最新動向/市場予測

業界展望2025年 産業機械製造業

産業機械製造業は、領域を絞ったイノベーションで身近な課題に取り組む

本レポートでは、製造業の経営者が来年の戦略と優先事項を決定する際に役立つ、5つの主要トレンドを調査している。

日本語版発行に寄せて

本レポートは、Deloitte USによる産業機械・建設セクターに対する2025年版のレポートである。米国の視点を前提とするレポートであるが、前年度に引き続いて人材確保の課題、サプライチェーンの課題、デジタル技術への投資が重要なトレンドとして挙げられている。なかでもデジタル技術への投資の中で言及されるAIと生成AIの活用は、日本国内の取り組みにおいても共通点があると考える。

製造業は、既にAIや生成AIに対して多大な投資を実施しており、かつ組織内における活用が進んでいる。本レポートでは、具体的なユースケースとしてカスタマーサービスと製品設計での用途が取り上げられている。カスタマーサービスでは、バーチャルチャットボットや拡張現実と組み合わせたサービスの高度化に活用されており、製品設計では、過去の設計データや技術情報を評価し、レガシー製品に対して製品イノベーションを推進に活用されている。

一方で、データに関する課題は、依然として製造業におけるAI導入の最大の障壁である。AI導入の前提条件は質の高いデータへのアクセスであり、データ自体の品質や、データの意味付け、データの整合性に対する検証が成果に直結する。データに関する課題を解決するためには、総合的なAIおよびデータ戦略の構築が不可欠である。企業戦略に基づき、データの整理と構造化に注力することで、長期的なAIや生成AIに対する投資の成功を支える基盤を築くことができる。

本レポートに加えて、同様に日本語版を発行しているレポートとしては以下のものがあり、本レポート内においても一部内容が引用されている。本レポートと併せてご参照いただき、製造業が不確定な時代の中で将来を切り開いていく際の一助となれば幸いである。

 


熊本 祥明
ディレクター
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

2024年の米国製造業では、金利の上昇と厳しい事業環境が目先の業界成長の障害となっているにもかかわらず、継続的な投資が見られた。S&Pグローバルのデータに基づくDeloitteの分析によると、2024年は製造業の購買担当者景気指数(Purchasing Manager's Index、以下「PMI」)が2023年4月以来初めて拡大基調に転じたことで始まり1、同年上半期は維持したものの、2024年7月には需要が低下し、PMIは縮小基調に戻った2。さらに、2024年11月のPMIレポートでは、受注の減少と顧客在庫の増加が続いており、数カ月後には製造業がさらに減産を迫られる兆候が指摘されている3。インフレ率は低下しているが、投入原材料・部品の生産者物価指数は安定しているものの依然として高く4、賃金や福利厚生を含む総報酬は上昇し続けているなど、製造業は引き続きコスト高に直面している5

一方、厳しい事業環境や金利上昇などを背景とした需要の低下が、人材確保やサプライチェーン問題への圧力を緩和する一因となっている。米国労働統計局のデータによると、製造業の離職者数、採用者数、求人件数は着実に減少しており、生産水準が安定している中、雇用が1,300万人前後で横ばいとなっているため、製造業の労働市場は2024年を通して安定を続けている6。しかし、人材の課題は根強く残っている。労働市場は緩慢化しているものの、全米製造業協会(National Association of Manufacturers、以下「NAM」)が発表した2024年第3四半期の製造業見通し調査では、60%近くの製造企業が従業員の誘致と離職防止ができていないことが最大の課題であるとしている7。サプライチェーンも改善され、原材料の平均納期は2024年10月までに81日に短縮され、前年比で2%減少した8。しかし、依然として新型コロナウイルス感染症流行前の水準には戻っていない。

同時に、2024年の米国製造業は、低迷ではあったが、長期的な成長につながる投資が継続して行われた年であった。例えば、2024年9月までの1年間に発表されたクリーンテクノロジー製造施設の新設は54拠点であり、150億米ドル以上の投資額に相当し、これにより15,000人以上の新規雇用創出が見込まれている9。製造業における建設投資、すなわち製造施設の新設または既存施設の拡張のために投資された金額は、2024年6月に2,380億米ドルと過去最高額を更新した。これは新しい設備や知的財産への投資を今後も刺激すると思われる10。しかし、前年比成長率は2023年9月の41.3%から2024年9月の20.5%に鈍化した11

