調査レポート

2022年度版「グローバル自動車消費者意識調査」

世界25か国・26,000人の自動車ニーズから、自動車業界の「今」を推し量る

激しい先端技術開発競争下、ニーズの変化へ的確に対応することは必須である。ファンダメンタルズの動静、生活様式の変容等、変数は多く、複雑に相互関連する。ウィズコロナの下、痛手を負うホスピタリティ産業、停滞する可処分所得と物価上昇による悩み、一方で、一定の活況を呈する市場。極端な二元論は本意ではないが、富の偏在は世の中に二極化をもたらすのか?自動車業界でも同じなのか。消費者の今を読み解いてみたい。

成熟市場や中間層の厚い国・地域では、先端技術への支払意欲が限定的

自動車の先端技術開発は日進月歩である。これらのフィーチャーに消費者が喜んで支払うおカネはいくら位だろうか?

「世界の56.7%の人は500米ドル相当以上の追加コストを払わない」、この結果を、どう解釈すべきか。ドイツ(70.8%)、次いで日本(69.6%)においてこの傾向が顕著、最も低かったのは中国(34.2%)である。

所得格差が小さい(ジニ係数比)国ほど先端技術への支払い意欲が低い(逆もまた)と言えるのかもしれない。言い換えると、成熟市場かつ中間層の厚い国・地域においては支払い意欲が低く、逆に、貧富の差が大きく、都市部の富裕層を中心に自動車保有が進む国・地域においては支払い意欲が高くなると推察できそうだ。

各国・地域における車両搭載技術ミックスを考える際には、「プレミア価格を支払う富裕層」と「コスパを求める非富裕層」というペルソナを両端におき、妥当なシナリオを探索するようなアプローチもあって良いだろう。

電気自動車購入意向と広義の「価格」の関係

国・地域を問わず、ICE(ガソリン・ディーゼル)車を次の購入対象にする消費者が最多となり、代替のパワートレインが人々の購買意欲を搔き立てるにはいまだ至っていないようだ。なぜなのか?

「航続距離」と「充電インフラの不足」への懸念は、どの国でも未だ払拭されていない。消費者は自宅で充電したいと感じているが、実際は物理的に設置できない、あるいは、値段が法外に高いと、消費者の7割弱が考えている。この点、我が国も例外ではなく、住宅事情も大きな影響要因であろう。

一方で、多くの国・地域の消費者は「燃料費の削減」を電気自動車の魅力と感じている。また、近時のカーボンニュートラルへの様々な取り組みも、消費者の「気候変動」や「排出量」への関心を高め、これは電気自動車普及の追い風と見てよいだろう。「電気代が値上がりすれば電気自動車購入を躊躇する」という消費者は35%に上り、維持費も含めた"コスト"面での優位性を明確に出来れば、電気自動車の普及は一層、加速するだろう。
我が国の消費者は、ICE車志向の75%、電動車志向の80%が、「500万円未満」をクルマの想定購入価格帯と考えている。これは、「パワートレインの新技術」に対して過剰なプレミアムを消費者が支払う意向がないことを示しており、電動車メーカー各社が利益確保に難渋している要因のひとつと示唆される。

コロナ禍で自動車購入に弾み。MaaSの成長力は一歩後退か

コロナ禍を契機に、消費者の自動車保有に対する意識は変わりつつある。特に、アジア諸国において公共交通機関の回避を目的に、クルマの購入を考える消費者が増加した。我が国でも、特に都市部でその傾向は顕著である(17% vs. 全国平均10%)。公共交通の高い利便性、駐車場代を含めた維持コストの高さ、一人世帯の増加など、自動車保有を妨げると、これまでよく言われてきた要因を差し置いても、自動車を保有するニーズが都市部を中心に一定数存在するという、本調査からの示唆は興味深いと言えるのではなかろうか。

一方で、従前からひとつの選択肢として言われてきた、公共交通機関のMaaSによる代替、については、消費者はどのように考えているのだろうか。依然として、日本(27%)や韓国(31%)では、公共交通機関を好む消費者の比率は高い。また、大規模MaaSプラットフォームが展開している(日本、韓国以外の)国々でも、依然として、自家用車が主要な移動手段と考えられている。もちろん、経済レベルや自家用車保有率等の要因を考慮する必要はありつつも、消費者によるMaaS受容度が高い国・地域の消費者ほど、公共交通機関の回避を目的にクルマの購入を考える傾向がみられ、MaaSはコロナ禍を経てその成長度合いを一歩後退させる可能性もあると言えよう。

車のオンライン購入とサブスクリプションは「利便性」と「スピード」が勝負

たとえコロナ禍でも、消費者は「対面で車を買う」ようである。大きな買い物なのだから、「実車をみて、試乗して、営業担当者と価格交渉をしたい」、とても頷ける意見である。一方で、消費者はオンライン販売の「利便性の高さ」と「短納期(納入の速さ)」について、どの国・地域でもおしなべて、一定の価値が見出されている。オンライン販売は、当面はマジョリティにはならないかもしれないが、明確な武器を持っていることも、また真実だろう。

では、クルマの「保有」はどうだろうか。どの国・地方の消費者も、大多数は自家用車を志向している。一方、少数派ではあるが、東南アジア・中国などを中心に、サブスクリプションに興味を持つ層が一定数存在するようだ。その理由は、オンライン販売と似ている部分があり、「利便性の高さ」や「スピード(=納入の速さ)」が、その価値とみなされている。我が国においても、消費者は「スピード(=納入の速さ)」を評価しており、これは常態化する「納入待ち」の裏返しかもしれない。

また、本調査においても、我が国消費者の若年層において、サブスクリプションの受容性が高いことが示唆されている。一方、ここでは「それが購入と同様もしくはそれ以下の値段で享受できること」を前提と考えていると見受けられ、今後の事業展開におけるターゲットの置き所には、一定の工夫は必要となるといえよう。

2022年グローバル自動車消費者調査(PDF)

※グローバル版(主要7地域の比較考察)こちらからダウンロードください。

クローバル版 [ PDF, 1MB]

 

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日本市場編 [ PDF, 1.5MB]
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成島 彰伸 シニアマネジャー 
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

 

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