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2017年 グローバル・リスク展望

トランプ米大統領がもたらすものはインフレなのか、デフレなのか

これまでの3つの潮流であった「グローバライゼーション」、「超金融緩和」、及び「規制強化」が、新しい3つの潮流である「フラグメンテーション」、「財政出動」及び「規制緩和」に取って代わられようとしている。

トランプ米大統領がもたらすものはインフレなのか、デフレなのか

有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センター長 大山剛
2017年1月29日記 

リスク管理を専門とする者にとって、2016年は本当に波乱に満ちた1年であった。メディアがどんなに事前に騒いでも、結局は(メディア自体が予想する)予定調和的な世界に落ち着くことに慣れてきた私達には、そのシナリオを完全に裏切るような結果が続くことに対し「免疫」ができていなかったのかもしれない。想定外の事態とは、言うまでもなく、昨年6月の英国国民投票におけるEU離脱の支持であり、11月の米国大統領選挙における共和党候補トランプ氏の当選である。さらに付け加えるならば、トランプ氏当選以降に発生した株高、金利高、ドル高のトランプ相場や、国民投票以降の英国経済の盛り上がりも、事前の悲観的な予想を大きく裏切るものであった。 

 

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2016年に見えてきた3つの新しいトレンド

その1「グローバライゼーション」から「フラグメンテーション」
それでは、2017年における世界経済は果たして、どのようなものとなるのであろうか。これを探るカギは、やはり、2016年に発生した想定外イベントに隠れているように思う。米英、特に米国で起きたイベントは、これまで世界経済を支配してきた3つの潮流を大きく変える可能性があるからだ。

これまでの3つの潮流とは、「グローバライゼーション」、「超金融緩和」、及び「規制強化」を指す。これらが今、新しい3つの潮流、つまり「フラグメンテーション」、「財政出動」及び「規制緩和」によって、取って代わられようとしている。

グローバライゼーションは、言うまでもなく、物、サービス、人、資本の国境を超えた流れの自由化・活発化、さらには金融規制等の国境を超えた共通化の動きのことである。このグローバライゼーションの潮流が、2000年代以降、中国を含むエマージング諸国経済の急速な成長をもたらすと同時に、サプライ・チェーンの拡大・深化を通じて、先進国経済を含めた世界経済の相互依存関係を強めていった。もっとも、こうした流れは同時に、エマージング諸国に対し比較優位を失った米国等の製造業やそこに従事する労働者階級の没落を招き、これが今回のトランプ大統領の実現という「想定外」をもたらした。

グローバライゼーションとは、貿易等を通じた「比較優位」の徹底的な活用であり、その点では、エマージング諸国のみではなく、米国を始めとした主要国全体の厚生を大きく増加させた。もっとも、その分配が例えば米国民の目から見て「フェア」と映るか否かは別の問題だ。実際、グローバライゼーションの結果、例えば、多国籍企業の収益は拡大し、これが米国の経営者や資産家の所得を増やす一方で、米国の労働者はエマージング諸国の労働者との比較に晒される中、その所得は良くて横這い、多くのケースでは減少する(或いは職を失う)こととなる。勿論、西海岸のIT系企業に転職ということも考えられるが、この分野でも、インドや中国からの優秀な移民が活躍するということになれば、ラストベルト(経済的に疲弊した米国中西部等の工業地帯)の白人たちは行き場を失うこととなる。

こうした中で、米国中西部や英国の非大都市部の白人中産階級から出てきたのが反グローバライゼーションの動きであり、移民や貿易に対する否定的な声だと言える。換言すれば、「現代版ラッダイト運動」とでもいえようか。こうした声を受けて誕生したトランプ米国大統領やメイ英国首相が推し進める政策は、まずは移民の制限であり、米国に関しては保護貿易主義への転換、英国に関してはEUからの制度面での独立、ということになる。このように、米英の新政権が推し進めようとする政策は、これまでの「グローバライゼーション」から、海外からの人やモノの移動・制度面での孤立・独立を目指す「フラグメンテーション」に大きく舵を切るものだといえる。

実はこうした動きは、今回の米英の政治的イベントに起因するものだけではない。特に金融規制面では、本年初までに実現する予定であったバーゼル3の合意が延期となるなど、バーゼル銀行監督委員会を中心に国際金融規制を策定する「バーゼル・プロセス」そのものが崩壊の危機に瀕している。これも、後に説明する、金融危機後の過度の規制強化への反動と同じように、過度の規制共通化に対する反動として捉えることが出来る。
 

