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ウズベキスタンのビジネス環境と日本企業による進出状況

ウズベキスタンにおけるビジネス環境改善と日本企業の進出可能性 (2)

ウズベキスタンのビジネス環境と日本企業の事業機会や今後のウズベキスタン国内の政策動向の注目事項等について考察を行う。第2回目となる今回は、ウズベキスタンのビジネス環境と日本企業による進出状況について紹介する。

【第2回】

第2回目となる今回は、ウズベキスタンのビジネス環境と日本企業による進出状況について紹介する。

 

ウズベキスタンのビジネス環境

ウズベキスタンは1991年の独立から24年間統治を続けるカリモフ大統領の下、漸進的な市場経済への移行を続けてきた。

一方、漸進的な体制転換を重視するあまり、ビジネス面でも国有企業のプレゼンスが維持され、現在でも厳しい外貨管理規制や複雑な輸出入手続きが設定され、旧社会主義国特有の国が主導する経済体制が維持されるなど、ビジネス・投資環境整備が遅れている。

ただし、近年、ウズベキスタン政府はビジネス環境整備に向け、近代的な会計制度の導入やコーポレートの導入といった取組を進めている。

直近では、2016年11月に一定額までの外貨申告の廃止や輸出外貨の強制売却の撤廃などを含む「外為政策の優先的な方針に関する大統領決定(案)*5」案が公表されたのに続き、12月21日に外為自由化法の大統領決定案が公表*6された。

右外為自由化法が実現すれば、これまで最大の課題であったウズベキスタンからの外貨の持ち出しが実現することになり、企業や輸出業者にとって大きな事業環境の改善となる。

一方、後述するとおり、ウズベキスタンへの日系企業の進出は限定的である。2016年度の進出企業を国別でみると、従来から関係が深いロシア企業(102社)が進出数では第1位であるものの、中国企業(95社)と韓国企業(55社)の存在感が徐々に増している*7。

 

日本企業による進出状況

上記の外貨管理規制等の影響もあり、これまでの日本からウズベキスタンへの民間投資は、良好な二国間関係に見合うだけの規模には達していない*8。

これまでの主な民間投資では、本邦商社が出資するサマルカンドでのいすゞ自動車株式会社による中型バス・トラック組立事業といった投資成功事例は存在するものの、日本企業の活動は円借款に加え、ADBや世銀といった公的ローンを活用した輸出ビジネスがほとんどである。
そのため、経済・通商関係をどのように構築していくか、という点が引き続き日-ウズベキスタン関係の大きな課題となっている*9。

民間投資が伸び悩む中で、日本からウズベキスタンに対する投資は、主に経済援助を中心に行われてきた。

日本の経済協力を所管する独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)は、ウズベキスタンに対して運輸・エネルギーを含む経済インフラの更新・整備、市場経済化の促進と経済・産業振興のための人材育成・制度構築支援、社会セクターの再構築支援(農業改革・地域開発、保健医療)の3分野を中心に協力を行ってきた。

例えば、ウズベキスタンの電力セクターの改善に向けて、2010年に「タリマルジャン火力発電所増設事業」、2013年に「ナボイ火力発電所近代化事業」、2014年には「トゥラクルガン火力発電所建設事業」、2015年には「電力セクター能力強化事業」及び「タシケント熱電併給所建設事業」に対して円借款を供与するとともに、ウズベキスタンの電力セクター関係者を日本に招いて「電力会社マネジメント研修」と「ガスタービン研修」を実施するなど、ハード・ソフトの両面からアプローチしてきた。

このように、日本政府はODAを中心とする経済協力を中心にウズベキスタンの社会・経済発展を支援するとともに、インフラや法制度支援を行うことで同国のビジネス環境の整備を進めてきた。

今後は、これまでJICAの重点協力分野であったハードインフラに加えて、コーポレート・ガバナンスや民営化促進のための法整備など民間投資を呼び込むための制度・環境構築への協力が期待される。
 

*5 Uzbekistan to launch large-scale liberalization of the monetary policy in 2017. (29 November 2016) http://www.azernews.az/region/105769.html (2017年3月7日アクセス)
*6 JETRO HP「ウズベキスタン概要 経済動向」https://www.jetro.go.jp/world/russia_cis/uz/basic_01.html (2017年3月7日アクセス)
*7 2015年11月時点で現地進出済の中国企業は480社、韓国企業は410社であり日本企業(18社)を大きく引き離している(株式会社国際協力銀行(JBIC)加藤学「概況NOW:ウズベキスタン『ウズベキモデル―ウズベキスタン漸進主義の現状―(2015年11月)』)。
*8 2008年までに約24億円(財務省業種別・地域別直接投資統計、2009年以降は該当データなし)。
*9 JETROによれば、2016年7月時点での進出企業は商社を中心に18社である。【駐在員事務所】伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三井物産、三菱商事、豊田通商、日本電気、清水建設、日本交通技術、海外貨物検査、東電設計、JEX、金子産業、名古屋大学、オガワ精機、クボタ、【現地法人】ITS Nippon Ltd、【合弁企業】サムオート(中型バス・トラック組み立て)(JETRO HP「ウズベキスタン概要 経済動向」)。

 

図 2 日本の経済協力と今後協力が期待される分野

図 2 日本の経済協力と今後協力が期待される分野
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執筆者
有限責任監査法人トーマツ
アドバイザリー事業本部ODAインフラチーム 原田 幸憲

ウズベキスタンにおけるビジネス環境改善と日本企業の進出可能性(全3回)

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