最新動向/市場予測

地方独立行政法人法改正について(その3)

地方独立行政法人会計基準等の改訂内容

地方独立行政法人法の改正を受けて、「地方独立行政法人会計基準及び地方独立行政法人会計基準注解」(以下、「会計基準」という)が平成29年3月31日に、また、「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」(以下、「Q&A」という)が平成29年5月26日に改訂されました。そこで、改訂された会計基準及びQ&Aの内容について、以下でご説明します。

1.地方独立行政法人会計基準等の改訂概要

今回改訂された地方独立行政法人会計基準等の改訂事項及び条文番号は、図1のとおり整理できます。各種地方独立行政法人の形態により改訂内容が異なっておりますので留意が必要です。

◆「地方独立行政法人会計基準及び地方独立行政法人会計基準注解」(外部サイト:総務省)

◆「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」(外部サイト:日本公認会計士協会)

図1

(図1)
※ クリックで新しいウィンドウで拡大画像を開きます

2.地方独立行政法人会計基準等の改訂内容(その1)

まず、第6次地方分権一括法による地方独立行政法人法改正に関する会計基準及びQ&A改正についてお伝えします。当該改訂は、一般型地方独立行政法人の公立大学法人のみが適用対象となります。

①業務の範囲に追加(公立大学法人による出資)

公立大学法人が大学等技術移転促進法により承認されたTLO(技術移転機関)に対して出資が可能になったことから、以下の点が主に改訂されています。

  • 出資金のキャッシュ・フロー計算書上の表示科目の追加(会計基準第67、注解44)
  • 出資に対する評価基準の新設(Q&A31-3)
  • 金融商品の時価等に関する事項の追加(Q&A78-4-6)等

②公立大学法人が行う長期借入金及び債券発行

設立法人以外の者からの長期借入金及び債券の発行が可能になったことから、以下の点が主に改訂されています。

  • 債券発行差額の会計処理の新設(会計基準第88、Q&A88-1、88-2
  • 貸借対照表上の「長期借入金」及び「公立大学法人債」、「債券発行差額」の科目追加(会計基準第15、第16、第55、Q&A15-4、)
  • 附属明細書の「公立大学法人債の明細」の新設(会計基準第77、Q&A77-2)

③公立大学法人及び公営企業型地方独立行政法人が行う余裕金の運用

当該事項に伴う地方独立行政法人会計基準等の改訂はありません。

④公立大学法人による附属学校の設置

大学附属の学校の設置が可能になったことから、以下の点が主に改訂されています。

  • 附属学校を有する全ての公立大学法人において共通にセグメント情報を開示する取扱いとする(Q&A41-3)

次回は、国の独立行政法人会計基準の動きを踏まえた会計基準及びQ&Aの改正について、解説する予定です。

お役に立ちましたか?