ナレッジ

自動車業界の再編と実務上の留意点

生産・販売の海外シフト、新エネルギー・次世代技術の開発など、目まぐるしく変化を遂げる自動車業界で勝ち残り持続的な成功を達成するには。今自動車業界におけるキーワードは『合従連衡』である。

自動車業界における再編動向

自動車業界では、生産・販売ともにより一層重要性が増す海外市場、環境対策として新しいエネルギーを用いた次世代自動車の開発など、目まぐるしい変化への対応が求められている。
自動車部品サプライヤーにおいても、完成車メーカーの動向に足並みをそろえて生産・販売拠点のグローバル化対応とともに、部品の電装化・モジュール化などの技術革新への総合的な対応がもはや不可欠である。しかし、市場も技術も、あらゆる領域に総花的に対応することは資金的にも時間的にも難しい。このような中、M&Aを駆使して自社の製品ラインナップや研究開発領域を拡大し、国境や系列を超えて多品種の供給体制を有する海外のメガサプライヤーの影響力が増加している。
今、自動車業界におけるキーワードは『合従連衡』なのである。

自動車業界A社の系列再編

日本では、昨年自動車業界A社が系列サプライヤーの事業再編に乗り出し、グループ内で重複して手掛けてきた事業を、本社や系列子会社に集約する方針を発表した。
2015年以降、ブレーキ事業やMT事業は系列会社B社グループへ、シート事業は系列会社C社へ、ディーゼルエンジン事業等は系列会社D社へそれぞれ集約すると共に、開発支援機能、セールス・マーケティング機能、モータースポーツ事業等を自動車業界A社本体へ集約する(図表1)。
この一連の事業再編により、系列サプライヤーにおける各領域の専門性を高め、生産技術や研究開発の効率性を向上させることで、競争力強化を狙う。(各種報道より)
このように、再編の機運が高まる自動車業界において、会社単位ではなく事業・機能単位で機動的に整理・統合していくというトレンドは、今後続くだろう。

図表1:自動車業界A社の系列再編

出典:各種報道情報よりデロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー作成

再編実務における留意点

事業再編を成功させるためにはどのようにすべきか。事業再編とは「事業」を企業間で移転させることである。M&Aに準じた交渉(ディール)が行われるが、M&Aにはない特有の論点が存在する。特に、事業単位での切り出し(カーブアウト)が必要となることが多く、その実行に留意が必要である。有形無形の経営資源が有機的に一体となり機能して初めて「事業」となるが、カーブアウトによる再編では、必要な機能が具備されるよう経営資源の移転を図らねばならない。人材(人事や年金制度)・知的財産・各種契約など、ビジネスを行うために必要なあらゆる経営資源について、切り出しや統合上の留意点がある(図表2)。
また、カーブアウトを伴う再編の実行においては、特に切り出す側にて入念な事前準備と十分な情報整理を行うことが肝要であり、一貫性を持った有機的な情報コントロールこそが、円滑な再編を実現する重要なポイントである(図表3)。
事業再編の圧力が高まる中、その実行を検討するにあたっては、このような論点に注意して対応を進めていただきたい。

図表2:カーブアウト案件ー多岐に及ぶ課題

図表3:カーブアウト案件における弊社のサポート

 

 

 

お役に立ちましたか?