ナレッジ

「英国EU離脱への備え」第13回 税務のリスク分析、早期に

日経産業新聞 2016年9月28日掲載

EU離脱における税務への影響は、欧州域内に拠点を有する企業を中心に徐々に関心を集めつつあります。EU離脱にかかわる税の影響は、直接税と間接税とに大別できます。

税務のリスク分析、早期に

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 結城 一政

英国の欧州連合(EU)離脱における税務への影響はこれまで、移民問題等の論点に比べて大きな注目を浴びてはなかった。だが、欧州域内に拠点を有する企業を中心に徐々に関心を集めつつある。

注目が遅れた理由の一つとして、EU域内の税務はそれぞれの国内税法と二国間租税条約に加え、EU指令や欧州裁判所判例とも複合するなどの複雑性がある。このため、税務専門家や企業の財務部等以外の人には、なじみが薄かったためと思われる。

EU離脱にかかわる税の影響は、直接税と間接税とで大別できる。まず、直接税の代表である法人税については、もともとEU単位で統一化されておらず各加盟国において規定されていたことから、影響は限定的と考えられる。

しかし、従来可能であったEU域内での親子間配当、利子、使用料についての源泉税免除などについては、英国に拠点を置く企業は適用できなくなると予見される。EU離脱に伴い、英国はその根拠となっていたEU指令に準拠することができなくなるためだ。

例えば、ドイツ子会社から英国欧州統括会社への配当について、従来はEU指令に基づき源泉税が原則無税であったが、離脱後は英独租税条約を根拠として5%の源泉税課税になると考えられる。

次に間接税のうち、関税はEU法によって大部分が規定されていたため、英国は離脱後、独自の関税法を制定する必要がある。離脱に伴い、EU加盟国との取引は通常の輸出入取引となるため、関税負担のみならず、輸出入手続き増加の管理面での負荷が大きい。

また、付加価値税(VAT)については、EU域内取引は輸出入取引として扱われることとなり、輸出入にかかわる証明書類や関連システムの大規模改変の必要性が懸念される。

このような国際税務は、特に複雑になりがちな分野ではあるが、税はキャッシュフローを伴う論点であり、その各種シナリオにおけるリスク分析は財務への影響も含め重要である。関連各国の税制の状況把握を始めとした早期のリスク分析・対応が求められる。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

(199KB, PDF)

「英国EU離脱への備え」のバックナンバーはこちらのページからご確認ください。

>>英国EU離脱(Brexit)に関する日経産業新聞連載「英国EU離脱への備え」バックナンバー

デロイト トーマツ グループのBrexit 関連情報

日本のデロイト トーマツ グループにおけるBrexit関連情報は下記特設サイトにてまとめております。 

>>Brexitに関する特設サイト

>>オンラインフォームより問い合わせを行う

※お問い合わせにつきましては、担当者よりメールにて順次回答しておりますのでお待ちくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

お役に立ちましたか?