況は違うだろうし、人が増えれば誰でもいいってわけでもないよな……」 

松尾は週報で、人員計画の起案を進めたいが、何から始めたらよいかはっきりしないので、事務局の支援が必要なことを訴えた。 

松尾の週報を読んだ瀬戸は、「松尾には、人員計画づくりは荷が重いかな……人員調整は未経験業務だし、企画ものの仕事もやったことがないからな」とつぶやいた。 

瀬戸の様子を見ていた大野はこう返した。 

「松尾さんだけでなく、多くの方は、今の状態のままで人材マネジメント計画を実行することは困難でしょうね。本部からの要望は様々で、しかも、期待値は高くなっています。これまでは“ビジネスパートナーとしての行動を型通りに行うこと”を重視してきましたが、次は、ビジネスパートナーとしてのスキルアップに焦点を当てたいと思います。“御用聞き”から脱却するには、ビジネスパートナー自身のレベルアップが不可欠だと思います」

 

パートナーへの進化を促すアクションラーニング

大野は事務局メンバーに「年間活動計画(52週間プログラム)」を提示した。ビジネスパートナー活動の重点テーマとその実施時期、および運用スケジュールが記載されている。 

大野は52週間プログラムを見ながら、ビジネスパートナーのスキルアップ計画を説明した(図表1 )。

図表1 人材マネジメント計画の実行ステップと研修テーマのイメージ

図表1 人材マネジメント計画の実行ステップと研修テーマのイメージ
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「16週間プログラムも終了し、型に沿った動きは根付いてきたと思います。そこで今度は、52週間というより長いスパンで、活動の強化を進めていきたいと思います。その一環として、ビジネスパートナーが課題解決力を強化し、より本部の目標に貢献できるよう、計画的な研修機会を設定していきたいと思います」

「研修内容は、ビジネスパートナーの活動内容やその時期に合わせて設計します。例えば直近では、ファシリテーション研修を予定しています。人材マネジメント計画を実行するためには、まず、本部に対して“人材マネジメント計画の実行を通じて得たい果実は何か?”を改めて問いかけ、方向を定める必要があります。そのためには、本部のキーパーソンの率直な意見を引き出し、合意形成を図るためのファシリテーション能力が欠かせません。一方で、これまでのビジネスパートナーの皆さんのお話を聞いていると、ファシリテーション能力に課題意識はあるものの、それに応えるような社内研修はないようです。そこで、ビジネスパートナーの活動に、ファシリテーション力の強化も盛り込みたいのです」 

最上が付け加えた。 

「ビジネスパートナー向け研修では、“知識ややり方の一方的な伝授”ではなく、“実行”を重視したいと思います。研修翌日からビジネスパートナーの動き方が変わるよう、研修の場で体験するのです。いわゆるアクションラーニングですね。もちろん、今回の松尾さんのような具体的依頼事項については、事務局会議の場やビジネスパートナーとの個人面談などでサポートしていきましょう」 

確かに、プロジェクト開始時に行った100人インタビューでも、「社内研修の種類が少ない」「せっかく研修があっても、講師からの一方通行なので、身についた気がしない」等の声が寄せられていた。 

最上と大野の話を聞いた瀬戸は、「実行重視の研修、大変興味深いです。ぜひお願いします」と返答した。

 

《ストーリー編》

《解説編》

ビジネスパートナーの進化を促す仕掛けとは?

ストーリー編の前半では、ビジネスパートナーの提言ワークショップをきっかけに立ち上がった分科会の滑り出しをご紹介した。各分科会のテーマは問題の根が深いだけに、改革が容易に進まないことは、読者の皆様のご想像に難くないだろう。また後半では、ビジネスパートナーが本格的に課題解決を行ううえで必要な能力・スキルの習得について触れた。ビジネスパートナーは、人材マネジメント計画の立案を契機に、“とにかく聞く・応える”から、“自ら戦略的に考え・動く”段階へとステップアップした。同時に、自身の課題解決力強化の必要に迫られた。 

そこで解説編では、改革を進めるうえでの社外知見の活用、およびビジネスパートナーの課題解決力強化に向けた研修について述べたい。

 

実行まで見据えた社外知見の活用

人材マネジメント改革において、外部コンサルタントとジョイントチームを編成することは珍しくないが、尾張マシナリーの分科会で特徴的だったのは、実行まで見据えてチームを編成したことだ。 

例えば適材適所分科会では、(1)CPSの刷新、(2)人材情報システムの増強、(3)人事による異動促進制度の実装が必要だった。尾張マシナリーでは、これら3つを同時進行させることが不可欠だった。たとえ人材情報を使いこなせたとしても、その情報を用いて“異動”“育成”につなげられなければ、適材適所の目的を達成できないからだ。 

