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「英国EU離脱への備え」第16回 法規制への影響 検討を

日経産業新聞 2016年10月3日掲載

英国のEU離脱が英国内の法規制に与える影響は、離脱後のEUと英国の関係がどのように整理されるか、また、適用されるEU法の類型ごとに異なります。

法規制への影響 検討を

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 内藤 裕史

英国のEU(欧州連合)離脱が英国内の法規制に与える影響は、離脱後のEUと英国の関係がどのように整理されるかにより大きく異なる。英国が欧州経済地域(EEA)へ残留する場合(いわゆるノルウェー型)には、大部分がEU法に服することになるため、影響は軽微となる。

一方で、英国がEEAにとどまらず、かつEUとの間に特別な協定が締結されない状態で離脱する場合(いわゆるWTO型)には、EU法が英国に適用されなくなる結果、英国内の法規制の多くの分野にその影響が及ぶことになる。

また、法規制への影響の度合いは、適用されるEU法の類型ごとに異なる。例えば、国内立法措置を経ずに英国内に直接適用されるEU規則(Regulation)は、EU離脱によって直ちに国内法としての効力が失われることになる。

他方、一定の結果の達成をEU加盟国に求めるものの、加盟国内に直接適用はされないEU指令(Directive)については状況が異なる。EU指令は英国において国内法の整備を通じて内容が実現されている。このため、EU離脱によっても当該国内法は引き続き効力を有することになる。

EU指令に基づく法規制としては、データ保護に関する規制が挙げられる。EUにおける現行のデータ保護法制は、1995年に採択されたEUデータ保護指令に基づくが、英国では自国のデータ保護法が同指令の内容を実現している。英国のデータ保護法は、EU離脱後も引き続き効力を有する。

なお、EUではデータ保護法制の統一に向け、18年5月に一般データ保護規則(GDPR)の発効が予定されている。GDPRはEU規則として英国内に直接適用されるが、EU離脱に伴い英国がEEAに残留しない限り、英国内での効力を失うことになる。

以上の通り、英国内で事業を営む各企業は、関連する事業活動ごとに、服する英国法とEU法の類型を確認しておくべきである。その上で、想定されるEU離脱のシナリオごとに、当該法規制に与える影響を検討し、必要な対応をアクションプランとして準備しておくことが望ましい。

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

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