2025年に目を向けると、製造業は、コストの上昇、米国や世界の選挙後に起こりうる政策変更、地政学的な不確実性が相まって、先行きが見えない、厳しい事業環境に引き続き直面することが予想される。NAMの2024年第3四半期見通し調査の対象となった製造企業は、原材料などの投入コストが向こう12カ月で2.7%上昇すると予想している12。しかし、金利が低下すれば投資や企業支出・個人消費が刺激され、工業製品の需要拡大につながる。一方で、連邦準備理事会は「ソフトランディング」に自信を示しているが、最近の労働市場の冷え込みがさらに進み、景気減速につながるリスクが依然として残っている13。例えば、個人消費は2024年9月まで比較的堅調であったが、失業率が上がれば2025年には鈍化し、製造業に影響が及ぶ14

2024年の米国選挙後、そして世界各地の選挙後に起こりうる政策変更は、製造業のサプライチェーン、需要、長期的な投資に影響を与える。貿易政策や関税の変更は原材料や部品のコストを押し上げ、サプライチェーン全体に波及効果を及ぼしかねない。米国のインフレ抑制法の一部のルールに調整が加わることになれば、米国におけるクリーンテクノロジー製造の特定分野への投資に影響が及ぶ。
本レポートでは、製造業の経営者が来年の戦略と優先事項を決定する際に役立つ、5つの主要トレンドを調査している。

  • 人材:新たな需要に対応する人材を配置し、長期的な労働力を維持する
  • 製造業における人工知能(AI)と生成AIの活用:領域を絞ったROIの高い投資を優先させる
  • サプライチェーン:リスクやコストの上昇に機敏性と効率性で対処する
  • スマートオペレーション:価値の高いプロジェクトを優先しながら基盤を構築する
  • クリーンテクノロジー製造:不確実性の高い中で戦略的に前進させる

1.人材:新たな需要に対応する人材を配置し、長期的な労働力を維持する

2024年に入って製造業の労働需給の逼迫度は低下しており、実際、2024年7月には2021年5月以来初めて製造業の失業者数が求人件数を上回った月となった(図1)。製造業の離職率は2024年9月に1.6%に達し、2024年1月以降0.2%低下した15。工業製品の需要低迷と労働市場の緩和により、製造業における労働需給のバランスが、少なくとも短期的には、改善した。

しかし、人材の問題は依然として顕著である。製造業の総報酬(従業員の賃金と福利厚生を含む)に関する雇用コスト指数は2024年も上昇を続け、2024年9月時点で前年比3.8%上昇となった16。米国では高齢化の影響もあって労働力率が20年以上にわたって低下しており、少なくとも2030年まではこの傾向が続くと思われる17。また、労働者が利用できる保育サービス、信頼できる交通機関、柔軟性への要望といった課題も残っている18。Deloitteとマニュファクチャリング・インスティテュートが2024年に実施した調査では、人材の問題に対処しなければ、今後10年間で190万の製造業の求人が埋まらない可能性があることが示された19。この調査では、より高いスキルを必要とする職種が2022年から2032年にかけて最も急速に増加し、技術的な製造スキルやデジタルスキル、ソフトスキルも合わせて今後必要になることが明らかになった20

2025年には金利低下や米国製造業の投資継続など良好な経済状況が続き、製造業界の需要が再燃し、労働力不足が深刻化する可能性がある。賃金は上昇し続ける見込みが高いものの、製造企業には打つことのできるコスト削減策がある。それは離職率を下げることである。UKG Workforce Instituteが2024年に米国の製造企業の人事責任者300人以上を対象に実施した調査によると、回答者の60%が、現場の熟練者一人を入れ替えるのにかかる平均コストは1万米ドルから4万米ドルであるといい、56%が従業員の離職が最終損益に中程度から重度の影響を与えると回答している21

