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「英国EU離脱への備え」第17回 見積プロセスに影響

日経産業新聞 2016年10月4日掲載

英国の国民投票によるEU離脱の決定は、会計的側面からも日系企業グループに対して直接的、間接的な影響を与えています。

見積プロセスに影響

デロイト トーマツ グループ ブレグジット レスポンス センター 濵口 豊

英国の国民投票によるEU(欧州連合)離脱の決定は、会計的側面からも日系企業グループに対して直接的、間接的な影響を与えている。

会計上、為替相場や金利の変動、株価の下落などの経済的な事実が発生した場合には、四半期決算を含む毎期の決算にタイムリーに反映させる必要がある。実際に離脱決定以降の決算で、重要な影響が生じているケースもみられる。

近年の決算処理には固定資産減損会計や税効果会計、関係会社投融資の評価など、将来の計画見込みや業績の影響を受ける会計上の見積もりと呼ばれる項目が多く含まれる。これらの見積もりは不確実性が高い環境にあったとしても、利用可能なデータや情報を収集したうえで、適切な仮定を設定し、合理的に行うことが必要となる。

EU離脱の決定以後、広範な範囲で高まっている不確実性が一連の見積もりに関するプロセスの難易度を高め、影響を与えている可能性もある。

会計処理に加え、ディスクロージャーの観点からも留意が必要だ。離脱の決定が全社的な事業等のリスクに重要な影響を与えた場合などには、リスク情報の観点から適切な開示を検討することになる。

今後、今回の決定を契機として、将来の可能性またはリスクシナリオとして、サプライチェーンの見直し、事業・拠点の再編などを検討する場合には、ビジネスに与える影響に加え、会計・開示に与えるインパクトを分析することになる。

また、必ずしも英国に拠点がない、もしくは英国と直接的にビジネスを有しない場合であっても、為替や株価、資産価値の変動などの影響を通じて、自社の決算に重要な影響が発生している例もある。グローバル地政学的リスクの影響を受ける不確実性の高い環境下にあると言える。

このような環境に受け身ではなく、柔軟性を持って対処するためには、特定の変化が自社に与える影響を評価し、複数のシナリオと結果をあらかじめ想定しておくことが有効となる。

会計の観点からは為替変動や金利、価格変動など、自社の決算や見積もりに重要な影響を与える可能性がある要素を分析・評価するとともに、関連する情報やデータを適時に収集する体制が求められることになる。

 

*日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。断りなく複写・転載はご遠慮ください。

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