ナレッジ

Focus on: エネルギーと資源の流れを止めないために

クライシスマネジメント

いつでも回復できる準備を

エネルギーと資源は、社会にとってなくてはならないものです。その流れがクライシスによって脅かされたり乱されたりすると、経済、文化、生活にまで波紋が広がるおそれがあります。

クライシスを引き起こすきっかけは、技術インフラ、自然災害による供給停止、サイバー攻撃の脅威、規制措置、地政学的脅威、環境被害など多岐にわたります。長期にわたって企業のレピュテーションや価値が損なわれる場合も含め、組織としてこうした危険に対応するには、脅威の出現に備え警戒を怠らず、そして、着実に回復する力をもたなければなりません。

クライシスから立ち直る組織とそうでない組織には違いがあります。それは計画の立案段階から始まり、そして、従来のプロジェクト管理手法では生みだすことのできない敏捷性を必要とします。強力なクライシス対応計画を作成し、その計画をアップデートし続けることが、組織にとって極めて重要です。そうすることで、どのようなクライシスが起ころうとも資源チェーンを途切れさせないことができるのです。

見えるものの影に潜む不意打ち

クライシスに備えるということは、組織に影響を及ぼす因子を知るということです。目に見えやすいクライシスにとらわれていると、他の側面から忍び寄るさらに深刻な脅威に気付かないこともあります。たとえば、データセンターの浸水被害はITのクライシスであると思われるかもしれません。ところが、代替施設が用意してあっても、そこを稼働させるための電気技師が不足しているとしたら、それは人的なクライシスにもなり得るのです。物理的な事故がたちまち財政危機に転じることもあります。SCADA(監視制御・データ収集)の問題は機器運用上の問題のように思えますが、安全性の問題でもあるかもしれません。一見どのような脅威であれ、そこに付随する脅威に気付かなければ、状況を一変させる危険が迫る可能性があるのです。

先を見通し、将来に備え、そして、長期的に考える

クライシスマネジメント計画が実際の脅威に適切に対応できるかどうかを知るタイミングは、「未来はこの計画にかかっている」というような瞬間ではありません。クライシスが襲うまでの間に、組織は自信と自覚を蓄えておかなければならず、それには、ある瞬間の先を思い描いて、分析、シナリオ立案、シミュレーションを行うしかありません。事業の継続性に対処することと、その先の長期的な回復力を身につけることは別です。

従前の脅威に新たな脅威が加わる

エネルギー・資源企業は、自信をもってクライシスに対処できるように、長年抱いてきた信念を守りつつ新しい現実を受け入れる必要があります。同業界ではこれまで、油田、制御室、送電系統などの物理的安全性を守る文化に重点が置かれていました。その重要性は今後も変わりません。しかし現在は、情報と物理的安全性の境界が曖昧になっています。たとえば、サイバー攻撃の脅威は、物理的安全システムそのものにも影響を与えています。組織が今日のクライシスに備えるには、ビジネスのあらゆる局面において安全性が優先されるよう先見的なアプローチを取る必要があります。

エネルギー・資源業界はグローバルな規模で相互につながっています。いずれの企業も、事業戦略を実行し、そして時々刻々と顧客やその他のステークホルダーに対する責任を果たす上で、様々な点で継続性と信頼性に依存しています。供給が中断して生産や市場に影響が生じると、自然環境、公衆衛生、社会秩序にまで影響が及ぶおそれがあります。この分野で事業を運営する組織は、いついかなるときも、こうした脅威の因子と影響が交錯する中にいます。

どのように始めるか

トップから始める。なぜなら、最終的にクライシスの責任を取るのもトップだからです。取締役会と上級マネジメント層が、その組織のリスクインテリジェンスの文化のトーンを決定付けるのです。関心がなさそうに受け止められると、組織は自己満足に陥ってしまう可能性があります。一方で、積極的に関わりすぎると、余計な緊張を生む可能性があります。しかし、リーダーシップチームが十分な情報に基づき適切に関与すれば、クライシスマネジメントを目標通りに進めることができます。

サイロを打破する。これには、組織全体を取り巻くもの―組織と第三者との関係を隔てているもの―が含まれます。外部との関係は、事業運営においても潜在的な脅威においても重要な要素です。全体像が見えていないと、組織の全体的なレピュテーション、価値、さらには存在までも脅かされる可能性が高まります。視界全体、さらにはその先まで見通して準備し、回復力をつけることが重要です。クライシスはサイロを一顧だにしません。それは、クライシス対応計画も同様です。

人材の備えをする。トリガー、手順、対応策はクライシスマネジメント計画の手足となるものです。しかし、脳となり心臓となるのは人です。「生き残ろう」と考えると、人は生き残るために最大限の努力をします。「力強く回復しよう」と考えて、用心とトレーニングを怠らず、そして全体的な備えに力を注げば、本当に回復する力をもったカルチャーを生みだすことができます。
 

Focus onは、取締役会や上級マネジメント層の皆様が準備、対応、回復をはじめとするクライシスマネジメントライフサイクルをうまく舵取りするのに役立つインサイトを提供するという、デロイトのコミットメントの一部をご紹介するものです。

左記より全文ダウンロードができます。

(4.54MB, PDF)

クライシスマネジメントに関する最新情報、解説記事、ナレッジ、サービス紹介は以下からお進みください。

>> クライシスマネジメント:トップページ <<

お役に立ちましたか?