企業は、労働者の変化する期待への対応、離職率の低減、需要の変動に合わせた人材計画の一助として、労働者エクスペリエンスの向上22、人材開発へのエコシステムアプローチの採用23、人材計画や労働力管理において高度な機能を提供するデジタルツールの活用にますます重点を置くようになっている。Gartnerの最近のレポートによると、2025年までに、時間給の従業員を抱える大企業の80%以上が、労働力管理において高度なソフトウェアソリューションに投資していくと回答している24。同レポートによると、こうした投資の主な目的は、業務効率の向上のためにより広範なデジタル化の取り組みをサポートすることに加え、従業員のセンチメントを把握し、シフト体制の調整案を提示し、柔軟なスケジュール設定を可能にし、時間給労働者との社内コミュニケーションを改善するなど、労働者エクスペリエンスを向上させることである25

また同調査では、従業員のスキルや、業務ニーズを満たす人材の配置方法をAIで管理することが、2030年までに中核機能になると指摘している26。これらのツールは、従業員のスキルや資格(つまりスキルマトリックスを使用して)、特定の製品の生産に必要な人数やスキル、正確な需要予測などの重要なパラメーターを追跡して連携させることで、企業が今後の生産工程にどのくらいの労働力が必要なのかを効率的に計画できるようにする。ギャップが特定された場合、企業は既存の従業員にスキルアップの機会を提供し、定着率を高めることも27、人材エコシステムの中で必要なスキルを持つ従業員を見いだして育成することもできる28

こうしたアプローチを採用することで、例えば、生成AIのような高度な技術と連携して働くなど、従業員が将来の仕事に備えるのに役立つスキルアップトレーニングも可能になる。また、高度な人材計画ツールは、人材プールを拡大するために重要になっており、スキルベースのアプローチを採用する企業を支援することもできる29。製造業では、こうした投資や長期的な人材戦略の推進が、2025年以降の熟練労働力の構築および維持に役立つ。 

2.製造業におけるAIと生成AIの活用:領域を絞ったROIの高い投資を優先させる

生成AIの熱狂が「抑えきれない興奮」から「事業成果に対する批判的な評価」へと移行する中30、製造業は既にAIや生成AIに多大な投資を行っており、この傾向は2025年以降も続くと予想される。Deloitteの「2024年デジタルカスタマーエクスペリエンスの未来」調査によると、調査対象となったB2B製造業の55%が既に業務で生成AIツールを活用しており、40%以上が今後3年間でAIや機械学習への投資を増やすことを計画している31。しかしながら、企業は従来の総合的な投資効率(ROI)プロセスに従い、生成AIやAIの導入に対してより慎重なアプローチをとっている。製造業リーダーシップ評議会が2024年に製造業を対象に実施した調査によると、回答者の78%がAIを自社全体のデジタル変革戦略に組み込んでいると回答している32。テクノロジーへの投資ではよくあることだが、生成AIの成功を測る主要な指標は、組織の価値を推進できるかどうかである33

AI導入の前提条件は、質の高いデータへのアクセスである34。Deloitteが最近実施した調査では、回答者の4人に3人が、自社の生成AI戦略をサポートするためにデータライフサイクル管理への投資を増やしていると回答しており35、企業はこうした方向に軸足を移しつつあると思われる。しかし、課題はまだ残っている。別の調査では、製造企業の70%近くが、データに関する問題(データ品質、コンテキスト化、検証など)がAI導入の最大の障害になっていると回答している36。こうした課題の克服とROIの最大化に向けて、製造企業は、既に盤石なデータ基盤があるユースケースから着手することを検討するといいだろう。

一例として、カスタマーサービスの用途がある。この用途のAIは、多くの場合、デジタルかつ言語ベースであり、通話記録、技術文書、保証データ、請求情報といった、大規模なデータハーモナイゼーションやデータモダナイゼーションを通常は必要としない膨大なデータへのアクセスを可能にする。実際に、Deloitteの「2024年デジタルカスタマーエクスペリエンスの未来」調査では、調査対象となった製造企業の74%が、カスタマーエクスペリエンスの向上に生成AIを活用する予定があるか、既に活用していると回答している37。ユースケースの例としては、顧客が購入の過程で製品の仕様や機能を効率的に評価できる生成AIベースのバーチャルチャットボットや、メンテナンスや修理に対する迅速かつ効率的なリモートサポートを容易にする拡張現実(AR)と組み合わせた生成AIベースのサービスマニュアルなどがある38

