最新動向/市場予測

オープンイノベーションの今

Automotive Newsletter Vol.18 (2014/10)

日本自動車産業が将来もイノベーションの中心であり続けるためには何をすべきだろうか? 日本のオープンイノベーションが実行段階に入った今、現状を再認識して日系企業の課題を考察する。

関連コンテンツ

オープンイノベーションの現状

この10年、「オープンイノベーション」、「研究開発の外部連携」というキーワードが定着し、重要な経営テーマとなっている。自動車業界においても、自前開発だけでは対応しきれない状況にありシリコンバレーに研究開発拠点を設置する企業が相次いでいる。日本のオープンイノベーションが実行段階に入った今、現状を再認識して日系企業の課題を考察したい。

オープンイノベーションの最新状況

オープンイノベーションを取り巻く環境は刻一刻と変化している。
(1) シリコンバレーの変化
ITのイメージが強いが、先端材料、ロボティクス、バイオ等の領域でも世界トップレベルの実力を有している。2012年頃からはものづくりベンチャーやそれを支援するアクセラレーターが登場している。
(2) 第二のシリコンバレーの勃興
世界中で第二、第三のシリコンバレーを創生する動きが加速している。自動車業界において最も注視すべきはイスラエルである。
(3) クラウドソーシングのR&Dへの応用
米国で2006年頃より誕生した、マッチングサイトであるクラウドソーシングサービスは、その仕組みが技術ニーズとシーズのマッチングに応用されるようになり、世界の知的リソースへのアクセスが飛躍的に容易になった。
(4) 古くて新しいドイツのエコシステム
ドイツは、メーカー個社が独自に開発するのではなく、産業全体の『知』を結集・分担して研究開発をしている。よって、自動車メーカーは自動車全体の完成度向上に注力することができているのである。

日系企業が陥る典型的な課題

日系企業における研究開発業務の外部活用が進まない理由を、外部検討活用プロセスに沿って考察する。
(1) 検討フェーズ
精査無くノウハウ漏洩のリスク論に傾注し、リスクの軽重、対策の有無を評価する前にアレルギー的に外部活用を拒否してしまう。
(2) 探索フェーズ
技術的実力より日本的な柔軟な対応力に重きを置いてパートナーを選定してしまう。また、事業化意識に乏しいため、候補企業に協業することのメリットを提示できず、Win-Winの原理原則から逸脱してしまう。
(3) 評価フェーズ
良い技術であればあるほど、自前開発部隊が敵・ライバルとして評価してしまい、対抗意識が芽生え採用に至らない。

自前開発の延長からの脱却 

これまで自前開発をしてきた組織・人材に突然外部活用を求めるのは容易ではなく、現場での不整合が発生する。我々は『オープンイノベーション』を推進するための経営改革として、以下を提案したい。
(1) 事業競争起点の技術戦略
(2) 調達部門の役割見直し
(3) 技術者の評価制度の変更

外部活用は技術者のやりがいを高める手段

欧米勢は自国にイノベーションを産むエコシステムを抱え、オープンイノベーションを当然のごとく行ってきた。それに対し、日本は自前で善戦してきたといえる。しかし、これからの競争では日本も産業、更には地球にレバレッジをかけて戦う術を身につけるべきであろう。
外部活用は技術者のやりがいを高める環境づくりの一環であり、経営課題の一つである。技術戦略とは、新技術が商品化され、より多くのお客様に喜ばれる技術の開発に取り組む環境を作ることだといえる。オープンイノベーションのメリットを理解したトップの長期的なコミットが絶対的に必要なのである。

日本が強くなるために

日本のイノベーションエコシステムを増強するには、産学官連携の強化と日本に存在する唯一無二の技術を有する企業の更なる有効活用が必要である。

イノベーションは一日にしてならず。日本自動車産業が10年、20年後もイノベーションの中心であることを期待している。

 

※Automotive Newsletterの冊子をご希望の方は、Vol.番号、部数、継続送付希望の有無をご記載の上、問い合わせフォームよりご連絡ください。

お役に立ちましたか?