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パーツカテゴリに応じたSCMスキームの構築

サービスパーツマネージメントの肝は「カテゴライズ」

商品がコモディティ化する中で、競合との差別化要素となりうるアフターサービスの質を高めることは企業にとって生命線と言っても過言ではありません。また、サービス事業は他の事業に比べて利益率が高く、企業における収益貢献という意味でも見逃すことのできない貴重な柱です。にも関わらず、サービス提供の前提となるサービスパーツSCMが製品とは決定的に異なる特性を踏まえて最適に構築されているケースは多くありません。

サービスパーツを含むサービス事業の重要性

製品自体の機能、価格面での差別化が難しくなってきている業界においては、競合に比べて圧倒的に質の良いサービスを提供できるか否かが勝敗を分ける重要な要素となります。実際に、製品購入後に不満を持ち、苦情を言ってきた消費者に対するサービスの良し悪し(対応に満足いただけたか/いただけなかったか)により、その消費者の同メーカー製品の再購入率が格段に異なるという、調査結果に基づく考え方があります(グッドマン理論)。つまり、製品自体の機能、価格、外観が消費者を惹きつけるポイントであることはもちろんのこと、製品販売後のサービスの質も製品ビジネスに非常に大きな影響を及ぼす競合との差別化要素であることは明白です。

一方で、「自社の業績に対する貢献度」という観点でのサービス事業の重要性はと言うと、こちらもサービスパーツを含むサービス事業がいかに重要であるかを物語る結果となっています。例えば、ライフサイエンス、ハイテク通信、航空宇宙・防衛、自動車、各種製造業といった全ての業界において、60%以上の企業がサービスパーツを含むサービス関連事業で10%以上の売上を計上しています(出典:Deloitte Global SPM Benchmark Survey )。中でも航空宇宙・防衛業界においては7割以上の企業が30%以上の売上をサービス関連事業で計上しています。また、サービスパーツを含むサービス関連事業は、企業全体の収益性に比べて非常に高い収益性を確保しています。

このように、競合に対して自社を差別化し、本業である製品購入に大きなインパクトを与えるという面、及び、収益性の高さによる自社業績への貢献という面からサービスパーツを含むサービス事業の重要性がお分かりいただると思います。

全ての業界において、60%以上の企業がサービスパーツを含むサービス関連事業で10%以上の売上を計上しています。

サービスパーツを含むサービ関連事業は、企業全体の収益性に比べて非常に高い収益性を確保しています。

「必要なときに、必要なだけ、必要なところへ」

サービスの重要性がわかったとして、サプライチェーンマネージメントとしてどのように顧客への最高のサービス提供に貢献できるのか。それは、サービス提供の前提となるサービスパーツを「必要なときに、必要なだけ、必要なところへ供給する」になります。言葉で書くと簡単かつ当たり前のことですが、製品に比べて品目点数が膨大、且つ、物により性質の大きく異なるサービスパーツを適切にマネージするには製品と同じやり方では上手くいきません。また、「安全を見て多めに在庫を持つしかない」と考えても、やはり資金的な制約もあり膨大な品目点数の在庫を満遍なく一定量確保するというのは現実的ではなく、且つ、非効率です。在庫を多く持つことが必ずしも顧客からのリクエスト時に迅速に応えることにつながっていないケースは多々見られます。つまり、サービス提供に備えてパーツを構える際には、単に多めに持つということではなく、メリハリをつけて適切に持つことが肝要なのです。 

在庫を多く抱えたからと言って、顧客へのサービスレベルが高いとは限りません。

カテゴライズの必要性

サービスパーツのSCMを構築するに当たり、まず認識しなければならないのは製品との比較におけるサービスパーツならではの特徴です。サービスパーツならではの特徴としては大きく、1.「管理対象品目が膨大である」こと、2.「品目により特性が大きく異なる」という点が挙げられます。

1.については、製品をばらした単位であるサービスパーツごとに需要予測、需給調整が必要になるため、必然的に対象品目数が膨大になります。また、通常サービスパーツには製品販売終了後も一定年数の供給義務がありますので、量産期間中の需給調整を行う製品に比べて供給し続けなければいけない期間が長い分、対象品目数は多くなります。では管理品目数が多いことを受けて、SCM構築上で何に留意する必要があるかというと、それは「メリハリ」をつけるということになります。膨大な品目数のサービスパーツに対して、同じだけの労力をかけて需給調整をはじめとする業務を実行することは非常に困難ですし、もし実際に実行しているとしたら非効率と言わざるを得ません。そこで必要なのが「メリハリ」になります。サービスパーツを単なる「膨大な数の品目の集まり」から「人による重点確認が必要な品目/システムによる自動処理に任せても問題ない品目」、「前線に配備すべき緊急性の高い品目/製品稼動に影響がなく後方集約配備が可能な品目」といったカテゴリに分け、月次、週次の運用において力点をどこにどのようにかけるかを明確にする必要があります。ただでさえ品目数が多くて大変なのに、力をかけても仕方のないところに力をかけ、本来もっと力をかけるべきところに力がかけられないという非効率を排除する必要があります。

 

カテゴライズとそれぞれに応じた在庫配置モデルの適用 パーツ特性を踏まえて、在庫の前線配置、後方配置にメリハリをつけます

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