最新動向/市場予測

Post COVID-19への適応戦略

Automotive Newsletter Vol.35 (2020/06)

全世界に急速に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、自動車業界は戦後最大と言われる未曽有の危機に直面している。本稿では、COVID-19により社会・事業者・消費者においてどのような環境変化が生じるのか、そして“Post COVID-19”の世界観で自動車関連企業が取るべきアクションについて具体的な方策も交えて考究する。

はじめに

COVID-19が社会・事業者・消費者に対してどのような影響を与え、今後どのような環境変化が生じうるのか。そして“Post COVID-19”の新たな世界観の中で、自動車企業各社がどのようなアクションを取るべきなのか、具体的な方策も交えて考察したい。

COVID-19による社会への影響
日本では、2020年4月17日に緊急事態宣言が全都道府県に発令され、不要不急の外出や営業活動の自粛等による社会活動への甚大な影響が出た。徐々に経済活動の再開が行われているものの、それまでの影響は想像を絶するものであり、2020年はリーマンショックを超える経済悪化が見込まれている。

COVID-19による事業者への影響
感染終息の目途が立たない中、多くの企業で設備投資は凍結・減額等により必要最低限に抑制する一方、正社員の雇用や給与は現状維持に努め、投資抑制による資金繰りの改善を図ろうとしている。

製造業では、海外(特に中国)からの部品調達難、自粛要請による生産人員の不足や需要減少に直面している。中でも、自動車業界はCOVID-19の影響を最も受けている産業の一つであり、それはサプライチェーン全体に波及している。

COVID-19による消費者への影響
不要不急の外出や対面でのコミュニケーションを避けるなど、消費者の行動にも大きな影響を及ぼしている。移動の制限を余儀なくされる環境において、消費者の生活や行動は変化しつつあり、様々な交通手段における消費者の移動量は大きく減少している。消費者が移動せずとも生活を営む工夫が始まっており、 “Post COVID-19”の世界では「バーチャル化」がキーワードとなる。

Post COVID-19に向けた企業の方向性
COVID-19を“一時的なショック”と捉えるか、“永続的な変化”と捉えるか。
世界中が未曾有の危機に直面しており将来の不確実性が増した現状では、世の中は非連続的に変化し、COVID-19発生前とは違う世界、即ち“New Normal”が定着する可能性が高いと考えるのが妥当だろう。そして、企業は今、“New Normal”への適応戦略を検討する局面に立っているのである。

“Post COVID-19”の世界で企業が持続的に成長を遂げるには、「3つのD(Diagnosis、Decentralization、Digitalization)」を中心とした取組みが重要になるだろう。この「3つのD」を踏まえ、「シナリオプランニング」、「サプライチェーン」、「マーケティング・営業」、「人事」、「IT」、「財務(事業再構築含む)」を検討する必要がある。

COVID-19により、今まで当たり前だと思っていた常識・世界は変わりつつある。しかし、日本の自動車企業は過去から積み重ねてきた世界に誇る技術・品質を武器に、これからの新しい世界においても社会に価値を提供し続ける日本経済の牽引役であってほしい。

世界は“New Normal”に舵を切った。今こそ適応戦略を検討するタイミングだ。

Post COVID-19への適応戦略
お役に立ちましたか?