その2「超金融緩和」から「財政出動」
これまでの世界経済を支配してきた二番目の潮流が「超金融緩和」である。日本のみならず、多くの先進国が、長期的な貯蓄過剰、生産性低下の流れの中で、特に2008~10年のグローバル金融危機以降、デフレに陥る危機に瀕したのは記憶に新しい。これに対し、先進国の中央銀行が積極的に採用した政策が、「超」が付く金融緩和である。「超」とは、ノーマルな金融緩和を超えるという意味であり、具体的には、ゼロという金利の下限に張り付く中でベースマネーの供給「量」を無理やり拡大する「量的金融緩和」や、さらにゼロを金利の下限とするのではなく、マイナスの世界まで飛び込んでいく「マイナス金利」がこれに当たる。いまでも、欧州と日本の中央銀行は、両者を採用しているほか、米国の中央銀行でも、従来の量的金融緩和で膨らんだ中央銀行のバランスシートを維持したままの状態が続いている。

こうした政策は、デフレに喘ぐマクロ経済に対し何がしかの浮揚効果(特に為替安や資産価格上昇を通じた効果)を与えたと言われているものの、特に資産価格の上昇に関しては、富裕層と低中所得者層間の所得格差を一段と拡大する副作用を招くこととなった。そして、こうした富裕層、或いは資産価格上昇からの利益を直接受ける金融業界に対する中産階級の反発も、米英における「反乱」の重要な要素となっている。これに対し、米英の新政権が新しく打ち出している、インフラ投資の拡充等積極的な財政刺激策の採用は、過度の金融政策への依存を下げると同時に、公共投資やインフラ整備に伴う投資環境の改善等を通じた労働者階級への直接的な利益供与につながるという意味でも、中産階級の不満に答える内容となっている。
 

その3「規制強化」から「規制緩和」
最後に、世界経済をこれまで支配してきた3番目の潮流が「規制強化」である。代表的なものは、グローバル金融危機以降の金融規制の強化であるが、これ以外でも、例えば地球温暖化に対する懸念から環境面での規制強化が進んできた。なお、こうした規制の強化は、当局主導で動いているものの、例えば金融規制であれば、大手金融機関の貪欲さに呆れた一般国民から、また環境規制であれば、将来世代の環境を憂うグループ等からも強く支持されてきた。

米英の新政権は今、こうした規制強化の動きを大きく変えようとしている。例えば、米国では、ムニューチン財務長官候補が「ボルカー・ルールは維持する」と言いつつ、SEC(証券取引委員会)委員長やCFTC(商品先物取引委員会)委員長には、業界寄り、或いは規制緩和論者が就く見込みである。今後FRBの銀行監督分野の副議長に就き、プルーセンス政策に大きな影響を与える新理事任命が控えているものの、少なくともこれまでの人事面からは、従来の規制強化一辺倒路線からの大きな変化が読み取れる。さらには環境規制面では、これまでの規制強化に異を唱えてきたプルイット氏を環境長官に指名すると同時に、トランプ大統領の就任直後には、これまで環境面への懸念からオバマ前大統領が認めてこなかった原油のパイプライン計画をすぐ承認するなど、既に大きな路線転換が明確となっている。また英国でも、EU離脱に伴いこれまで享受してきたパスポート制度からの恩恵を失うロンドン・シティ等の金融業界向けに、従来の規制強化路線から一変して、大胆な規制緩和路線に再び舵を切るのではないかとの話も出ている。

こうした動きが、米英の新政権を支持した白人中産階級の声を代弁しているかは、かなり疑わしいものがある。この潮流変化に関しては、むしろ、これまで不満を溜めてきた業界の声を代弁しているとみるほうが自然であろう。これは同時に、今後、例えば金融業界を恨む支持層からの批判を招くリスクがあることも意味する。

 

新しいトレンドの延長線上に見える世界経済とは

ここで指摘した3つの新しい潮流は、まだ米英内の動きに止まっており、これが世界の新しい潮流になるか否かは定かではない。但し、これまでの3つの潮流を推し進めてきたのが当の米英であったことや、国際的なルールを作る上での米英の存在感の大きさ、さらには米国の経済面での圧倒的影響力の大きさを考えれば、米英における潮流の変化が、全世界の潮流変化につながる可能性は大きいといえる。