もう一つの例は、製品設計である。例えば、データプロバイダーのIDCによると、2028年までに大手製造会社の50%が、製品イノベーションの需要により、レガシー製品におけるイノベーションの新たな機会を探すべく、生成AIを活用してエンジニアリングアーカイブを評価するようになるという39。ユースケースを、重要な事業イニシアチブや優先事項(カスタマーエクスペリエンスの向上や製品イノベーションなど)に結びつけることも、社内の資金調達やサポートを確保するうえで重要になる。

2025年はコストの上昇と不確実性の高まりが続くと予想されるため、AI(生成AIを含む)へ投資する機会を見極めることが、製造業にとって重要になる。効率性の向上、生産性、コスト削減は、生成AIの導入によって実現される重要なメリットとして特定されている40。さらに、最近の調査では、製造企業は、他のスマート製造技術と比較すると、AIや機械学習が事業成果に最も大きな効果があり、クラウドやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)テクノロジーに次いで生成AIまたは因果推論AIから最大のROIが得られると回答している41。2025年、AIユースケースの導入をサポートして将来の基盤を築くために、製造企業は、総合的なAI・データ戦略の構築(運用モデルの構築、ガバナンスの設定、リスクの特定など)に注力することが重要になる。しかし、製造業リーダーシップ評議会が2024年に実施した調査によると、AIに関する企業戦略があると回答した製造業はわずか51.6%であった42。AIや生成AIへの長期的な投資を推し進める基盤を作るには、データの整理と構造化に専念することも重要になる。

3.サプライチェーン:リスクやコストの上昇に機敏性と効率性で対処する

新型コロナウイルス感染症の流行がピークに達して以来、サプライチェーンの課題は緩和されてきているが、圧力は依然として残っている。例えば、生産資材の平均リードタイムは2022年のピークから大幅に改善しているが、流行前の水準よりは依然として高い43。紅海でのコンテナ船への攻撃など、世界的なサプライチェーンの混乱が根強く続いている中、コストも高止まりしている。調査対象となった製造企業の35%以上が、2024年第3四半期の主要なビジネス課題として輸送コストおよび物流コストを挙げている44

2025年、企業は、以下に挙げる要因により、サプライチェーンのリスク、混乱、遅延の可能性、コストの上昇に引き続き直面すると予想される。

  • 輸送遅延:地政学的緊張や追加的要因が引き続き2025年の輸送問題の一因となる。例えば、紅海で起きた貨物コンテナ船へのフーシ派民兵の攻撃に対応した航路変更は、今後も続く可能性が高い45。2023年10月に攻撃が始まって以来、これらの航路における輸送時間の増加は世界における輸送能力に影響を与え、2024年夏までに大幅な遅延件数と輸送料金の倍増を引き起こした46。2023年以降、干ばつによるパナマ運河の水位低下により、米国とアジア、さらには世界各地を結ぶ航路で物資や原材料の輸送遅延とコスト上昇が引き起こされた47。干ばつは落ち着きつつあり、水位低下に対する制限は2024年に緩和され、1日あたりの平均通航数は8月の時点で干ばつ前の水準に近づいてきている48。しかし、干ばつ状態が戻る可能性もある49
  • バリューチェーン全体での労働力問題:生産から輸送、倉庫保管業務にわたる長引く労働力不足は、2025年にはバリューチェーン全体において遅延とコスト上昇につながる可能性がある50。米国ではトラック運転手不足が続いており、今後数年でさらに深刻になることが予想されている51。2024年に600人以上の製造業従事者を対象に実施された調査では、80%以上が労働者の離職によって生産が中断したと回答しており52、こうした離職が配送の遅延の一因になりうる。サプライチェーンにおける労働争議も、世界的に大きな問題になりつつある。例えば、2024年10月に起きた米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者によるストライキはわずか3日で解決したが、サプライチェーンは影響を受けており、労働者の契約は1月15日に切れるため、2025年にはさらなる混乱が生じる可能性がある53
  • 投入コストの上昇:NAMの2024年第3四半期見通し調査によると、回答者は賃金と原材料価格の両方が今後12カ月間でさらに2.7%上昇し続けると予想している54
  • 米国や世界の選挙に伴う政府の政策変更の可能性:国連によると、2024年は72カ国で選挙が行われ、世界人口の半分近くにあたる約37億人が投票した可能性があり、選挙の「スーパーイヤー」とされている55。政権交代とそれに伴う政策変更は、地政学的緊張、貿易、関税、産業政策などの多くの要因により、グローバルサプライチェーンに影響を与える。例えば、メキシコが米国の主要な貿易相手国となったニアショアリング活動のような、コストとレジリエンスのバランスを図るサプライチェーン再構築の取り組みを、政府の政策変更が後押しする可能性がある56。2024年のFortune/Deloitte CEOサーベイでは、米国の選挙が最も影響を与える分野として、規制と税金に次いで国際貿易が3番目に挙げられている57。そして製造企業は既に変更の可能性に備えている。NAMの2024年見通し調査によると、主要なビジネス課題として貿易上の不確実要素(実際の関税または関税案など)を挙げた製造企業の割合は、第1四半期の25.8%から第2四半期には34.3%に急増し、第3四半期も36.8%と上昇し続けている58

