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「英国EU離脱への備え」第2回 マクロ経済に下押し圧力

日経産業新聞 2016年9月8日掲載

英国のEU離脱を巡る国民投票で最大の問題の一つだったのが、マクロ経済に及ぼす影響です。これまで認められてきた巨大市場への自由なアクセスが失われれば、英国のマクロ経済には下押しの圧力が加わることが考えられます。

マクロ経済に下押し圧力

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 大山剛

英国のEU(欧州連合)離脱を巡る国民投票で最大の問題の一つだったのが、マクロ経済に及ぼす影響だ。これまではEUの一員ということで、政策的な束縛を受ける半面、巨大市場への自由なアクセスが認められてきた。こうしたメリットが失われれば、当然ながら英国のマクロ経済には下押しの圧力が加わると考えられる。

EU域内で第二の経済大国が離脱するとなれば、EU側にとっても大きなショックとなり得る。また影響は単に英国との交易、金融取引といった直接的なものにとどまらず、EU全体の今後の統合の行方にも悪影響を与えるかもしれない。

英国政府・中銀や国際機関等は国民投票前の時点で、EU離脱がいかに大きなマイナス・インパクトを英国経済やEU経済にもたらすかを示してきた。例えば経済協力開発機構(OECD)は、英国の実質国内総生産(GDP)を、2018年までの累積ベースで1.3%強、同じくユーロ圏の実質GDPに対しても1%程度押し下げると予測した。

マイナスの影響は主に英国とEU間の貿易取引の減少、先行きの不確実性増大に伴う投資や消費の減少などという形で顕現化すると想定される。

なお、8月末現在の経済動向をみる限りでは、事前に予期されていたほどのマイナス・インパクトはみられていない。例えば英国経済は先行きの景況感を示す総合PMI(7月)が大幅に悪化し、今後の設備投資や雇用等に深刻な影響をもたらすとの見方も増えているが、個人消費や住宅関連では落ち込みを示す動きはまだ出ていない。

また、英イングランド銀行(BOE)は予防的措置として7年ぶりの利下げと共に、国債・社債の購入や銀行への貸付プログラムを含む金融緩和策を実施し、今後の浮揚効果も期待されている。さらにユーロ圏経済も底堅い成長が続いている。

金融市場でも英国の国民投票直後に高まったリスク回避的な動きはほぼ払拭された。債券市場では南欧諸国も含め過熱感が高まりつつあるほか、株式市場でもいち早く国民投票前の水準に回復した英国に加え、ドイツ、フランスでも国民投票前の水準に戻している。

 

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