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不公正ファイナンス

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「不公正ファイナンス」について概説します。

1. 不公正ファイナンスの概要

不公正ファイナンスは、証券発行市場において調達した資金を不当に社外流出させることなどを目的とした詐欺的行為であり、第三者割当増資や新株予約権の割当などの手口で行われる。また、発行後に同様のファイナンスが繰り返されたり、株価操縦、風説の流布、インサイダー取引、有価証券報告書虚偽記載(粉飾)など、他の不公正取引や違法行為を複合的に誘発する資本市場にとって大変危険な行為であり、金融規制当局による監視活動の重点課題の一つとされている。

不公正ファイナンスは、法律的な定義はないが、証券市場の規律機能の強化のために、金融規制当局が厳しい監視や処分を行っている不公正取引の一種である。

すなわち、形式的には会社法に規定されている発行手続に準拠して第三者割当増資や新株予約権の割当等を行うものの、調達資金を不当に社外流出させることなどを目的として経済実態のない会社やファンドに割り当てるなど、結果として既存株主持分の著しい希薄化を招く、発行市場を悪用した不公正な行為である。また、証券発行後においても債務超過や株式時価総額の基準割れ等による上場廃止を阻止するために同様のファイナンスが繰り返されたり、株価操縦、風説の流布、インサイダー取引などの不公正取引や発行体企業の有価証券報告書虚偽記載(粉飾)、調達資金のマネーロンダリングや脱税などの違法行為を誘発するなど、複合的に資本市場を毀損する恐れがある。こうした行為は業績や株価が低迷している新興企業を中心に仕組まれることが多いとされており、また、ファイナンスの割当先の背後には仕手筋や反社会的勢力の関与が懸念されるなどの問題も指摘されている。
 

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2. 不公正ファイナンスの事例

不公正ファイナンスは、上記に例示されている他の不公正取引や違法行為が複合的、連鎖的に実行されることから、個々の取引要素ごとに分解して違法性を判定するよりも、これらの一連の行為を発行市場から流通市場にわたる証券市場全体を欺く行為として捉えるほうが相当であるとして金融商品取引法158条の「偽計」が適用される傾向がある。

金融商品取引法158条
何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

図はその悪質性から偽計が適用された刑事告発事案である。
 

不正ファイナンスの事例

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