新型コロナウイルス感染症の流行以降、サプライチェーンへの圧力が弱まるにつれ、企業の戦略は、レジリエンスに主眼を置いたものから、最適化されたコストとレジリエンスのバランスを重視するものへと変化している59。調達先の多様化、合併・買収の推進、パートナーシップの強化、社内ケイパビリティの構築といった手法が、この目標の実現に役立っている企業もある60。2025年のサプライチェーンの混乱と高コストの中で、こうしたアプローチは引き続き重要である。

サプライチェーンプランニングの高度な手法、サプライヤーとのよりよい連携、シミュレーション、可視性の向上を可能にするデジタルツールへの投資を重視し続けることで、さらなる推進力を得ることができる。最近の調査では、製造企業の78%がサプライチェーンプランニングのソフトウェアを既に導入しているか、導入への投資を計画していると回答している61。また、回答者は、このソフトウェアを、ROIの最大の原動力となる10のテクノロジーのうち5位にランク付けた62。2024年の別のレポートによると、2027年までに工業製品メーカーのサプライチェーンに影響を与えると予想される主なトレンドは、ビッグデータと高度な分析、サプライチェーンのデジタル化、およびデータ管理であった63。調査対象となった全ての企業(全業種対象)の2024年の調達・購買における最優先事項は、新しいテクノロジーとケイパビリティの導入であった64。この傾向は2025年も続くと予想される。

4.スマートオペレーション:価値の高いプロジェクトを優先しながら基盤を構築する

製造業ではここ数年間、経済の不透明感、コストの上昇、厳しい事業環境にもかかわらず、デジタルテクノロジーへの投資を続けてきた。例えば、Deloitteの2023年デジタル成熟度指数の調査によると、世界の主要経済圏における800の製造企業のうち、98%がデジタル変革の取り組みに既に着手している(2019年は78%)。また、コストの最適化、業務効率の向上、製品イノベーション、カスタマーエクスペリエンスの向上が、変革の主要因であると回答している65。さらなる分析によると、製造企業が費やしたテクノロジー投資額は、2023年には事業予算の23%だったのに対し、2024年には30%を占めており、クラウド、生成AI、5Gが、ROIが高いテクノロジーのトップ3となっている66

材料費と人件費の高騰、長引くスキルギャップ、地政学的要因によって発生しうる混乱に対処する必要性を考えると、製造組織全体におけるデジタルテクノロジーへの投資、つまりスマートオペレーションに向けた推進は、2025年も継続する可能性が高い。金利の低下と成長の将来性は、投資を加速させることさえありうる。製造企業は、AI、生成AI、クロスリアリティ(eXtended Reality、以下「XR」)など、最先端技術の的を絞ったROIの高いユースケースを可能にするデジタルコアとデータ基盤への投資を引き続き優先する。特に以下のテクノロジーやシステムへの投資が見込まれる。

