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医療現場におけるRPA導入のポイント

病院や介護施設でのRPA導入による業務自動化の可能性や導入時の留意点

少子高齢化の進展に伴い、生産労働人口が減少局面にあるなか、限られた労働力を有効活用しつつ、国際競争力を向上させるための手段として、RPA(Robotics Process Automation)ソフトやAIが注目を集めています。一方で、医療・介護領域では、まだまだ人と人のコミュニケーションが重視され、人間ならではの仕事が多い状況です。そこで、病院や介護施設でのRPA導入について、事例を踏まえて考察します。

はじめに

RPAの導入は加速度的に進んでいます

総務省の発表によると、国内では14.1%の企業がRPA導入済み、6.3%がRPA導入中、19.1%がRPA導入を検討中であることに加えて、RPAの市場規模は2017年度の約30億円から、2021年度には100億円規模になると予測されているため、今後急速にRPA導入が進むと見込まれます。

インターネットが普及し始めて以降、仕事のやり方自体が急速に変化していったように、今後はRPAやAIの出現と活用を必然ととらえ、いかにこれらのツールによって自身の競争力を高めていくかという観点が重要になると考えられます。

「人間ならではの仕事に一層注力するため、RPAやAIを活用する」という視点が重要です。

RPAやAIの導入が加速度的に進むことの負の側面として、「RPAやAIに人間の仕事が奪われる」という意見があります。しかし、人間ならではの感情要素に影響されることが多いホスピタリティ系やクリエイティブ系、あるいはマネジメント系の仕事をRPAやAIで置き換えることは困難と言われています。

これらを踏まえると、「RPAやAIに仕事を奪われるかもしれない」と恐れるより、「人間にしかできない仕事に一層注力するため、RPAやAIを活用する」という視点が一層重要になると考えられます。

 

医療・介護とRPAの相性

RPAやAIでは置き換えが困難な「感情労働」に従事する職種の代表例は、看護師や介護士と言われています。

これまで、労働は「肉体労働」と「頭脳労働」に区分してとらえられ、頭脳労働は機械にはできない仕事とされていました。しかし、RPAやAIの出現により、頭脳労働の一部は機械・ソフトに置き換えられ始めています。

このような中、頭脳労働の一部とされていた感情労働といわれる領域においては、RPAやAIで置き換えることが困難な労働と言われています。感情労働に従事する職種の例として、看護師などの医療職、介護士などの介護職が挙げられます。

 

感情労働への従事者が多い病院や介護施設であっても、RPAを活用できる業務は存在します。

医療・介護領域では、まだまだ人と人のコミュニケーションが重視され、人間ならではの仕事が多い状況です。それでは、病院や介護施設でのRPA導入は無理なのでしょうか?

答えはNoです。

事務部門や管理部門の職員は言うまでもなく、医療職や介護職であっても、いわゆる事務作業を抱えていることから、これらにRPAを導入することは可能です。

病院特有の業務であっても、定型作業や単純作業であれば、RPA導入による自動化は十分に可能であり、導入事例も生まれつつあります

神戸市では、「Urban Innovation KOBE」というプログラムを通じて、柔軟な発想や優れた技術力をもつスタートアップ企業と連携して行政課題の解決に取り組んでいます。

その取組みの1つとして、市立病院におけるレセプト(診療報酬明細書)チェック業務へのRPA導入事例が公表されています(2018年12月4日、神戸市プレスリリース)。これによると、「診療月が助成対象期間外」のレセプトチェック作業をRPAによる自動化に取り組んだところ、従来は1件当たり約10分を要していた過誤付箋作成が、RPA導入後は0分になったとのことです。その結果、年間で最大459時間の労働時間を削減可能としています。この取組みの中で、一定の判断を要する業務に対して、AIとRPAの活用を試みたものの、現時点では十分な成果が上がっていないとされています。

以上を踏まえると、病院特有の業務であっても、定型作業や単純作業であれば、十分にRPAによる業務改善が可能であることがうかがえます。

 

病院におけるRPA導入時の留意点

1. 目的と導入対象範囲を明確にしてから導入に取り組むことが重要です

2. まずは小さい業務単位で導入し、院内で効果を実感しながら導入対象を広げていく方法が効果的です

3. RPA導入をきっかけに、継続的な業務改善活動につながるような職員の意識改革が重要です

過去記事「医療現場におけるRPA導入のポイント」に記載したとおり、RPAはルールに基づく作業や繰返し作業を正確・迅速かつ休みなく進めることができるところに特長があります。RPAは自己学習や自己判断はできませんが、ルールに基づく作業に強みを有しているため、「検索・抽出」、「転記・実行」、「集計・加工」、「照合・チェック」、「帳票・レポート作成」といった業務への導入効果が出やすいと考えられます。

院内の業務をなんでもかんでもRPA導入しようとするのではなく、RPAの特性を踏まえ、業務効率向上のインパクトが大きいものについて重点的に導入を進めることが重要です。

 

最後に

有限責任監査法人トーマツ は、RPAの知見に加えて、監査で培った内部管理体制に係る知見を活かして、貴院のRPA導入に貢献します。

デロイト トーマツ グループでは、RPA導入に係る知見に加えて、豊富なBPRや内部管理体制(内部統制)構築に係るアドバイザリー業務の知見を有しており、職員の皆様やITベンダーとも連携のうえ、RPA導入をトータルでサポートすることが可能です。

例えば、「導入効果が見込まれる適切な業務選定」においては、関与職員や工数といった定量面に加えて、職場環境といった定性面からの改善効果も考慮したうえで、導入業務選定について助言します。

デロイト トーマツ グループでは、豊富な知見を活かし、RPA導入に係るアドバイザリーサービスを実施することで、業務の効率化や省力化に貢献します。そして、比較的導入が容易な業務からRPAへの移行を進め、院内の意識を醸成しながら、導入業務を拡大していくことで、医療現場での無理のない働き方改革の実現に貢献します。

 

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