同時進行に当たって、プロジェクトメンバーのなかには、「分科会で取り扱う裾野が広すぎて、人事部員だけでは対処しきれないのではないか。できるところから順次始めたほうがよいのではないか」と考える者もいた。このハードルを越えるために、尾張マシナリーでは、(1)~(3)それぞれに専任の外部コンサルタントを置き、社内メンバーとの協働体制を立ち上げた。彼らは、(1)~(3)の要件定義や仕組み設計だけでなく、それを動かすための人事業務の設計や、異動を活発化させるための周知方法等にも踏み込んで検討を進めた。また、(1)~(3)それぞれの検討を進めつつ、コンフリクトが起きる部分については、他社における全体的な完成形を知るコンサルタント同士が情報連携して、調整を促すようにした。 

仕組みの完成が分科会のゴールではなく、仕組みを効果的に活用して適材適所を実現することがゴールである。それが人事部員・コンサルタントの間で共有されていたからこそ、尾張マシナリーでは、ルール・業務プロセス・社員コミュニケーションに至るまで協働体制で検討が進んだ。

 

課題解決力強化の具体的な手法

人材マネジメント計画の策定や“行動の型”の定着を経て、いよいよビジネスパートナーは“自ら戦略的に考え、自ら動く”段階を迎えた。同時に、個々人の能力向上が課題として見えてきた。ビジネスパートナーは勤務年数や経験業務が異なる社員で構成されており、かつ、本部からあらゆる相談を持ちかけられるため、ビジネスパートナー自身の引き出しを増やす必要があった。 

能力向上の打ち手として尾張マシナリーが工夫した点は3つある。

(1)52週間プログラムで、予めビジネスパートナーに期待される動きを見える化

ビジネスパートナー制の立ち上げに注力したのが16週間プログラムだとすれば、52週間プログラムは、ビジネスパートナーが成果を生み出すことに主眼がある。一例が人材マネジメント計画の実行だ。また、人事施策(人事評価運用や昇進者の決定など)が狙いに合致した運用となるよう、本部に協力を依頼し、本部の声を人事本部にフィードバックすることも、ビジネスパートナーの役割であった。 

ビジネスパートナーとしての役割が多岐にわたり、かつ人材マネジメント計画の内容がそれぞれ異なる状況下で懸念されたのは、“足並みを揃えるべきところが分からなくなる”ことだった。 

そこで尾張マシナリーでは、以下の内容を盛り込んだ52週間プログラムを作成し、 4 月早々にはビジネスパートナーに展開していた。期待する動きを予めプログラムとして共有することで、活動の抜け漏れを防ぐとともに、事前の準備や自己学習を促した。

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【ビジネスパートナーの活動内容】

  • 人材マネジメント計画の実行ステップ
  • 分科会活動に関する、ビジネスパートナーのタスク
  • 人事運用に関するビジネスパートナーから本部に向けた実施事項

 例)採用ニーズの聞き取り、異動ニーズ調査

【活動内容ごとの実施時期】

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(2)52週間プログラムを実行しきれるよう、並行して、毎月の研修計画を立案

52週間プログラムのなかでも、ビジネスパートナーにとって特になじみが薄かったのが、人材マネジメント計画に沿って具体的な施策を立案する、という業務である。理由はこれまでも述べてきた通り、長年の業績不振に伴い企画色の強い業務がギリギリまで絞られていたことにある。 

業務で成果を出すための研修は、実際の業務の流れと連動していることが望ましい。学んだ内容の反映先が明確であり、すぐに実行に移せるからだ。 

尾張マシナリーでは、合意形成や意思決定を促すような経験をする場が少なかったため、スキル不足に悩むビジネスパートナーが多かった。そこで、ファシリテーションやロジカルシンキング、効果的な企画書作成のためのロジカルライティングといった、PDCAの“P”に該当する研修を多く行った。 

ただし、“P”だけでなく“DCA”を回し切って初めて本部に貢献したといえる。“D”をやりきるための進捗管理や、“C”の内容を“A”につなげるための分析・課題特定については、研修内容だけでなく、ビジネスパートナー活動の最初の16週間で身につけた“型”の活用を促した。 

(3)アクションラーニングで気づき・行動変革を促進

業務での実践を促す研修を行う際は、受講者同士のディスカッションやプレゼンテーションの機会を設けることが効果的である。 

例えばファシリテーション研修では、受講者がファシリテーター役と参加者役の両方を経験し、相互に振り返る機会を確保した。また、ロジカルシンキングのように、思考の型を伝えるものについては、まず座学、続いて演習というように、頭の整理も欠かさず行った(図表2 )。

図表2 ファシリテーション研修の進め方イメージ

図表1 人材マネジメント計画の実行ステップと研修テーマのイメージ
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《解説編》

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ニュースレター情報

Initiative Vol.98

著者: デロイト トーマツ コンサルティング
シニアマネジャー 国井 浩士
マネジャー 沼田 真理子

2017.2.22

※上記の役職・内容等は、執筆時点のものとなります。

本コラムは、株式会社ビジネスパブリッシングの許諾を得て、月刊人事マネジメントの記事(2016年6月号掲載)を転載したものです。

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