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M&Aにかかわる不正リスク低減と係争回避のための留意点

企業リスク 第48号掲載記事

近年、ビジネスはますます複雑化、国際化し、クロスボーダーM&Aによる日本企業の海外進出も増加傾向にある。進出先も先進国からアジア、アフリカ、CIS圏など多岐にわたるようになり、今まで以上にさまざまなリスクへの備えが重要となる。本稿では、M&Aにかかわる不正リスクと係争に焦点を絞り、その低減と回避のための留意点を整理します。

執筆者

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
フォレンジックサービス 国際調査
統括マネージングディレクター プレボスト 真由美
 

内容

1.不正リスク低減のために行うべきこと
  Pre-Closing
  Post-Closing

2. 係争回避のための留意点
  Pre-Closing
  ・契約条項に関する留意点

  Post-Closing
  ・価格調整用のClosing Statement の作成
  ・価格調整用のClosing Statement に対する適切な異議申し立て
  ・仲裁となった場合
  ・Representation and Warranty 違反への対処

3. おわりに

不正リスク低減のために行うべきこと

まずは、不正リスク低減のために行うべき事項をM&A成立の前行程(Pre-Closing)と後行程(Post-Closing)に分けて解説する。

Pre-Closing

この時点で通常、少なくとも財務・税務・法務デューデリジェンスを行うが、それに加えて不正一般、あるいは特にリスクの高いと考えられる特定の不正(例えば汚職)に的を絞ったデューデリジェンスを行うことが好ましい。

具体的な方法は、他のデューデリジェンス同様、関連書類や財務データ等の閲覧・分析、経営者インタビューなどであるが、条件が許せば詳細取引データ等の分析を行うこともある(一般的に入札案件であれば受け入れられることは少ないが、相対取引で合意が得られれば実施可能な場合もある)。また、買収対象・出資対象の経営陣や主要取引先のバックグラウンド調査などを行う場合もある。

デューデリジェンスの結果、不正のリスクが発見された場合、M&Aプロセスを継続するのかどうかの判断に影響を与える。例えば、対象会社の売上が贈賄に支えられている可能性が見つかり、買収後にそのような不正行為をやめた場合に買収目的の一つである顧客の維持が難しいと判断し、最終的には買収をあきらめたケースなどがある。

 
あるいは、買収に踏み切る判断をした場合でも、売買契約書で何をどの程度Representation & Warranty(表明・保証条項)や免責条項で担保出来るかの判断をすることも重要となる。

さらに、買収後に不正リスク低減のためにどれほどの労力を掛けてどのようなPMIを実施するのかの検討、準備をするためにも、このようなデューデリジェンスは必要だ。

Post-Closing

Pre-Closingで不正対応のデューデリジェンスを実施していない場合はもちろん、実施した場合でも、買収後、不正全般あるいは特にリスクの高いと思われる特定の不正(例えば贈収賄など)に関してリスク管理の観点から速やかに以下の一連の手続きを実施すべきだ。

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季刊誌 『企業リスク』掲載記事 一覧

デロイト トーマツ 企業リスク研究所発行の季刊誌 『企業リスク』 に掲載された、不正リスク関連の記事をご紹介します。

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