  • 製造業務管理および製造実行システム:企業と製造現場をつなぎ、組織全体のデータを可視化する。
  • 統合ネームスペース データアーキテクチャ戦略:これにより、企業全体の様々なシステムで利用できる標準化されたリアルタイムデータの一元的なソースが得られる。統合ネームスペースにより、相互運用性の大きな課題となることが多い異種システム間の複雑な直接接続の必要性を排除することができる67。また、それが、新しいテクノロジーを将来の製造環境に組み入れる方法をさらに簡素化することを目指すソフトウェアデファインド型製造の基盤を築く可能性もある68
  • 5Gテクノロジーによるデータ収集・通信サポート:Deloitteの「2024年デジタルカスタマーエクスペリエンスの未来」調査によると、工業製品メーカーの34%が今後1年から3年以内に5Gテクノロジーへの投資を計画している69
  • モデルベースエンタープライズによりデジタルスレッド対応が可能に:工業製品メーカーの5社に1社(21%)は、今後1年から3年の間にモデルベースエンタープライズへの投資を計画している70
  • XRとAI:効率的な労働者トレーニング、退職者の知識の保持といった継続的なニーズを満たし、人間のケイパビリティを強化するのに役立つ。工業製品メーカーの30%近くが今後1年から3年の間にXRテクノロジーへの投資を、また40%以上がAIと機械学習への投資を計画している71

製造業におけるシミュレーションの活用は、特にビジネスの混乱の可能性、コスト管理の必要性、AIツールの継続的な普及を考えると、今後も増加が見込まれる。例として以下が挙げられる。

  • 因果推論AI:因果関係を効果的にシミュレートし、意思決定能力を強化できる72
  • 生産ラインシミュレーション:物理的に変更を行う前にボトルネックを排除してワークフローを最適化するのに役立つ73
  • プロセスシミュレーション:Deloitteと製造業リーダーシップ評議会が実施した2023年産業メタバース調査では、調査対象の製造業者がメタバース技術を使用して導入しているユースケースの第1位であり、工場シミュレーションも広く普及している74。企業が導入によって得られた主なメリットは、処理量の増加とコストの削減であった75
  • ビジネスシナリオシミュレーション:製造業で採用されている76。当該企業のモデルを使用して、従業員の欠勤、品質問題のある原材料の入荷、サプライチェーンの混乱などの課題をシミュレートし、講じうる措置を特定して対応を最適化することができる。

2025年に注目すべきもう一つのトレンドは、製造業が、自動車産業で起きている事象と同様に、工場内だけでなく同分野の複数の製品に接続するためのソフトウェア主導産業へと進化し続けていくことである77。「2024年デジタルカスタマーエクスペリエンスの未来」調査によると、B2B製造企業は自社製品へのデジタル接続をますます強化し、パフォーマンスと保守性の向上に役立つ使用状況と運用パフォーマンスのデータを収集している78。一例として、顧客企業はポータルにアクセスして、航空機体の性能を監視、およびメンテナンスをスケジューリングし、会社の担当者とチャットして問題を解決することができる79。新旧システム間の相互運用性の課題の克服、およびサイバーセキュリティとデータ保護を優先し、技術的知識、デジタルスキル、ソフトスキルを併せ持つ人材を育成することが、取り組みを成功させる重要な要素となる80。また、これらが2025年のスマートオペレーションに向けたより広範な進化を支える重要なカギとなる。

5.クリーンテクノロジー製造:不確実性の高い中で戦略的に前進させる

Clean Investment Monitorデータに基づくDeloitteの分析によると、クリーンテクノロジー製造への多額の投資は2024年を通じて継続しているものの、2023年から縮小傾向にある(図2)。電気乗用車の普及スピードが予想よりも遅いことを受けて、2024年には、一部の自動車メーカーも電気自動車への投資額を削減している81。例えば、全車をEVモデルとする目標を先延ばしする企業もあれば、当初100%電動化を予定していたモデルをハイブリッドに変更している企業もある82


