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基礎からのフォレンジック講座 第1回

企業不祥事、不正対応で活かされるフォレンジックの重要性

企業の不正リスクや係争・訴訟に関するスキルなど、フォレンジックに関して基礎からわかりやすく解説する講座方式の連載記事。 第1回はフォレンジックの概念や重要性について解説をします。

はじめに

業種を問わず、企業が抱えるリスクは多岐にわたっている。内部統制の強化が必須と指摘され始めて久しいものの、各企業は自社のリスクをコントロールするどころか、潜在するリスクの認識にも苦慮されている。一方で、大手企業のさまざまな不祥事・問題発生は後を絶たず、連日マスメディアで過剰に取り上げられ、レピュテーションを著しく下げるようなケースも多い。

特に最近は、食品に関連する事故や不祥事が相次いでいる。リスク管理の重要性はすでに多くのビジネスパーソンが理解しているビジネスナレッジであるが、実際の企業運営を鑑みれば、「事故ゼロの実現」は現実離れした発想であることも事実である。食品衛生の業界であれば、異物混入ゼロを永遠のテーマとして目指しながらも、起きてしまった後の対応にも配慮すべきである。消費者が知りたいのは、正確な事故原因というシンプルな事実である。そして、発表されたその結果が、信頼足りうるものか否か。日系企業に限った事象ではないものの、潜在するリスクが実際の有事となり不祥事対応が求められたときこそ企業の真の力が試される。つまり危機対応において躓いてしまうことで、実際起きてしまった問題以上に企業価値を下げてしまうのである。
 

フォレンジックとは

『フォレンジック』という言葉に聴き慣れない方も多いが、このクライシス(危機)において、『フォレンジック』は非常に重要な手段となる。『フォレンジック』とは簡潔に表現すれば、『法廷証拠または鑑識』である。昨今の企業不祥事において、第三者委員会や特別調査委員会の設置をされる機会が増えている。『フォレンジック』はこれらの傾向と非常に密接に関連している。企業が起こしてしまった事件・事故に対して、自社調査だけで乗り切ることが困難なケースも多い。またステークホルダーや監査人、消費者の目は、年々厳しくなっており、危機対応における企業の取り組み方には、客観性と確実性が求められている。企業不祥事に活かされる『フォレンジック』とは、事実関係を正確に抽出・レポートし法廷や刑事事件においても、揺ぎの無い証拠として担保する、専門家および専門技術によって提供される調査手段手法であり結果である。

リスクをマネジメントすることは非常に難しい。一方でクライシス(危機)をマネジメントすることは、『フォレンジック』という概念を理解いただき活用することで、不測の事態をコントロールすることが可能である。

 

本連載では次回以降、さまざまな企業不祥事、不正行為の具体例を各回、テーマを選定し、実際の危機対応現場で活用されたフォレンジックの事例などを交え紹介する。

実際の企業不祥事を有事と捉え、有事を想定した平時の運用に活かしていただき、他社で起きているさまざまな企業不祥事を対岸の火事にせず、他山の石として貴社の企業運営に役立てていただければ幸いである。


デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 
フォレンジックサービス 
ヴァイスプレジデント 岡田 大輔

執筆者

フォレンジックサービスについて

あらゆる企業不祥事の調査を専門とするスペシャルチームである。不正・不祥事が発覚した企業に対しては、弁護士や企業担当者と連携し最短かつ効果的な事実解明や解決策の提供し、信頼性ある調査結果を提供するばかりでなく、再発防止策の策定や不正実行者の責任追及等、調査後も企業価値の回復に向けて継続的な支援を行っている。 

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