ナレッジ

「英国EU離脱への備え」第9回 日EU交渉にも影響

日経産業新聞 2016年9月21日掲載

英国のEU離脱は、TPP(環太平洋経済連携協定)と並ぶ大型FTA(自由貿易協定)として妥結を急ぐ日本とEUのEPA(経済連携協定)にも影響を与えます。

日EU交渉にも影響

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 羽生田 慶介

英国のEU(欧州連合)離脱は、TPP(環太平洋経済連携協定)と並ぶ大型FTA(自由貿易協定)として妥結を急ぐ日本とEUのEPA(経済連携協定)交渉にも影響を与える。日本とEUとのEPAは2013年に交渉開始。5月の首脳会合で年内の大筋合意を目指すことで一致したが、交渉は正念場を迎えている。

日本はEUに乗用車で10%、電子機器で最大14%の関税削減などを求めてきた。一方、EUは日本にチーズ、ワインなどの関税削減や、自動車、化学品などの規制や安全基準の見直しを求めてきたが、日本側の譲歩が十分でないとされる。

EUは先進経済圏同士のEPAに対し、TPPよりも更にハイレベルな自由化を要求している。だがEUとの交渉で日本がいま新たな農産品分野の譲歩カードを切ることは、秋の臨時国会で目玉となるTPP協定の議論に波及する。

もし日本がTPPで米国に与えた条件よりも大幅に良い譲歩をEUに行えば、まっただ中の米大統領選でクリントン、トランプ両候補が有権者へアピールするTPP見直しの主張に拍車がかかる。オーストラリアも黙っていないだろう。

この難局に重なったのが英国のEU離脱だ。英国は自由貿易を志向し、日本とEUのEPA交渉を積極的に推進する筆頭格だった。EU離脱実現までは対日交渉に関与する見通しだが、発言力は確実に低下する。

年内に妥結を急ぐもう一つの理由が政府のリソース問題だ。英国とEUの離脱交渉は来年から本格化する。離脱協定と並行して離脱後に備えた通商協定を交渉する場合、欧州委員会貿易総局の多くの交渉官が英国との交渉に駆り出される可能性が高い。

EUは米国ともTTIP(環大西洋貿易投資協定)交渉を進めており、日本との交渉の要員が十分確保されるかは不透明だ。シナリオ次第では来年早々に各社のEU拠点戦略見直しが迫られる。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

(206KB, PDF)

「英国EU離脱への備え」のバックナンバーはこちらのページからご確認ください。

>>英国EU離脱(Brexit)に関する日経産業新聞連載「英国EU離脱への備え」バックナンバー

デロイト トーマツ グループのBrexit 関連情報

日本のデロイト トーマツ グループにおけるBrexit関連情報は下記特設サイトにてまとめております。 

>>Brexitに関する特設サイト

>>オンラインフォームより問い合わせを行う

※お問い合わせにつきましては、担当者よりメールにて順次回答しておりますのでお待ちくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

お役に立ちましたか?