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「英国EU離脱への備え」第1回 地政学リスクを象徴

日経産業新聞 2016年9月7日掲載

2016年6月に英国がEU離脱を決めたことは、地政学リスクを象徴する出来事でした。Brexitに関して日系企業が分析・検討すべき領域や実務とは何か。日経産業新聞での連載全体について概観します。

地政学リスクを象徴

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 浅見光

2016年6月に英国がEU(欧州連合)離脱を決めたことは、地政学リスクを象徴する出来事だった。国民投票による離脱方針の決定後、株価や為替は暴落。企業の景況感も悪化し、「グローバル市場への影響は甚大。英国も“終わりの始まりに”」との論調も散見された。

日本への影響も深刻になるのではないか、と懸念された。英国における日本企業の拠点は1000を超えており、欧州攻略の重要な足場となっているからだ。当グループにも多くの照会が寄せられた。英国がEU加盟国であることを前提とした戦略選択を書き直す必要もありうるからだ。

国民投票から2か月あまりが過ぎた。当初懸念された見方とは事態が変わっているようにも見える。株価の水準も戻った。新たに就任したメイ首相はEU離脱担当相を設置。「加盟国の離脱手続きを定めたEU基本条約(リスボン条約)50条が年内に発動されることはない」と述べている。

企業サイドも「業績への影響はもう少し先か」「準備は必要だがしばらくは様子見」と、比較的落ち着きを取り戻した状況にある。一方で、「中長期的に見れば、影響は甚大になるのではないか」「他への連鎖は?」「本質的に何か大きな変化があるのではないか」との声も出始めた。

実際の情勢認識はどう捉えるべきなのか。実態的な影響は地域軸、時間軸で意味合いが変わってくる。日本にとっての示唆も悲観的な見方だけでは不十分だろう。マクロ、通商、ビジネスへの影響といった情勢判断に加え、必要となりうる事務手続きを今一度、冷静に見つめ直す必要がある。

物事を見ていくには、多様な視点からの分析と同時に、統合・俯瞰(ふかん)をするという専門性も必要となる。例えば、弁護士、会計士、エコノミストといったプロフェッショナルから見る視点は違うだろう。意思決定者や政策決定者の立場に向けた示唆を導出する上でも、異なった専門性が求められる。

本連載では、戦略、M&A(合併・買収)、税務、法務、会計などの分野に及ぼす影響やリスクの分析について解説する。シナリオ分析もさることながら、「準備と手続き」の実務にも焦点をあてて話を進めていく。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

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