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IR区域整備のための基本方針(案)の概要と留意事項

IR誘致を検討する地方自治体やIR事業への参入を検討している事業者がIR区域認定のために留意すべき事項

2018年7月に成立・公布されたIR整備法に基づき、全国に3ヵ所を上限としてIR区域が認定され、特定複合観光施設(IR施設)の設置が認められます。IR区域の認定のためには、まず、国土交通大臣により、IR区域の整備のための基本的な方針(以下、「基本方針」という)が定められます。次にIR誘致を検討する地方自治体が基本方針に即して、民間事業者の選定基準となる実施方針を定め、公募及び選定の手続き(いわゆるRFP)により民間事業者を選定します。地方自治体は、選定された民間事業者と共同して、基本方針及び実施方針に即して、区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることによりIR区域の整備が進められる流れとなっています。 本稿では、2019年9月4日に公表されたIR区域整備のための基本的な方針(案)の概要とIRの誘致を検討している地方自治体やIR事業への参入を検討している事業者が留意すべき事項について解説します。

政府はIR区域整備の基本的な方針を定める基本方針(案)を公表

2019年9月4日、IR整備法の第5条第1項に基づき、IR区域の整備のための基本的な方針を定める基本方針(案)公表されました。基本方針案は、以下の6項目が記載されています。なお、基本方針(案)では、国がIR区域を認定する際の認定の申請期間は、「検討中」とされ、明らかになりませんでした。今後、政府から公表される情報を踏まえて活動スケジュール等を適宜、更新することが必要となります。

第1. IR区域の意義及び目標
第2. IR整備の推進
第3. IR事業・IR事業者
第4. 区域整備計画の認定
第5. インバウンド促進やギャンブル等依存症対策など関係施策との連携
第6. カジノ施設の有害影響排除

基本方針(案)では、IR区域を3という上限の範囲内で、優れた計画を認定するための基準(評価基準)が示されました

基本方針(案)では、IR区域を認定する審査基準が示されました。審査基準は①認定を受ける前提として必ず適合しなければならない要求基準と②全国のうち3ヵ所という上限の範囲内で、優れた計画を認定するための評価基準の2つから構成されます。要求基準は、別途、政令で定められた施設の規模要件を満たしていること等の基本的な要件の充足を定めています。認定審査の基準のうち評価基準は、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現、経済的社会的効果等の5つの項目から構成されます。内容の詳細は以下の表のとおりです。なお、審査委員会において評価を行うための項目ごとの配点については、今後、国土交通大臣が別途定めるものとされています。

<IR区域整備のための基本方針(案)における評価基準>

項目

内容

1.国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現への寄与


 

 

 

 

 

 

 

(1)IR区域全体
・コンセプトが明確で優れていること
・建築物のデザインが地域の新たな象徴となりうるものであること
・これまでにないスケールをもつこと
・ユニバーサルデザイン等の観点から世界の最先端であること

(2)MICE施設
・MICEビジネスの国際競争力の向上に十分なスケールを持つこと
・重要な国際会議等に対応できる、優れたクオリティを持つこと

(3)魅力増進施設
・日本の魅力をこれまでにないクオリティで発信すること

(4)送客施設
・各地の観光魅力を伝えるショーケース機能を持つこと
・旅行サービスの手配を一元的に行うコンシェルジュ機能を持つこと

(5)宿泊施設
・客室の広さ・構成・設備が国際競争力を有し、サービスの質が高いこと

(6)その他施設
・国際競争力と高いクオリティを持ち、幅広い人々が楽しめること

(7)カジノ施設
・IR全体のコンセプトと調和し、他の施設とバランスがとれていること

(8)IR区域整備される地域、関連する施策等
・国内外の主要都市との交通の利便性にすぐれていること
・交通アクセス改善やインフラ整備等の施策が効果的であること

2.経済的社会的効果

観光への効果、地域経済への効果、2030年の政府の観光戦略の目標達成への貢献

3.IR事業運営の能力・体制

IR事業者の能力、財務面の安定性、地域との良好な関係構築があること

4.カジノ事業収益の活用

カジノ事業収益を十分活用して、IR事業内容の向上や都道府県等の施策への協力を行うこと

5.カジノ施設の有害影響排除

カジノ施設の有害影響排除が確実かつ効果的に講じられるものであること

(出所)特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)に基づきデロイトトーマツにて作成

IR区域の整備の効果を早期に実現させるため、基本方針の公表前であっても地方自治体による実施方針の作成、事業者の公募及び選定の手続きを進めることが容認されている

基本方針(案)では、IR区域の整備の内容を優れたものとするとともに、IR区域の整備による効果を早期に実現させる観点から、地方自治体において、基本方針の公表前から、実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定のための手続きを進めることが容認されている。

  • 地方自治体:
    誘致を目指す地方自治体は、基本方針が公表される前から進めている手続き等がある場合は、基本方針の公表後に先行して進めている手続き等の内容が基本方針に即したものとなっていることを十分に確認するとともに、必要に応じて、実施方針の修正やそれに応じた民間事業者の提案の内容の修正機会の確保を行った上で、実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定のための手続きを完了させることが必要となります。
  • 民間事業者:
    IR誘致に向けた準備が進んでいる地方自治体においては、基本方針の公表前であっても民間事業者の公募及び選定の手続きが進められる可能性があります。民間事業者は地方自治体によるRFPが開始された場合に備えて、基本方針(案)で示された評価基準を念頭において、IR区域全体のコンセプトの策定、IR区域全体のコンセプトを具現化した建築物等の施設デザイン、政令で定められた中核施設の規模要件を満たした各施設の具体化、事業性を数字で説明可能なよう事業計画を策定する等の準備を推進することが必要となります。

デロイト トーマツ グループでは、以下のアドバイザリーサービスを提供します

IR誘致を検討する地方自治体は、政府から公表された基本方針(案)を踏まえて、実施方針の作成、民間事業者の公募及び選定の手続き等の準備を進めることになります。
IR事業者は基本方針に即して政府が求める評価基準に適合したIR導入の構想策定を進めるとともに、地方自治体によるRFPでは、地方自治体が求める内容に的確に回答することが成功の鍵となります。デロイト トーマツ グループでは、IR導入の構想策定、RFP対応を進めるにあたり以下のアドバイザリーサービスを提供します。

・IR全体コンセプトの策定支援
・中核施設の導入方針の検討支援
・RFP対応支援
・事業計画の策定・モデリング実施
・IRを設置した場合の経済効果の試算

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。


IR(統合型リゾート)ビジネスグループ

info-irbg@tohmatsu.co.jp

 

 

IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

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