最新動向/市場予測

競争戦略としてのサーキュラー・エコノミー

Automotive Newsletter Vol.25 (2016/12)

近年、「自動車を含むあらゆる業界の産業構造やビジネスモデルの再構築をもたらすアジェンダ」であるサーキュラー・エコノミーというコンセプトが欧州で提唱され始めた。まだ衆目を浴びてはいないものの自動車産業に大きな変化を強いるであろうサーキュラー・エコノミーのインパクトと対応の方向性について解説する。(Automotive Newsletter Vol.25)

サーキュラー・エコノミーがもたらす変化

欧州で提唱され始めたサーキュラー・エコノミーというコンセプトには、3Rの延長線上では捉えきれない広義の「循環」の意味合いが込められている。それは、「自動車を含むあらゆる業界の産業構造やビジネスモデルの再構築をもたらすアジェンダ」と認識される。しかし、日本では環境セクターの一部を除き、衆目を集めるには至っていない。

本稿では当コンセプトを概説すると共に、そのトレンドが自動車産業にもたらすインパクトと対応の方向性について解説する。

 

地球資源の危機

2016年現在、全世界の人口は約73億人に上るが、国連によると2050年には100億人近くになることが予測されている。人口増大・経済成長は、すなわち資源利用量の増大を意味しており、今後の指数関数的な需要(人口)増大は、限りある地球資源に危機的な状況をもたらす可能性がある。事実、長きに渡り安定していた資源価格も、新興国経済の本格的台頭に歩調を合わせるように、この10年間は高いボラティリティを見せており、資源の安定供給の前提条件が崩れ始めていることが示唆されている。

 

「リニアエコノミー」から「サーキュラー・エコノミー」へ

資源効率向上に向け、経済成長と資源利用のリニアな関係性を断ち切り、持続可能な経済システムへの再構築を図るのが「サーキュラー・エコノミー」である。そしていち早くこれに取り組んでいるのが欧州であり、2015年12月に「The Circular Economy Package」にて基本概念と枠組みが示された。

 

「サーキュラー・エコノミー」が自動車ビジネスに与える影響

製品設計時から資源効率性を考慮に入れた取組みが必要であり、特に「再生材の活用拡大」と「エコデザインが捉える範囲の拡張」の点で今後大きな変化を強いられるかもしれない。また、グローバルベースで中古部品市場がますます活発化することが考えられ、アフターサービスにも影響を及ぼす可能性を秘めている。
新興国の自動車市場は急拡大を遂げており、これは将来的な廃車の大量発生の可能性を示唆している。日本の自動車産業は相応の費用と手間をかけ、世界的に見ても極めて実効力の高いリサイクルシステムを形成しているが、これは日本の特殊な環境でのみ実現できることだ。将来の大量発生するであろう廃車の処理について、現地の実情に合わせたインフラ構築や法制度に関する支援が必要である。

 

顧客接点・ビジネスモデルの変化

世の中の資源のムダの解消を目指す上では、製品の生産過程に留まらず、製品が消費者の手元に移った後に生じている大きなムダに切り込んでいくことも有効だ。フロー(製品の販売)だけでなく、ストック(販売後のアセット)にもアプローチすることに他ならず、「モノづくり」に留まらない「コトづくり」へのチャレンジが求められる。こうした取組みは、販売後も顧客とのタッチポイントを維持し続けることを可能にするIoT/コネクテッドのトレンドと極めて相性が良く、テクノロジー進化との相乗により、今後本格的にビジネス機会が拡大していくだろう。

 

※Automotive Newsletterの冊子をご希望の方は、Vol.番号、部数、継続送付希望の有無をご記載の上、問い合わせフォームよりご連絡ください。

お役に立ちましたか?