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エネルギー多様化時代における商用車パワートレイン戦略

Automotive Newsletter Vol.20 (2014/12)

エネルギーの多様化、新興国メーカーの台頭など商用車業界を取り巻く劇的な環境変化を的確に捉え、日系商用車メーカーが今後どのようにパワートレイン戦略を立案し、成長性・収益性を確保すべきか、その方向性をまとめた。(Automotive Newsletter Vol.20 2014/12)

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商用車メーカーが取るべき代替・次世代パワートレイン戦略

昨今、エネルギーの多様化、新興国メーカーの台頭など商用車業界を取り巻く環境は劇的に変化している。このような環境変化を的確に捉え、競争力の源泉であるパワートレイン領域について、日系商用車メーカーが今後どのように戦略を立案し、成長性・収益性を確保すべきか、その方向性をまとめた。

商用車主戦場は新興国へシフト

商用車を含めた自動車全需要は、かつての日米欧から新興国へシフトし、2008年より中・大型商用車販売台数の70%以上を新興国が占めている。

新興国メーカーの域外進行

商用車世界市場はローカルメーカーの「有」「無」にて大別でき、「有」の市場においては、ローカルメーカーの独占市場が目立つ。ローカルメーカー「無」の市場では、日米欧の先進国メーカーの域外侵攻が一巡し、各国毎に主要なメーカーはほぼ固定されていたが、近年、ASEANやアフリカの中型トラック市場では、新興国メーカーが台頭している。

各国エネルギーの“Localization”

各国エネルギー消費を構成する燃料・エネルギー源は国によって大きく異なる。今後、さらに自国で取れる資源を活用する動きが加速すると見られ、エネルギーの“Localization”トレンドは続くと想定される。

一次エネルギー多様化に伴うパワートレインの変化

一部の国では、一次エネルギーの多様化を受け、石油燃料代替・次世代技術普及の素地が整い、部分的な代替が起こっている。このような要素が揃い始める中、モータリゼーション初期の新興国では、比較的インフラのスイッチング・コストが低い事から、運輸燃料およびパワートレインの変化がいち早く起こる。また先進国においても、用途などを限定した部分的な運輸燃料およびパワートレインの代替は充分起こりうると想定される。

1. 石油系燃料価格の高騰および不安定化
2. 産業育成モデルの多様化
3. ユーザーの環境意識の高まり 

商用車パワートレイン変化による競争環境激変の可能性

代替・次世代パワートレインへの移行は過去のパワートレイン技術の不要化を意味し、競争環境を一変させる“ゲームチェンジャー”となり得る。

新興国商用車メーカーの代替・次世代技術対応と既に起こり始めた“ゲームチェンジ“
主要メーカーの代替燃料・次世代パワトートレイン対応状況を見ると、日米欧だけでなく新興国メーカーでさえ幅広の技術に対応していることがうかがえる。新興国メーカーが域外侵攻を視野に入れ始めた今、技術を活かして“ゲームチェンジ”し、日系の縄張りを切り崩しにかかるという動きを、現実に進めている。
日系商用車メーカーの代替・次世代パワートレイン活用によるサステイナビリティ確保
強みを持つ代替・次世代パワートレイン技術を日系メーカー自ら積極的に市場に普及させる事により、未成熟領域が残る技術においての性能競争、技術性能向上=製品価格差への転化、が行えるため、長期的には事業の利益水準を維持した成長を可能にするものと考える。

代替・次世代パワートレイン戦略策定プロセス:国別の背景課題読み取き・長期シナリオ導出

1. 結果指標だけに囚われない長期視点での考察を
2. 地域を一括りにしない国別の視点の必要性
3. 長期先読み・深堀りがリスクヘッジに

国別代替・次世代パワートレイン戦略の方向性

1. 自社シェア高・技術シーズ一致国:シェア・利益確保可能な最優先市場
  他社による縄張りの切り崩しを防ぎ、自社のプレゼンス維持・拡大を磐石なものとする打ち手の検討が必要となる。 

2. 自社シェア高・技術シーズ不一致国:シェア維持を優先する市場
  他社の代替・次世代パワートレインによる市場切り崩しを最小化・無効化させる打ち手の検討が早急に必要となる。

3. 自社シェア高・技術シーズ不一致国:シェア維持を優先する市場
  自社の代替・次世代パワートレインが、他社の強固な縄張りを突破できる強力な手段であると認識をすべきだろう。 

4. 自社シェア低・技術シーズ 不一致国:投資見直し市場
  投資配分先を他市場に振り向ける事を検討するべきである。単純な過当競争に飛び込む事は避け、
  市場の拡大と利益の創出を共に達成できる市場に参入すべきであろう。 

国別代替・次世代パワートレイン戦略を更にプロアクティブに進める方法

新興国プレイヤーなどへの対抗・対応手段に加えて、先手を取り、競争を優位に進めるにはどうするべきか。
1. ルールメイクによる政策誘導:各国政策を自社の強みが活きる方向に誘導する
2. 外部技術の積極的取り込み:自社の強みを、非連続的に形成する
3. 上位の(全社)戦略でのロードマップ形成:中期経営計画での具体的なプラン提示

おわりに

代替・次世代パワートレイン技術は、今後各市場でのシェアを維持・獲得していく為の重要な差別化要素であり、結果的に当該国の社会トータルコストを低減出来る事から、ユーザー国そしてメーカーがそのコスト低減分=利益を分配・享受し易い。積極的な代替を牽引する事が日系商用車メーカーの勝ち残りに繋がる。

今こそ、代替・次世代パワートレイン戦略を策定し既存の戦略と照らし合わせ、“利益を伴う”将来の事業の維持・拡大プランを練り直すべきである。 

 

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