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「英国EU離脱への備え」第6回 関係再編へ、日本に好機も

日経産業新聞 2016年9月15日掲載

英国の国民投票はビジネスへの示唆を与えました。企業間の捉え方はポジティブだったりネガティブだったりと、バラついています。勝負の差は、「周囲の悲観論に左右されることなく、自社目線で情勢判断を見極められるか」です。

関係再編へ、日本に好機も

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 邉見伸弘

英国の国民投票はビジネスへの示唆を与えた。人とモノの移動に絡む物流セクター、シティー(英金融街)を中心とする金融セクターは厳しい状況だ。一方、英国に腰を落ち着けるとして腹をくくっていた輸出企業には苦境とはならなかった。

デジタル分野でもM&A(合併・買収)の積極推進の好機とした事例もあった。企業間の捉え方はバラついていた。勝負の差は「周囲の悲観論に左右されることなく、自社目線で情勢判断を見極められるか」にあった。不確実性の中でのビジネスへの教訓である。

「想定外の事態」は、選挙におけるポピュリズムが招いた混乱と片づけられがちだが、今日の時代・社会を突き詰めれば「中間層の消滅、浮遊」という構造変化によるものとも分析される。ロケーション戦術も良いが、技術革新や消費者ニーズの変化への対応は避けて通れない課題だ。

英国ビジネス界では「親欧州主義」を修正し、新たなグローバル化を唱える傾向もある。英国金融セクターの貸出残高をみると、2005年から15年の間で、独・仏向け与信残高は2890億ドルから3060億ドルとほとんど変化しなかった。一方対中国(香港含む)向けは1550億ドルから5020億ドルに増加。大きな流れは中国を中心とするアジア地域との連携強化だった。

英国は伝統的に「パワーオブバランス」を標榜する国である。仮に欧州との一体運営を加速していれば、他地域、すなわち中国等との関係強化など、どちらかの地域に片寄らないようバランスを維持しただろう。だが、EU離脱後は欧州との関係構築を迫られている。中国企業との交渉中断等、中国との連携強化も小休止に見える。英国は多方面でのチャネルを再構築しているとも映る。

英国のパートナーとして日本の重要性は高まっている。日系企業には周囲の情報をうのみにせず、自ら考え、生き残りの道を探っていく姿勢が求められる。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

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