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基準改正に伴う私学振興助成法監査の変更点 

~学校法人委員会実務指針第36号の改正~

学校法人委員会実務指針第36号「私立学校振興助成法第14条第3項の規定に基づく監査の取扱い」が平成27年10月7日に改正された。今回の改正は、1.新しい学校法人会計基準への対応、2.「一般目的の財務報告の枠組み」および3.「適正表示の枠組み」の考え方の整理、様式の変更、の3つの観点から行われた。

1.「新しい学校法人会計基準への対応」の観点

「新しい学校法人会計基準への対応」に関しては、監査報告書の記載例において従来の消費収支計算書を事業活動収支計算書に名称変更している。またこの名称変更に関連し文部科学大臣所轄学校法人に関しては監査事項の指定に関する告示が新たに公表されているため、監査報告書の記載例でも告示の日付を昭和から平成に変更している。特殊なものとして、記載例の中で除外事項付意見表明の場合の影響額の記載方法について、「教育活動収支差額」「当年度収支差額」への影響の記載例を示している。本文中での変更点は、第26項において追記情報に関する留意点を記載する中で、新基準で新たに注記することになった第4号基本金相当の資金を有していない場合の注記は、いわゆる「継続企業の前提」の注記には該当しない旨を明示している。

2.「枠組みの考え方の整理」の観点

「一般目的の財務報告の枠組み」および「適正表示の枠組み」の考え方の整理に関しては、第7項、第8項に記載している。第8項によれば、学校法人会計基準が広く我が国の学校法人の会計実務において定着していること、および計算書類の広範囲の利用者に共通するニーズを調整・反映すべく策定されていること、から「一般目的の財務報告の枠組み」であると整理している。また追加開示の規定があることから「適正表示の枠組み」であるとしており、結局のところ「一般目的」の「適正表示」であることから、私学振興助成法における監査報告書は従来と比べ大きな変更はないことになる。

3.「様式の変更」の観点

「様式の変更」に関しては、実務指針第36号の新旧対照表を見ると、かなり大きく変更しているように見受けられるが、大半は「様式の変更」によるものであり、形式的な修正である。具体的には、目次の作成、大項目に関する指定、第3項に記載があるがこの実務指針第36号では新たな要求事項はない旨の記載、語尾の修正、等々である。

監査報告書の例示

参考までに無限定適正意見で収益事業がない場合の監査報告書の例示は左記のとおりである。

(126KB,PDF)

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