事例紹介

地域医療再編の先駆者・リーダーに聞く成功の軌跡 その1

自治体病院等の統合再編事例(奈良県・南和医療圏の事例)

近年、地域医療において、公立・公的病院を含む統合再編・建替を通じた医療再編は大きなテーマになっています。統合再編は「言うに易く、行うに難い」ものであり、これまでも多くの挑戦があったものと認識しています。デロイト トーマツ グループでは他に先駆けて地域医療再編に取り組み、成果を出している事例のリーダーに対して、コンサルタントが統合再編時から現在に至るまでの取組みをお伺いしながら、統合再編のポイントを探ります。

(その1) 奈良県・南和医療圏の事例

インタビューの背景

南和医療圏(奈良県)では、経営母体が異なる公立3病院(県立五條病院、町立大淀病院、国保吉野病院)が地域医療の中心的役割を担っていましたが、過疎化・高齢化、医師不足の環境のなか地域医療が守れないという課題に直面していました。

そこで、地域医療の課題を改善すべく、南和医療圏構成市町村(1市3町8村)と県を構成団体とする「南和広域医療組合」を結成し、公立3病院を統合再編しました。平成28年4月1日には、地域中核病院として、救急医療・へき地医療を強化し25の診療科と9つのセンター機能を備えた南奈良総合医療センターが開院しました。

開院後、当医療圏においては、3病院合わせた医師数が統合前に比べ10人以上増加するとともに、救急受入件数が倍増、病床利用率も大幅上昇となるなど、地域医療の課題に対して、再編前以上に質の高いサービスを提供しておられます。

地域医療の課題を改善すべく、ご尽力された松本院長と中川企業長から、南和広域医療企業団のこれまでの経緯や取組みについてのお話を伺い、その成功要因を探ることとしました。

インタビューの概要

対談の詳細は添付資料をご確認いただければわかりやすいので、是非そちらをご覧いただければと思いますが、松本院長と中川企業長のコメントの中から、いくつかの成功ポイントがあったのでそちらの方を取り上げてみようと思います。

対談の中で、「客観的なデータを踏まえて『あるべき地域医療の姿』を描き、その実現に向けて関係者が納得するまで徹底的に議論したことが成功につながった。」というメッセージがあり、その具体的な内容については、以下の4つの点に収斂されると理解しました。

(1) 3病院が組織や文化の違いを越えて、納得いくまでコミュニケーションをとれる場をつくったこと

(2) 病院だけでなく、地域医療関係者や大学とともに「あるべき地域医療の姿」を共有したこと

(3) 地域住民の十分な理解が得られるまで、繰り返し「統合再編」について説明したこと

(4) 知事がリーダーシップを発揮し、関係市町村の首長や議員等の関係者を説得したこと

加えて、南和医療圏の特徴的な課題を踏まえて、ドクターヘリ運用と電子カルテ情報共有等の仕組みを新病院開業に合わせて導入し、ただ新病院を建てるのみならず、へき地医療における「距離と時間の短縮」を実現し、へき地診療所との信頼関係を構築し、また、高齢化の課題先進地域であることを踏まえ、常に純粋かつ真摯に医療に取り組み、専門性を向上させるよう伝え続けている、などのコメントを頂きました。

以上から、南奈良総合医療センターにおいては、再編統合を目的とするのではなく、「再編統合を通じて、地域医療が良くなるかどうか」、という点を常に見据えて行動されてきた点について強く感じることができました。また、客観的なデータや、地域の特性を踏まえた「あるべき地域医療の姿」を検討/議論/共有したうえで、具体の計画、新病院の開業に向かっていった点も、多くのご苦労があったであろうにも関わらず、初年度から素晴らしい成果を生む背景になったのではないかと考えています。

今後とも、より一層あるべき地域医療の実現に貢献する病院になっていかれる印象を持ちました。

対談の詳細については添付資料を是非ご覧ください。

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