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Post M&AにおけるSCMとオペレーションの統合

企業の成長を支えるための一つの手段としてのM&Aの件数は、年々増加しています。しかしながら、多くの企業が、真の意味での統合を実現するには、至っておりません。その一つの要因として、M&A後の企業間のオペレーション統合がうまくいっていないことが挙げられます。ワンカンパニーとしてオペレーションレベルまで統合するための要諦を本稿で紹介いたします。

オペレーションまで含めた真の統合に向けて

当然ながら、M&A後、早期にシナジーを創出することが統合する企業には求められている一方で、実際に、M&Aが「成功した」と認識している企業は、M&Aサーベイの結果、全体の3割程度に留まっています。

M&Aにおける、戦略立案、トラブルレスのPMI実行については、M&Aの実行件数を重ねる度に経験値として蓄積されるが、「オペレーション統合」においては、各企業、なかなか踏み込めておらず、一部の経験者に委ねられ、属人化しているのが現状です。物流統合、調達統合等、目に見える範囲での対応は、しっかり行い、それなりに効果を挙げているが、バリューチェーンを横串で見た場合の全体最適化されたリーンなオペレーションを実現できている企業は、少なく、統合後何年も経っているのに、未だに旧社名で呼び合い、それぞれがどのようなコンセプトでオペレーションを設計して、実行しているかを理解し合っておらず、オペレーションレベルまで含めた、「真の統合」が実現されていません。

M&Aを確実に成功させ、ワンカンパニーとしてのシナジーを早期に創出するために、弊社では、PMIの戦略・実行時のオペレーション統合に向けたブループリントの作成を推奨いたします。オペレーションレベルでの統合を確実に実行するためには、以下の4つが大きなポイントとなります。

(1)早期の統合企業間の実態把握

(2)戦略の意図を継承した、バリューチェーン毎の目標の設定

(3)各バリューチェーンの要件を実現するための、サプライチェーンモデルの定義

(4)定義したサプライチェーンモデルを実現するためのオペレーション・ITの設計・構築

戦略と整合したバリューチェーン統合

戦略を一足飛びにオペレーションに反映することは、経営者が担当レベルに対して直接指示するようなもので難しく、実際には、段階を経て、オペレーションレベルまで戦略を落とす必要があります。各オペレーションの指針となるバリューチェーン毎の目標設定、横串でつなげるサプライチェーンモデルの設計が必須となります。

 

(1)早期の統合企業間の実態把握

DAY1以前に、統合企業間の実態を隅々まで把握することは困難な場合もあるが、少なくとも、各バリューチェーンの目標を設定できるレベルでの実態の把握は、必須だと考えられます。

(2)戦略の意図を継承した、バリューチェーン毎の目標の設定

収益性重視、スピード重視、売上重視等、戦略レベルでの方針を、各バリューチェーン(研究開発、設計、需給調整、生産、調達、物流、販売、サービス等)レベルで、あるべき姿を描き、それに向けた施策を設定します。

(3)各バリューチェーンの要件を実現するための、サプライチェーンモデルの定義

各バリューチェーン毎のあるべき姿、施策を考慮したサプライチェーンモデルを定義します。モデルを定義するに際しては、各バリューチェーンの要件を実現するための拠点の統廃合、商流・物流の設計、在庫の配置計画をいくつかのシナリオを策定して、弊社のトータルコストシミュレーターを活用して、税やリスク等も一定のルールでコスト換算して、最適なシナリオを選定します。

(4)定義したサプライチェーンモデルを実現するためのオペレーション・ITの設計・構築

トータルコストシミュレーションにより、最適なサプライチェーンモデルを定義した後に、そのモデルを実現するための、個々のオペレーションとITを設計し、構築、実行へ移します。製品の定義、原価管理のルール、工程の定義、需給調整ルール等、統合会社間で、必ずGAP発生するオペレーション上のルールと運用手順をここで合わせ込みます。

プロフェッショナル

金澤 透/Toru Kanazawa

金澤 透/Toru Kanazawa

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

ハイテク業界をはじめとする製造業に対してグローバルでの経営管理およびサプライチェーンマネジメントの業務改革と情報システムの構想立案と導入・定着化コンサルティングを数多く手掛けている。 主な著書に『ハイリターン・マネジャー』(東洋経済)。 関連サービス ・ サプライチェーンマネジメント(SCM)(ナレッジ・サービス一覧はこちら) ・ カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)(ナレッジ・サー... さらに見る

藤岡 稔大/Toshihiro Fujioka

藤岡 稔大/Toshihiro Fujioka

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

外資系ERPベンダーから、大手コンサルティング会社を経て現職。一貫してSCM、生産管理領域の業務/組織/システム設計に従事。グローバル需給調整プロセス、S&OPの構築プロジェクトの経験が豊富であり、グローバルかつ大規模プロジェクトのマネジメントに強みを持つ。 関連サービス ・ サプライチェーンマネジメント(SCM)(ナレッジ・サービス一覧はこちら) ・ カスタマーリレーションシップマネジメント(C... さらに見る