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IR整備法における区域整備計画、カジノ免許等の更新 ~我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点(8)~

統合型リゾート(IR、Integrated Resort)

本稿では、「IR整備法における区域整備計画、カジノ免許等の更新」をテーマに、IR整備法の主要論点の解説を行います。区域整備計画の更新に際しては、様々な行政手続きが必要となり、また、カジノ免許の更新に際しては、厳格な背面調査が改めて実施されるとされております。事業計画や実施協定においては、区域整備計画の認定数増加や区域整備計画更新等の検討課題を考慮した対応が必要となります。

区域整備計画やカジノ免許の更新について、有効期間が設定されている

IR事業者は、IR整備法においては、以下に掲げる更新を見据えた対応が必要です。

特に、区域整備計画の更新に際しては、その更新ごとに様々な行政関連手続きが必要となります。

また、カジノ免許の更新においても、カジノ管理委員会による厳格な背面調査が改めて実施されます。

対象

内容

期間

IR整備法

IR整備法の見直し期間

最初の区域認定から5年後

区域整備計画の数の見直し

最初の区域認定から7年後

区域整備計画

区域整備計画の最初の有効期間

10年間

更新された区域整備計画の有効期間

5年間

カジノ免許

カジノ免許の最初の有効期間

3年間

更新されたカジノ免許の有効期間

3年間

 

上記各項目の詳細な内容は以下の通りです。

条文番号

概要

附則第4条関係
(IR整備法)

政府は、最初の第9条11項の認定(区域整備計画の認定)の日から起算して5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

ただし、同項第7号に規定する認定区域整備計画の数については、当該認定の日から起算して7年を経過した場合において検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

第10条1項、6項
(区域整備計画)

【更新前】
区域整備計画の認定の有効期間は、第9条11項の認定(区域整備計画の認定)の日から起算して10年とする。
また、区域整備計画認定のためには、以下の手続きが必要となる(第9条5項~9項)。

・協議会における協議 (協議会が組織されていない場合は、立地市町村等及び公安委員会との協議)
・区域整備計画に公安委員会(又は立地市町村等)が実施する施策及び措置が定められる場合には、公安委員会(又は立地市町村等)の同意
・公聴会の開催等住民の意見を反映させる措置
・認定都道府県等の議会決議
・立地市町村等の同意


【更新後】
区域整備計画の更新がされたときは、区域整備計画の認定の有効期間は、従前の区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して5年とする。
また、区域整備計画認定の更新のためには、上述の更新前と同様の手続きが必要となる。

第43条1項、6項
(カジノ免許)

【更新前】
第39条の免許(IR事業者による、カジノ管理委員会からのカジノ免許付与)の有効期間は、当該免許の日から起算して3年とする。


【更新後】
カジノ免許の更新がされたときは、当該免許の有効期間は、従前の免許の有効期間の満了の日の翌日から起算して3年とする。



IR事業者は、プロジェクションや実施協定において、区域整備計画の認定数増加や区域整備計画更新等の影響を考慮する必要がある

IR整備法においては、日本におけるIR認定区域整備計画の数は3ヶ所以下となる予定ですが、当該認定の日から起算して7年を経過した場合において、検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて区域整備計画の認定数が増えることが予想されます。

この場合、それまで日本におけるIR市場の寡占状態が続いていることで高い収益性が確保できていたものの、区域整備計画認定数が増加することで、IRビジネスの収益性の低下を招く可能性があります。

また、区域整備計画の認定に際し、最初の区域認定から10年後、その後5年ごとに公聴会の開催等住民の意見を反映させる措置、認定都道府県等の議会決議、立地市町村等の同意等が必要となりますが、更新時の首長のスタンスや首長選挙時期等の状況によっては、区域整備計画の更新ができない可能性があります。

更に、カジノ免許の有効期間の満了後に引き続きカジノ事業を行おうとする場合には、3年ごとに免許を更新する必要がありますが、免許更新時には、カジノ管理委員会による厳格な背面調査が改めて行われることが想定されます。

このような検討課題をプロジェクションに織り込むことで、概算投資額への影響を考慮することや、認定都道府県等との実施協定において、IR事業者を救済する措置を盛り込むよう認定都道府県等と協議を行うことが必要となると考えられます。

 

デロイト トーマツ グループのサービス

  • 事業計画のモデリング実施
  • ゲーミング収益、投資規模試算
  • IR全体事業計画シミューション
  • 各種パラメーターの感度分析
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  • 事業効果最大化に向けた戦略策定
  • 我が国での議論及び諸外国の事例を踏まえた、役員、従業員及び地方自治体に向けた背面調査の解説
  • 企業に対するライセンス申請に向けた模擬調査
  • 個人に対するライセンス申請に向けた模擬調査 等

 

本稿に関して、より詳細な内容や関連資料等をご要望の場合は以下までお問い合わせください。

IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。

 

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループ

info-irbg@tohmatsu.co.jp

連載「我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点」のアーカイブ

本連載では、IR整備法のビジネス参入における留意点について、様々な視点からIRビジネスグループの知見を発信しています。

>>連載「我が国のIRビジネス参入における法制度上の留意点」のアーカイブページ<<

IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

 

>>IRビジネスグループの紹介<<

IR(統合型リゾート)ビジネスグループの最新活動

下記IR(統合型リゾート、Integrated Resort)についての海外事例のナレッジを提供している、IRビジネスグループの最新の活動をご紹介いたします。

 

【IRビジネスグループの最新活動】

>新規コンテンツ「IR事業(カジノ事業)におけるファイナンス」追加
日本におけるカジノ事業を含む統合型リゾート(IR: Integrated Resort)の開発に関する投資資金の調達手段について、海外の事例を交えながら解説 

>新規コンテンツ「IR事業(カジノ事業)におけるMOU締結・JV組成とガバナンス」追加
IR事業(カジノ事業)におけるコンソーシアム形成とJV組成に関するガバナンスのあり方を解説 

>長崎県・佐世保市IR(統合型リゾート)推進協議会「IR基本構想策定等に係る支援業務」

長崎県・佐世保市IR(統合型リゾート)推進協議会「IR基本構想策定等に係る支援業務」を受託

>和歌山県におけるIR(統合型リゾート)基本構想策定のアドバイザリー業務委託
和歌山県におけるIR基本構想策定のアドバイザリー業務委託を受託

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