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特集「キャッシュレスの覇者」 ~ポイント還元など「お得感」選択 モバイル決済普及のカギに~

『2018年10月9日号 週刊エコノミスト』執筆記事

有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー 新規事業推進 パートナー 服部邦弘が『2018年10月9日号 週刊エコノミスト』の特集「キャッシュレスの覇者」において、記事を執筆しました。本記事においては、リスクアドバイザリー 新規事業推進が実施した「QRコード決済・モバイル決済の利用実態と今後の利用意向に関する調査」を基に解説しています。

決済の選択肢が増えてもユーザーが使わなければ普及しない。ユーザーは何を基準に決済手段を選ぶのか。

政府がキャッシュレス決済比率の向上を掲げる中、小売店にとって決済用端末などの初期費用は頭の痛い問題だ。最近注目されている二次元コード(QRコード)決済は、キャッシュレス決済が普及する起爆剤と目されているが、実際に店舗での買い物で定着していくのだろうか。トーマツでは、「モバイルスイカ」などモバイル決済の利用実態についてアンケート調査を実施し、店舗での買い物におけるスマートフォン決済について、ユーザー(消費者)の意識調査を実施した。

調査によると、約8割がモバイル決済を知っていると回答。コンビニや鉄道など日常生活で利用できる場所が広がっていることが高い認知率につながっている。利用したことがあると回答したのは2割で、このうち4割弱が週1回以上、6割近くが月1回以上利用しており、一度使い始めるとその利便性に気づき、繰り返し利用することが分かった。

さらに調査では、「商品選びで何を重視するか」など消費者の価値観ごとに、コスト意識が強くキャッシュレスに慎重な「コンサバティブ(保守的)消費派」、自らの感性を大切にする「こだわり消費派」、「消費無関心派」、ポイント還元などお得な買い物を楽しむ「クレバー消費派」、新たなものへの興味と情報感度の高さで積極的に消費する「トレンド追求派」――の五つに分類し、モバイル決済の利用度や期待度を分析した。その結果、現在モバイル決済をけん引しているのはトレンド追求派だった。

 

普及への期待高く

興味深いのは、同時に実施したキャッシュレス決済普及への期待度の高さだ。クレバー消費派の期待度は最も高く、現在けん引しているトレンド追求派を上回り、両派の普及への期待度は他の3派よりも大幅に高かった。モバイル決済の普及は、クレバー消費派の利用が不可欠だ。

一方で、現状の決済方法で満足し、モバイル決済の利用に踏み出さない人たちが一定数いることも分かった。クレジットカードでも、購入によって還元されるポイントをためることが楽しみの一つとして定着していることも一因だろう。逆にQRコード決済を新しく使い始めた理由としては、利用キャンペーンの実施を挙げた人が最も多かった。

これらの結果を踏まえると、ポイントの付与やクーポンの発行といったお得感を醸成することが普及の大きなカギとなる。モバイル決済事業者がどのようにお得感を提供していくか。さらに小売業者などが独自の決済アプリを提供し、アプリ内にモバイル決済機能のみならず「より便利でお得な独自の買い物体験」ができる仕組み(クーポン配信や電子レシート、無人レジなど)をどのように作り出し、決済事業者に対抗していくのかが注目される。

(服部邦洋・有限責任監査法人トーマツ パートナー)

 

*QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です

 

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