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略式組織再編

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「略式組織再編」について概説します。

1. 略式組織再編とは

略式組織再編とは、特別支配関係(他の会社の議決権の90%以上を保有する関係)にある会社間の組織再編について、被支配会社の株主総会の承認を省略できる制度をいう。略式組織再編制度は、吸収合併(会社法784条1項、796条1項)、吸収分割(同法784条1項、796条1項)、株式交換(同法784条1項、796条1項)、事業譲渡(同法468条1項)、事業譲受(同法468条1項)にて利用される(図表1を参照)。

図表1:組織再編手続き

最近の簡易組織再編(存続会社)及び略式組織再編(消滅会社)の主な事例

合併、会社分割、営業譲渡などの組織再編行為では、通常の場合、取締役会での承認、株主総会での特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要となる(同法783条1項等)。しかし、特別支配関係にある会社間では、被支配会社の株主総会を開催しても承認されることが明らかであり、形式的に株主総会を開催することになれば、時間的・費用的に負担となり組織再編にとって不便である。そこで法は、株主総会決議を省略できる要件を定めることにより、特別支配関係の会社間で迅速に組織再編を行うことができるようにした。これによって、組織再編における時間及び費用の負担が大きく軽減され、組織再編を機動的に実施することができるようになった。結果、略式組織再編はグループ内組織再編などの場面で多くの会社で利用されている(図表2を参照)。

なお、略式組織再編の要件を満たしている場合であっても、以下の場合、株主総会決議を省略することができない。

1.消滅会社等が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でなく、吸収合併又は株式交換における合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合(同法784条1項但書)。
2.存続会社等が公開会社ではなく、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が、存続会社等の譲渡制限株式である場合(同法796条1項但書)。
 

図表2:最近の簡易組織再編(存続会社)および通常の組織再編(消滅会社)の主な事例

2. 略式組織再編の手続例

存続会社が簡易組織再編の手続き、消滅会社は略式組織再編の手続によった場合の、吸収合併の主なフローは以下のとおりである(図表3を参照)。

前述のとおり、略式組織再編によった消滅会社側の手続きにおいて、合併契約承認株主総会を省略できることから、組織再編における時間及び費用の負担を大きく軽減することが可能となっている。 

図表3:組織再編手続のフロー図(存続会社:簡易組織再編、消滅会社:通常の組織再編)

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