カジノ管理委員会による背面調査 ~我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点(2)~ ブックマークが追加されました
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カジノ管理委員会による背面調査 ~我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点(2)~
統合型リゾート(IR、Integrated Resort)
本稿では、「カジノ管理委員会による背面調査」をテーマに、IR整備法の主要論点の解説を行います。IRビジネスに参入する企業等に対しては、廉潔性確保の目的でカジノ管理委員会による厳格な背面調査が実施されるため、将来の背面調査を見据えた事前対応が必要となります。また、背面調査において当局から指摘を受けないように、内部管理・監査体制の構築、組織設計、コンプライアンス、規制対応等も検討する必要があります。
目次
- IRビジネスグループのアドバイザリーサービス
- IRビジネスグループとは
- IRビジネスグループの最新活動
- カジノ管理委員会による厳格な背面調査が実施される
- IRビジネス参入においては、将来の背面調査を見据えた事前対応が必要となる
カジノ管理委員会による厳格な背面調査が実施される
IR整備法では、カジノ免許の申請があったとき、カジノ管理委員会が、申請者及び申請者の事業活動に関係を有する者が十分な社会的信用を有する者であること等を審査するとされています。
また、背面調査に要する費用については、実費にて手数料を徴収することとされています。
日本の統合型リゾート(Integrated Resort、以下「IR」という。)の議論においては、世界最高水準のカジノ規制を設けることで高い廉潔性を確保すべきという考えから、カジノ事業免許の付与に際しては厳格な背面調査を実施することが検討されてきました。
IR整備法第41条第1項では、免許申請者の適合性を審査するための基準は以下の通りとされました。
1. 申請者が、人的構成に照らして、カジノ事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。(第41条第1項1号)
2. 申請者がカジノ事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該カジノ事業に係る収支の見込みが良好であること。(第41条第1項6号)
3. 下記の者が十分な社会的信用を有する者であること。(第41条第1項2号~5号)
・申請者の役員
・出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者
・申請者の株主等で一定の基準以上の議決権等の保有者及びその保有者の役員
・IR区域の施設土地権利者及びその権利者の役員
また、第41条第2項では、申請者に暴力団員が関与している場合や申請者の提出書類に虚偽の記載がある場合、提出書類に重要な事実の記載が欠けている場合等、カジノ免許を与えてはならない場合が定められています。
カジノ事業者の株主への規制に関しては、第58条にて、議決権ベースでカジノ事業者の5%以上の株式を有する主要な株主等はカジノ管理委員会の認可を受けなければならないことが定められています。
その他のカジノビジネスへ参入する際の関連規制は下表の通りです。
条文番号 |
概要 |
---|---|
第95条 |
カジノ事業者の締結する契約の認可制度 |
第100条 |
カジノ事業者の許諾する再委託契約の認可制度 |
第114条 |
カジノ事業者の従業員の確認制度 |
第124条 |
カジノ施設供用事業者の免許制度 |
第131条 |
カジノ施設供用事業者の主要な株主等の認可制度 |
第133条 |
カジノ施設供用事業者の締結する契約の認可制度 |
第134条 |
カジノ施設供用事業者の従業員の確認制度 |
第136条 |
IR区域の施設土地権利者の認可制度 |
第143条 |
カジノ関連機器等製造業者等の許可制度 |
第150条 |
カジノ関連機器等外国製造業者の認定制度 |
第151条 |
カジノ関連機器等製造業者・カジノ関連機器等輸入業者・カジノ関連機器等外国製造業者の型式検定制度 |
第154条 |
カジノ関連機器等製造業者・カジノ関連機器等輸入業者・カジノ関連機器等外国製造業者の自己確認制度 |
第158条 |
カジノ関連機器等製造業者等の従業員の確認制度 |
第159条 |
指定試験機関の指定制度 |
そして、背面調査に要する費用に関しては、第234条にて、申請者が概算額の前払と差額の事後清算によって実際に発生した費用を国に納付しなければならないことが定められています。
IRビジネス参入においては、将来の背面調査を見据えた事前対応が必要となる
IRに参入する企業にとって、カジノ管理委員会による厳格な背面調査を受けるためには、事前の入念な背面調査準備が必要です。
例えば、役員及び従業員向け背面調査の理解、企業に対するライセンス申請に向けた模擬調査、個人に対するライセンス申請に向けた模擬調査等を検討する必要があります。加えて、背面調査制度を踏まえた内部管理体制の構築、内部監査体制の構築、組織設計、コンプライアンス、規制対応等も検討する必要があります。
また、背面調査費用の実費徴収はIRビジネス事業計画の策定においても適切に考慮しなければなりません。
一方、地方自治体にとっても、RFC/RFPを実施するにあたって、背面調査制度の理解を深め、地方自治体に求められる役割を適切に把握する必要があります。
デロイト トーマツ グループでは、背面調査に関連する以下のアドバイザリーサービスを提供します。
- 我が国での議論及び諸外国の事例を踏まえた、役員、従業員及び地方自治体に向けた背面調査の解説
- 企業に対するライセンス申請に向けた模擬調査
- 個人に対するライセンス申請に向けた模擬調査 等
背面調査の海外での実施内容等については、統合型リゾート最新情報内の「IR事業者の参入規制と背面調査」に詳しく記載されていますので、ご覧下さい。
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IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。
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本連載では、IR整備法のビジネス参入における留意点について、様々な視点からIRビジネスグループの知見を発信しています。
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IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。
また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。
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