最新動向/市場予測

今後の医業経営における新しい経営形態

非営利ホールディングカンパニー型法人制度について

平成26年1月20日、産業競争力会議は、今後実施すべき具体的施策等を中間整理としてとりまとめ、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」を創設すると公表しました。

新型医療法人制度検討の背景と目的

平成25年6月14日、「日本再興戦略」が明らかとされましたが、「医療・介護分野をどう成長市場に変え、質の高いサービスを提供するか、制度の持続可能性をいかに確保するかなど、中長期的な成長を実現するための課題が残されている。」とされていました。これを受け産業競争力会議では複数課題の検討を進めており、検討課題の一つとして効率的で質の高いサービス提供体制の確立が掲げられています。

とりわけ、急速な高齢化に伴う疾病構造の変化等を踏まえた今後のあるべき医療介護提供体制の姿として、「病院・施設完結型」から「地域完結型」への転換が必要であり、そのため地域内の医療・介護サービス提供者の機能分化や連携の推進等に資する制度が求められるとしています。

平成26年1月20日、産業競争力会議は、今後実施すべき具体的施策等を中間整理としてとりまとめ、機能分化や提携の推進等に資する制度として「複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」を創設する。」としました。非営利ホールディングカンパニー型法人制度については、厚生労働省の医療法人の事業展開等に関する検討会で更なる検討が進められています。 

非営利ホールディングカンパニー型法人制度の概要

非営利ホールディングカンパニー型法人制度により複数の法人が一体となることで、病床機能分化や医療・介護等の連携が容易になり、急性期医療から在宅介護・生活支援サービスに至る高齢者が必要とする一連のサービスを切れ目なく、体系的に行うことなどが可能になると提案されています。

非営利ホールディングカンパニー型法人は合併や事業譲渡とは異なり、既存の医療法人や社会福祉法人などを維持したまま、一体的・効率的な経営が可能になると考えられており、これまでの経営統合の方法にそれぞれの独立性を前提としつつ、横の連携を強める新たな仕組みを認めたものと位置づけられています。
その制度設計に当たっては、当該非営利ホールディングカンパニー型法人が傘下法人を社員総会を通じて統括できる仕組み(法人も社員等に認める等)、非営利ホールディングカンパニー型法人における意思決定方式に係る高い自由度の確保(ガバナンス事項を定款で自由に定めることを可能とする等)、グループ全体での円滑な資金調達や余裕資金の効率的活用(法人間での金銭貸付、債務保証、剰余金の効率的活用)、当該グループと医療介護事業等を行う営利法人との緊密な連携等を可能とする(新法人から営利法人への出資を認める等の措置)等、医療法人等の現行規制を緩和すべく、今後検討を要するとされています。 

非営利ホールディングカンパニー型法人制度の課題

医療法人の事業展開等に関する検討会では、非営利ホールディングカンパニー型法人制度について以下の3点がポイントになるとされています。

1 点目は理念の共有です。非営利ホールディングカンパニー型法人の利益、傘下法人の利益、サービスを展開する地域の利益の調和を図った上で、非営利ホールディングカンパニー型法人が社会に対してどのような貢献をしていくのかを明確にした「理念」を策定する必要があるとしています。

2 点目に、この理念を実現するために行う意思決定の共有です。この医療機能の強化を図らなければならない、この地域の介護保険サービスを充実しなければならないといった個別の意思決定をグループ内の法人間で共有できるような仕組み作りが必要です。

3 点目は、上記の理念や意思決定を実現するため、参加する医療法人等のヒト・カネ・モノを有効に活用できるシステムが必要である点です。いずれも重要なポイントであり事前に十分な検討が求められますが、特に2点目の意思決定の仕組みについては、病院単体であっても適時・適切な意思決定が課題になることが多いなかで、法人グループが大所帯となりかつ医療法人や社会福祉法人、公的な機関等がグループに入ってきた場合、どのような意思決定機能を構築していくかは非常に大きな課題になると想定されます。適切な意思決定の仕組みを構築するに当たっては、非営利ホールディングカンパニー型法人のガバナンスの権限を明らかにし、意思決定に必要な情報(傘下法人の医療・介護サービス提供情報、財務情報等)を作成する仕組みを検討する必要があります。

非営利ホールディングカンパニー型法人制度については、その他必要な論点について平成26年中に結論を得て制度的措置を速やかに講じるとされており、その動向が注目されます。 

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