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【オンデマンド配信中】公立病院経営強化プラン策定セミナー

公立病院経営強化ガイドラインにおける真の狙いと経営強化プラン策定のポイント

2022年4月28日に開催したオンラインセミナー『公立病院経営強化ガイドラインにおける真の狙いと経営強化プラン策定のポイント』の講演内容やセミナーアンケートから確認された課題認識等について解説します。 なお、ご好評いただいた本セミナーはオンデマンドにて配信しておりますので、ご視聴いただけます。

オンラインセミナーの概要

オンラインセミナーは3部構成として全体で1時間のセミナーとして開催した。

講演①においては、当法人シニアマネジャー上村明廣より、『公立病院経営強化ガイドラインの背景と概要』と題して、策定の背景やガイドラインの全体概要、さらに前回のガイドラインから変更された点について重点的に解説を行った。

講演①に続いて、特別企画として、総務省が開催した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会」の委員を務められた和田頼知氏を招聘し、『公立病院経営強化ガイドラインの真の狙いと過去の経験に基づく公立病院改革の秘訣』について、当法人パートナー眞岩研徳との対談を実施した。

講演②においては、『地域医療を支える公立病院の将来ビジョンのポイント解説』と題して、当法人シニアマネジャー池戸敦哉より、特に重要と考えられる将来ビジョンの策定にあたってのポイントに的を絞り、解説を行った。

【講演①】公立病院経営強化ガイドラインの背景と概要

 講演①の要旨は次の2点であった。

  • 『持続可能な地域医療提供体制の確保』とは、単独病院での経営改善やあり方検討は当然ながら、地域として持続可能な医療提供をどのように構築していくかという、『地域医療ビジョン』の視点が求められている。
  • 前回のガイドラインから追加・強調された項目として、「機能分化、連携強化」「医師・看護師等の確保と働き方改革」「新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組」「施設・設備の最適化」「都道府県の役割・責任の強化」が挙げられる。

 

【対談】公立病院経営強化ガイドラインの真の狙いと過去の経験に基づく公立病院改革の秘訣

和田氏との対談の要旨は次の2点であった。

  • 今回のガイドラインでは「役割分担・連携」が強調されている。今までは「基幹病院の役割=高度先進医療の提供」であったが、今後は地域への医師派遣機能が求められる。基幹病院は、基幹病院以外と比べて、医師が集まりやすい環境であるため、さらに労働環境等を改善することによって、病院としてのブランドを高めていく必要がある。
  • 都道府県は、市町村における公立病院経営強化プランの策定に対して、これまで以上に積極的な関与が求められている。そのためには、市町村の所管部署と都道府県立病院や地域医療構想の所管部署が緊密に連携する必要がある。

 

【講演②】地域医療を支える公立病院の将来ビジョンのポイント解説

 講演②の要旨は次のとおりであった。

  • 『持続可能な地域医療提供体制の確保』を目指した政策に取り組むためには、まず行政組織が中心となって、地域の基幹病院はどこなのか、また、連携して維持していく病院はどこなのか、をしっかりと協議していく必要がある。
  • 今回のガイドラインから読み解ける具体的な公立病院の経営ビジョンは、“共生していくこと”であり、地域医療の利益増進のために必要なアクションを取ることが求められる。
  • 経常収支を恣意的に黒字にすることなく、真に必要な地域医療の実現にあたり、最大限の経営努力を行うことを想定するべきであり、都道府県の経営強化ガイドラインや地域医療構想の所管部局が積極的に関与することが成功のカギになる。

 

セミナー参加者からのコメントにみられる示唆

セミナー参加者からいただいた本セミナーのアンケート回答において、病院関係者の方々からは、公立病院経営強化プランは「機能分担・連携」が重要であると認識したとのコメントを多数お寄せいただいた。

 

また、自治体や金融機関に勤務されている方々からは、都道府県や市町村の立場において、どのように公立病院経営強化プランの策定に関与するべきかを思案しているとのコメントを多数お寄せいただいた。

 

 

自治体や業界団体ではホームページ上にて社会福祉連携推進法人に関する情報発信をしているケースもあり、引き続き必要な情報提供と連携を求める法人に対する支援が期待されるところです。

 

 

セミナー参加者の課題認識

本件セミナー参加者の地域の病院が抱えている(と考えられる)課題に関するアンケート結果は以下のとおりであった。

 

出所:セミナーアンケート回答を集計し作成

特徴として、都道府県において地域医療等を担当している方々における課題として新病院の建て替えや複数病院の統合再編を挙げる割合は公立病院・市区町村で地域医療を担当している方々の挙げる割合よりも高い点が確認された。

また、公立病院と市区町村では回答の割合の高い項目には同様のトレンドが確認されており、課題認識に共通点が多いことが考えられる。

したがって、経営強化プランの策定においては、都道府県の積極的な関与が成功のカギを握ると考えられることから、特に新病院の建て替えや複数病院の統合再編のような論点を地域医療の課題として抱えている場合には都道府県を積極的に巻き込むことが有用であるとも考えられる。

 

 

経営強化プラン策定に向けて

経営強化プランの策定にあたっては、最も重要となると考えられる地域医療のビジョンを病院だけではなく、行政執行機関である市区町村や都道府県を巻き込みながら策定していくことが最重要であると考えられる。

また、2025年に想定される環境の変化を迎えるための準備の最終の機会として、今回のプランニングは行政政策として向き合うことが求められていると考えられる。

 

執筆

有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部  ヘルスケア 

※上記の部署・内容は、掲載日時点のものとなります。2022/5

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