しかし、米国のクリーンテクノロジー製造への投資全体は2024年に減速したように見えるものの、Deloitteの投資家レポート分析によると、米国のB2B製造企業が自社製品の電化と脱炭素化に継続的に取り組んでいることが示されており、これは顧客企業が事業排出量の削減に引き続き注力していることを示唆している83。「電化」または「スコープ3排出」について言及があったB2B製造企業のレポートの数は、2020年1月以降増加しており、2024年も増加を続けている(図3)。同じことが、B2B製造企業の顧客となることが多いエンジニアリング・建設業界や鉱業・金属業界の「電化」または「スコープ1排出」のいずれかについて言及があった企業レポートにも当てはまる。このデータは、B2B製造企業が自社製品の排出量を削減することに継続的に注力していることを示唆している。また、この調査結果は、顧客企業が事業排出量を削減していく姿勢を変えていないことを示しており、今後も排出量の少ない製品への需要が高まることは間違いないと見込まれる。


Deloitteが数社の重機やエンジンメーカーの投資家レポートを分析したところ、一部の企業は、電気や水素エネルギーなどの低炭素オプションを自社の製品品目に追加するために、的を絞った慎重な投資を続けていることがわかった84。こうした企業は、厳しい事業環境下でも、以前に設定されたスコープ3の排出量目標を達成するという目標に向かって進んでいる。例えば、ある重機メーカーは、2026年までに20を超える電気モデルおよびハイブリッドモデルを製品ラインアップに追加する予定である85。またあるディーゼルエンジンメーカーは、新製品の製品寿命におけるGHG排出量(スコープ3)を2030年までに25%削減するという目標に向けて引き続き前進していると報告している86

工業製品メーカーの顧客企業も、自社のスコープ1排出量目標を達成するためにクリーンテクノロジーを採用するというコミットメントを堅持しているようである。例えば、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにすることを目指し、地下採掘用の電動トラックを開発するために戦略的提携が締結され、2024年10月にプロトタイプ第1号がテストのために鉱山に納入された87

Deloitteの企業レポート分析によると、工業製品メーカーのサプライヤーの複数社は、電化や排出量削減のトレンドに合わせてポートフォリオを戦略的に変え続けている88。こうした企業は、戦略分野の一つとして電化を(特にクリーンエネルギーと持続可能なソリューションにおいて)強調している。一部の企業は、電化やエネルギー転換による成長も期待している89

工業製品メーカーは、自社製品の排出量目標を達成することに固執しているように見えるが、2025年を見据えると、クリーンテクノロジー製品の開発・供給へのさらなる投資に影響を与えうる要因がいくつかある。

  • 政府のインセンティブと規制政策:米国の選挙後に政府の政策や規制が変更される可能性があるため、企業は2025年に「様子見」の姿勢をとると見込まれる。2024年のFortune/Deloitte CEOサーベイによると、実際、米大統領選を取り巻く要素のうち、企業に影響を与えうるものとしては、規制と税金が同率でトップだった90。世界的なスーパー選挙イヤー91は、世界各地の規制や気候政策にも影響を与える恐れがあり、その結果、企業の投資意欲やクリーンテクノロジーに対する顧客の需要にも影響を与える。
  • 金利の低下:連邦準備理事会が見込んでいる追加利下げ92は、クリーンテクノロジー製品などへの投資や事業支出の増額を刺激する。
  • コストの高騰:クリーンテクノロジーの需要は、排出量に関する規制要件に加えて、一部の顧客が支払うことをいとわない「グリーンプレミアム」によって牽引されている。工業製品メーカーのコストは2025年も高止まりすることが予想されるため、メーカーはこうしたコストを顧客に転嫁する必要が生じ、顧客にとってグリーンプレミアムを正当化することはさらに難しくなる。一方、コストは依然として高いものの、インフレが抑制されれば、2025年には安定する。これにより、製造企業は価格を下げる機会が得られ、結果として顧客が支払うよう求められるグリーンプレミアムも下がる機会がある。

これらの要因を考慮すると、企業は、収益を最大化し、顧客の実質ゼロ目標の達成を支援しうるクリーンテクノロジー製品の製造に、的を絞った慎重な投資を継続する見込みが高い。

