ナレッジ

「英国EU離脱への備え」第4回 日本経済・企業にも波及

日経産業新聞 2016年9月13日掲載

英国のEU離脱は様々な経路を通じて、日本経済や日本企業の活動にも影響を及ぼします。中長期的な影響は、メイ首相が今後どのような英国経済の姿を目指すのかによるところが大きいです。英国国民投票後の欧州における主要政治イベントの予定を交え解説します。

日本経済・企業にも波及

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 大山剛

英国のEU(欧州連合)離脱は様々な経路を通じて、日本経済や日本企業の活動にも影響を及ぼす。一番直接的なのは、英国に進出している日本企業に対するものだ。これはロンドンの金融街シティーの繁栄と関係が深い金融業や不動産業と、英国を輸出基地として活用する自動車等の製造業に大別できる。

中長期的な影響は、メイ首相が今後どのような英国経済の姿を目指すのか、さらにその結果として、EUとの間でどのような経済的関係を築くのかによって左右される面が強い。要注意なのは、メイ首相の政策次第で影響の方向性が、金融・不動産業と製造業とで間逆となる可能性もあることだ。

EU離脱の影響は欧州を通じて日本経済にも波及する。この場合、貿易や金融取引を通じたものもさることながら、離脱の動きがEUの他の加盟国にも波及することで、グローバル金融市場でリスクオフ(安全資産への資金シフト)の動きが強まり、結果的に日本経済に与える影響が大きい。

仮にEUから中核国が離脱し、EUが不安定化するような事態となれば、南欧諸国でソブリン・ショック(政府債務の信認危機)が再燃することも考えられる。こうなれば安全資産として円が買われ、大幅な円高・株安が進むこととなる。

2016年中にはハンガリーで移民問題を問う国民投票、オーストリアで大統領選挙のやり直しが行われる。イタリアでも憲法改正を問う国民投票があり、発議が否決された場合はレンツィ首相の辞任が予想されている。また􈆲年にはフランス、ドイツ、オランダ等で大きな選挙が予定される。結果次第では英国に追随する国が出る可能性もある。

足元は国民投票後の英国の混乱もあってか、欧州各国での反EUの動きはやや沈静化しつつある。イタリアの野党「五つ星運動」も離脱ではなく、EU改革を提唱し始めた。もっとも、仮に英国のEU離脱が英国経済にさほどの悪影響を与えない場合、こうした英国のソフトランディングが欧州のハードランディングを招くという皮肉な結果となるかもしれない。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

(200KB, PDF)

「英国EU離脱への備え」のバックナンバーはこちらのページからご確認ください。

>>英国EU離脱(Brexit)に関する日経産業新聞連載「英国EU離脱への備え」バックナンバー

デロイト トーマツ グループのBrexit 関連情報

日本のデロイト トーマツ グループにおけるBrexit関連情報は下記特設サイトにてまとめております。 

>>Brexitに関する特設サイト

>>オンラインフォームより問い合わせを行う

※お問い合わせにつきましては、担当者よりメールにて順次回答しておりますのでお待ちくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

お役に立ちましたか?