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開業までのプロセス、RFP(公募・選定) ~我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点(1)~

統合型リゾート(IR、Integrated Resort)

本稿では、「開業までのプロセス、RFP(公募・選定)」をテーマに、IR整備法の主要論点の解説を行います。区域整備計画の申請機会は2回設けられる可能性があるため、IRビジネス参入においては、地方自治体の申請時期を見据えたプロジェクトマネジメントが必要となります。特に、1回目を目指す地方自治体は、早期にRFC等の取組みを実施することが必要となります。また、民間事業者は、RFCやRFPに向け、事業計画の作成・精緻化、コンソーシアムの形成等の取組みが必要となります。

整備計画の申請機会は2回設けられる可能性がある

与党IR実施法に関する検討ワーキングチームでは、区域認定数の見直し前においては、整備計画の申請機会は2回設けられる可能性があることが示されました。

日本の統合型リゾート(Integrated Resort、以下「IR」という。)の議論においては、開業までのプロセスは、民間事業者に関しては、主に事業計画のロードマップ、地方自治体に関しては、主に事業者公募(いわゆるRequest for Proposal、RFP)のロードマップへの影響があり検討が進められてきました。

与党IR実施法に関する検討ワーキングチームでは、事業者選定及び区域認定までのプロセスは以下2段階選抜となる可能性があることを示されました。

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「与党IR実施法に関する検討WTとりまとめ」をもとにデロイト トーマツ作成


整備法により示された主なマイルストーン

  • 国土交通大臣による特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(以下、「基本方針」という。)の発表(第5条(基本方針))  
  • 都道府県等による協議会の設立(第12条(協議会))
  • 都道府県等(都道府県または指定都市)による特定複合観光施設区域の整備の実施に関する方針(第6条(実施方針))
  • 都道府県等による民間事業者の公募(RFP)(第8条(民間事業者の選定))
  • 都道府県及び民間事業者と共同して特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下「区域整備計画」という。)を作成し、国土交通大臣の認定を申請(第9条(区域整備計画の認定))
  • 都道府県等は、区域整備計画を作成するときは、公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じる(第9条7項)

また、都道府県等の認定申請に当たっては、申請する都道府県等の議会の議決、立地市町村等の同意など、地域における十分な合意形成が必要になることが示されています。

なお、与党IR実施法に関するワーキングチームの整備法を作成する重要論点11項目に関して議論及び合意がされました。

11項目のなかで「開業までのプロセス」に関しては「地方自治体における準備状況を踏まえ、早期に日本型IRの効果を発現させるとともに、地元での合意形成等の手続きを確実に行う観点から、法定されるIR区域認定数の上限の下で、申請・認定のプロセスを2回行うことを検討する。」と合意され、これにより区域整備計画の申請・認定する機会が2回与えられる可能性があることが示されました。

 

IRビジネス参入においては、地方自治体の申請時期を見据えたプロジェクトマネジメントが必要となる

区域認定数の見直し前において、整備計画の申請機会は2回設けられる可能性があるため、申請タイミングについては地方自治体、企業ともに戦略的な検討が必要になります。

整備計画の申請機会が2回設けられる場合、1回目を目指す地方自治体は早期にIR事業者選定に向けた準備、RFC等の取組みの実施が必要となります。

また、民間事業者は地方自治体がIR事業者選定に向けた公募(通称、「RFP」)に向けて事業計画の作成・精緻化、コンソーシアムの形成等の準備が求められます。

RFPでは地方自治体の求める事項に的確に回答するとともに、精緻な事業計画策定が成功の鍵となります。

デロイト トーマツ グループでは、RFC/RFP対応、事業計画策定にあたり以下のアドバイザリーサービスを提供します。

  • RFC/RFP対応支援
  • IR事業の収支構造の理解
  • 事業計画のモデリング実施
  • ゲーミング収益、投資規模試算
  • IR全体事業計画シミュレーション
  • 各種パラメータの感度分析 等

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。

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