2025年は領域を絞ったイノベーションで身近な課題に取り組む

2025年、製造業は身近な課題に直面する可能性が高い。しかし、効率を最大化し、レジリエンスを構築し、来るべき業界拡大の新時代に備えるために、企業全体で活用できる新しいアプローチやツールがある。実際、Deloitteが2024年第3四半期の米国経済予測で発表した楽観的なシナリオでは、テクノロジーへの投資が一因となって、今後数年間で生産性が向上し、国内総生産の成長が加速する可能性があると述べられている93。製造企業が市場のリーダーとしての地位を確立するためには、以下のようなデジタル基盤・データ基盤、先進テクノロジー、ROIの高いユースケースへの的を絞った投資の活用を検討することが望ましいと考える。

  • スキルベースのアプローチに対応し、人材の定着率を高め、将来に向けた労働力を構築することができる高度な人材計画・管理ツール
  • カスタマーサービスを充実させ、退職者の知識を保持し、新製品の上市を早期化するためのAIと生成AI
  • サプライチェーンのデジタライゼーションおよび高度なアナリティクスやバリューチェーンのシミュレーションのためのAIなどのツール
  • 効率的な従業員トレーニングやカスタマーサポートのためのXR活用など、スマートオペレーションのユースケース
  • 革新的な低排出製品を市場に投入するために必要となる新たなパートナーや顧客との円滑なコラボレーションをサポートできるモデルベースエンタープライズなどのテクノロジー

発行人

加藤 康光
執行役員
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

熊本 祥明
ディレクター
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

 

本稿は、デロイト ネットワークが発行した原著をデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆し、2025年3月に発行したものである。

和訳版と原著「2025 Manufacturing Industry Outlook」の原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先する。

執筆者

John Coykendall
Deloitte Global, USA

John Morehouse
Deloitte Global, USA

Kate Hardin
Deloitte Global, USA

巻末脚注

  1. S&P Global, “Strongest improvement in manufacturing performance since September 2022,” news release, Feb. 1, 2024.
  2. Chris Williamson, “US manufacturing purchasing managers’ index sends warning signals on economic conditions,” S&P Global, Sept. 3, 2024.
  3. S&P Global, “Manufacturing production continues to fall, but at slowest pace in three months,” news release, Nov. 1, 2024.
  4. US Bureau of Labor Statistics, “Databases, tables, and calculators by subject,” Nov. 8, 2024.
  5. US Bureau of Labor Statistics, “Compensation (not seasonally adjusted): Employment Cost Index for total compensation, for civilian workers, by occupational group and industry,” Oct. 31, 2024.
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  82. Haley Cawthon, “Volvo scales back its EV goals,” ESG Dive, Sept. 9, 2024; Wayland, “Ford delays new EV plant and cancels electric three- row SUV as it shifts strategy.”
  83. This analysis examines reports from industrial companies, including manufacturers of machinery, electrical equipment, and industrial conglomerates, that include references to either “electrification” or “scope 3 emissions.” Deloitte also analyzed company reports of two sectors that often serve as customers to these industries—engineering and construction, and mining and metals—which mention either “electrification” or “scope 1 emissions.”
  84. Deloitte analysis of company reports via AlphaSense.
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謝辞

Kruttika、Dwivedi、Anuradha Joshi、Rahul Rajan、Arundhati Dasには、調査や分析を含め、本レポートの主な寄稿者として多大な貢献をしていただきました。執筆者として感謝の意を表します。

また、Deloitteの諮問委員会の以下のメンバーにも感謝の意を表します。Tim Gaus、Victor Reyes、Leticia Camara Roinesdal、Bill Mowen、Patricia Henderson、A.J. Maxwell, Animesh Arora、Kevin Brannon、Jeff Callahan、Julia Tavlas、Akrur Barua、Diana Kearns-Manolatos、Timothy Murphy

執筆者はまた、本レポートに関連するリソースを取りまとめたClayton Wilkerson、本レポートの実現に向けてマーケティング戦略や関連アセットを推進したKimberly PraudaとNeelu Rajput、広報活動でリーダーを務めたAlyssa Weir、本レポートの発行をサポートしたDeloitte InsightsチームのCintia Cheong、Pubali Dey、Aparna Prustyに感謝を申し上げます。

カバーデザイン:Rahul Bodiga

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