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中核施設の要件・基準 / カジノ施設規模 ~我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点(4)~

統合型リゾート(IR、Integrated Resort)

本稿では、「中核施設の要件・基準 / カジノ施設規模」をテーマに、IR整備法の主要論点の解説を行います。IR中核施設に対しては、厳格な要求事項があります。具体的な基準値等については、政令で示されることが予定されていますので、政令における基準値を見据えた施設設計が必要となります。

IR(統合型リゾート)には施設への厳格な要求事項がある

IR整備法では、IR(Integrated Resort、統合型リゾート、以下「IR」という。)は最大6種類の施設で構成され、当該施設を適切に事業基本計画に組み込むこととされています。

日本のIRの議論においては、カジノ機能はIR施設を構成する機能の一つであり、カジノ機能はあくまで施設全体の中の一部に過ぎないという考えから、カジノ施設の規模に上限を設けることが検討されてきました。また、カジノ以外では5つの中核施設の機能等も求められています。

IR整備法第2条では、IRの定義については以下の通りとされました。

カジノ施設に加えて、以下の1~5の施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置・運営される6の施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置運営されるもの。

No. 

内容

1

国際会議の誘致を促進し、及びその開催の円滑化に資する国際会議場施設であって、政令で定める基準に適合するもの

2

国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催の円滑化に資する展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設であって、政令で定める基準に適合するもの

3

我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの

4

我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの

5

利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの

6

前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設

 

なお、上記の通り、具体的な基準値等については、政令で示されることが予定されています。

また、カジノ施設面積の基準についても別途政令で定められることが第41条1項7号にて示されました。

この点、与党IR実施法に関するワーキングチーム内では、カジノ施設規模について「我が国の場合は立地地域や規模が未確定であることなどから、絶対値で制限するのではなく、IR施設の延床面積の3%以下に制限する。その際、敷地ではなく、延床面積の3%とすることで、「一部に過ぎないこと」を確実に担保する一方で、依存防止については、厳格な入場回数制限や入場料の引上げ等と合せて万全を期す。」と合意されています。

 

IRビジネス参入においては、中核施設の要件を充足する必要がある

IRビジネスに参入する企業にとって、中核施設の要件・基準は事業計画の重要なパラメーターとなります。

また、地方自治体にとっても、IR導入に伴う税収効果や雇用効果を算定し、RFC/RFP実施準備をするため、中核施設の要件・基準は重要な前提条件となります。

デロイト トーマツ グループでは、RFC/RFP対応、事業計画策定、収支予測等に関連する以下のアドバイザリーサービスを提供します。

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それぞれの中核施設で想定されている内容については、統合型リゾート最新情報内の「IR推進会議取りまとめ(案)の概要とIR実施法案」に詳しく記載されていますので、ご覧下さい。

※上記に記載した内容の最新情報については、統合型リゾート最新トピックス内の「IR整備法施行令(中核施設の要件)の解説」に詳しく記載されていますので、ご覧下さい。

本稿に関して、より詳細な内容や関連資料等をご要望の場合は以下までお問い合わせください。
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連載「我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点」のアーカイブ

本連載では、IR整備法のビジネス参入における留意点について、様々な視点からIRビジネスグループの知見を発信しています。

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

 

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