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EU加盟13か国がゲノム情報の越境アクセスに関する宣言書に署名

【第57号】ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース

2018年4月10日、欧州連合(EU)加盟13か国(チェコ、キプロス、エストニア、フィンランド、イタリア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ポルトガル、スロバニア、スペイン、スウェーデン、英国)は、ゲノム情報への越境アクセスに関する宣言書に署名したことを発表しました。13か国に加えて、ブルガリア、クロアチア、ギリシャも署名する方針です。

第57号 2018.4.10公開

署名した各国は、国および地域のゲノムデータ・バンクに対する、セキュアで権限のあるアクセスに関して、以下のような点で協力するとしています。

・断片化されたインフラストラクチャと専門的技術を集約して、「2022年までに、EU域内で100万のゲノムにアクセス可能にする」という共有された明白な目標を支援する

・特にシーケンシング、バイオバンク構築、データインフラストラクチャにおいて、国およびEUレベルで加盟国により既に実施された投資を活用・最大化する

・新たに臨床的なインパクトのある研究に十分なスケールを提供する、より大規模なコホートに到達する

 他方、欧州委員会は、各加盟国の公的機関が、継続中のゲノム創薬プロジェクトをつなぐ自主的な調整メカニズムを設定するのを支援するとしています。調整メカニズムの概要は以下の通りです。

・特に、国境を越えたゲノムデータへの分散アクセスやデータ利用およびその他に関する契約条件について、協力のガバナンスモデルを構築する

・内部市場内におけるゲノムデータ・セットへのセキュアなアクセスおよび越境交換のための技術仕様開発を支援する

・個別化医療研究を支援するために、主要なレジストリおよびデータベースの相互運用性を促進する

なお同じ4月10日、EU加盟22か国(オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロバニア、スペイン、スウェーデン、英国)が、「欧州ブロックチェーン・パートナーシップ」の創設宣言に署名しました。現在、EUでは、研究開発計画「ホライズン2020」の一環として、医療データの保存、転送を安全かつ効果的に行うために、ブロックチェーン技術を利用することを目的とした「My Health My Data」プロジェクトを実施中です。

当該記事が関係機関に及ぼすと考えられる影響

医療機関

・EU域内のゲノムデータ・バンクが連携した国際共同臨床研究プロジェクトに、EU域外の医療施設が参加する場合、一般データ保護規則(GDPR)の要求事項を満たしていることを前提としてルールが決められるので、事前のプライバシー影響評価、インシデント発覚時の各国規制当局および影響を受ける個人への対応などの準備を行っておくことが必要となる。

医療機器メーカー/製薬メーカー

・EU域内でのゲノムデータ・セット利用に係る技術仕様や相互運用性の標準化は、データのバリデーションやセキュリティ/プライバシー対策など、ゲノム創薬のバリューチェーンに影響が及ぶ可能性が大きいので、その動向を注視する必要がある。

サプライヤー

・EU域内のゲノムデータ・バンクが連携した国際共同臨床研究プロジェクト向けにICTソリューションを提供するベンダーは、「データコントローラー」や「データプロセッサー」のパートナー/サプライヤーとしてのGDPR対応に加え、EU臨床試験指令(2019年よりEU臨床試験規則施行予定)やネットワーク・情報システムのセキュリティに関する指令(NIS指令)など、複数法令への遵守対応を検討する必要がある。

ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース

デロイト トーマツ リスクサービス株式会社のサイバーセキュリティチームでは、ライフサイエンス・ヘルスケア業界に向け、海外の規制情報やそれに伴う関係業界への影響について情報提供しています。(不定期刊行)

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