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独立行政法人制度改革の基本方針

独立行政法人会計への影響

平成25年12月24日の「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が閣議決定されたことを踏まえ、平成26年6月には、第186回通常国会において独立行政法人通則法の一部を改正する法律案が可決されました。このように、平成26年度は、独立行政法人制度の様々改革が進んでいるところですが、これらの動向が独立行政法人会計に対してどのような影響を及ぼすのかについて、概括します。

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独立行政法人会計の今後の方向性(独立行政法人改革による影響)

1.独法改革の概要

 平成26年9月から12月にかけて、内閣官房行政改革推進本部の下に開催された「行政改革推進会議」の「独立行政法人改革等に関する分科会」において、独立行政法人改革が議論され、その結果として「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が平成25年12月24日閣議決定されています。
当該方針を踏まえ、独立行政法人の共通ルールを定めた「独立行政法人通則法」が平成26年6月6日の第186通常国会参議院本会議において賛成多数で可決されたことをはじめ、今年は様々な独立行政法人改革が進められています。
 このような独立行政法人改革が必要とされた背景には、独立の法人格を付与することにより、自主性・自立性を発揮させ、一層の業務の質の向上や活性化、効率性の向上等を図るという制度の趣旨が、独立行政法人通則法等により全法人を一律に規定する仕組み等により、十分に実現していないのではないかという問題意識などがあると考えられます。
 このような観点から、今回の独立行政法人通則法改正等により、例えば、以下のような点が改革される見通しです。

(1) 独立行政法人通則法改正により、中期目標管理法人、国立研究開発法人及び行政執行法人の3法人類型が新たに設定
(2) 改正後の独立行政法人通則法第28条の2第1項に基づき総務大臣が定める「独立行政法人の目標の策定に関する指針」及び「独立行政法人の評価に関する指針」では、新たな3法人類型ごとにその内容を提示
(3) 給与の水準や体系に関する自由度の向上
(4) 独立行政法人の調達を合理化(特に随意契約)
(5) 法人のインセンティブを機能させるため、利益剰余金に関して、経営努力認定、次期中期目標期間への繰越しの認定要件を改善

2.独法会計基準への影響

 一方で、これらのような独立行政法人改革を踏まえ、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」(平成23年6月28日改訂、以下「独法会計基準」)等の改訂が予定されています。例えば、以下のような点が改訂される見通しです。
(1) セグメント情報関係
  「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)では、「財務運営の適正化、説明責任・透明性の向上、経営努力の促進」を図る観点から、「法人の会計基準について、損益均衡の仕組みを維持しつつ、事業等のまとまりごとに区分された情報を充実するとともに、原則として業務達成基準を採用するなどの見直しを行う。」とされています。
 当該閣議決定を踏まえて行われた、第186通常国会や「独立行政法人会計基準研究会」(平成26年7月24日)の議論等によると、セグメント情報と独立行政法人の中期目標設定の際の指針である「独立行政法人の目標の策定に関する指針」や「独立行政法人の評価に関する指針」における目標設定及び評価の単位と整合性を図ることが検討されているようです。
中期目標等における単位と業務実績評価における単位とがセグメントと整合した場合、法人の業務実績と財務情報の対応関係がより一層明らかになり、独立行政法人がより説明責任を果たせるようになるとともに、財務諸表の情報を業務実績評価に活用できるようになるのではないか、という考え方によるもののようです。
仮に、このような方向性で議論が進んだ場合、現行のセグメント情報も中期目標との整合性の観点から、見直す必要が生じる可能性があります。また、今後、新たな中期目標や中期計画を策定する場合は、これらとセグメントとの関係も意識しなければならないことになります。
なお、当該閣議決定では「国から事前に使途が特定されない運営費交付金の根幹を維持しつつも、各法人の事業等のまとまりごとに予算の見積り及び執行実績を明らかにし、著しい乖離がある場合にはその理由を説明させることとする。」ともされていることから、セグメント情報の単位で、予算と決算の情報を開示することも想定できると思われます。

(2) 運営費交付金関係
 「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)では、運営費交付金の収益化基準について、「原則として業務達成基準を採用する」とされています。従来の会計基準では、運営費交付金の収益化基準について、業務達成基準、期間進行基準、費用進行基準の3つの基準が示され、どの方法が原則とするとは明示されていませんでしたが、今回の閣議決定により、業務達成基準が原則化される見通しです。
 原則化される業務達成基準については、「一定の業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている」ことが前提です。しかし、多くの法人において、このような対応関係が明らかでないとの理由から、業務達成基準が普及せず、費用進行基準が採用される傾向がありました。
 仮に、業務達成基準を採用する場合、年度計画の策定時点など、予め以下の2つの点を明らかにしなければならず、独立行政法人の業務のあり方に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
(ⅰ) 一定の業務等と運営費交付金との対応関係
(ⅱ)何をもって業務達成とみなすのか(業務達成の指標)

(3) その他
 この他にも、平成26年7月24日に開催された「独立行政法人会計基準研究会」では、閣議決定において取り上げられている単年度管理法人の運営費交付金の取り扱いや国庫納付等の開示の充実が論点とされています。
 また、閣議決定事項以外にも、「独立行政法人改革を実現するための環境整備」として、経営努力を利益に適切に反映させることができるよう、運営費交付金等の財源で取得したたな卸資産等に資産見返負債を計上するなども検討することとされており、その動向を注視する必要があります。

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