したがって、2017年の世界経済の動向を考える上でも、新しい3つの潮流のインパクトを考えることが重要となる。ここでのインパクトとは、短期的な景気に与える影響に加え、長期的な動向を左右する、様々な不均衡に与える影響も含む。

まず、グローバライゼーションからフラグメンテーションへの変化のインパクトを考えてみたい。これは、短期的視点で見れば、確実にマクロ経済を下押ししそうだ。比較優位に基づく国際分業を否定するのがフラグメンテーションであることから、その分経済の効率性は確実に落ちる。この結果、これまでの効率性から得られた果実の配分も、その多くを享受してきたエマージング諸国のみではなく、米英を含めた先進諸国でも(例えば、国産品による輸入代替が物価上昇を招くこと等で)低下することとなる。実際、米国トランプ政権の保護貿易主義の導入や、英国のEU離脱が、米英のマクロ経済に相当程度のネガティブな影響を加えることは、様々な機関が予想するところである。

その一方で、行き過ぎたグローバライゼーションに歯止めをかける動きは、これまで政府から「見捨てられてきた」中産階級の不満を発散させる手段として重要であることも事実だ。こうした不満が嵩じれば、それこそナショナリズムや地政学的冒険主義に結び付くことも考えられる。そのように考えれば、仮にフラグメンテーションや保護主義の動きが、中産階級にも政府が配慮していることを示す程度の「管理された」ものに止まる限り、中長期的にはむしろ経済や政治運営に安定をもたらすかもしれない。

次に「超金融緩和」から「財政出動」への変化のインパクトであるが、これは短期的には大きな景気浮揚効果をもたらすものと考えられる。実際、ゼロ・バウンドを前にした金融政策効果の限界や超金融緩和の弊害が大きくなる中で、IMF(国際通貨基金)等国際機関も、随分以前から、財政拡大余地の大きい米国に対し、拡張的な財政政策を促してきた。トランプ政権が、公約通りに、大幅減税を実施すると同時に、インフラ投資の拡大を通じた財政拡張を実現するならば、これらは確実にマクロ経済の底上げに寄与する。また同じようなことが、英国メイ首相の、地方におけるインフラ投資拡大政策にも当てはまる。もっとも、足許の米国はほぼ完全雇用に近い状況にあるため、ここからの更なる景気刺激策は、物価の上昇や金利の上昇、そしてその結果としてのドル高を招く可能性も非常に高い。これは、一層の輸出企業等製造業の不振や貿易赤字の拡大につながる。つまりは、トランプ政権の支持層を裏切ることにもなりかねない。

「超金融緩和」から「財政出動」へのシフトは、米国が抱える不均衡にはどのような影響を与えるのであろうか。これまでの金融緩和への過度の依存に伴う資産価格の異常な高騰(資産バブル)は、今後金利が上昇するに伴い抑制されるかもしれない。その一方で気掛かりなのは、積極的財政政策が招く、将来的な財政赤字の拡大や経常収支の赤字である。投資の内容が限りなく「消費」に近いものとなれば、公費の無駄使いの懸念は高まることとなる。特に、グローバライゼーションを犠牲にする中での財政の拡張では、インフラ拡充によるエマージング諸国型の成長基盤は高まっても、米国に本来比較優位がある技術革新の盛り上がりによる成長加速を期待することは難しいかもしれない。

最後に「規制強化」から「規制緩和」へのシフトであるが、短期的には、特に環境規制面でシェールガス等の資源開発が容易になる面は、プラスの効果がありそうだ。また金融規制面でも、ドット・フランク法等一度成立した規制を撤廃することは難しくても、新たな規制導入を防ぐ、或いは過去の規制も実質骨抜きとすることで、金融機関の規制負担を軽くし、これにより金融仲介機能を強化する効果も期待できる。実際、トランプ氏が大統領選で勝利して以降、株式市場はこうした効果を先取りして金融株や資源株を押し上げてきており、既に資産価格上昇を通じた景気浮揚効果は現実化しているといえる。

中長期的にみた場合には、米国等の金融システムの安定性や、地球温暖化といった長い目でみた環境面への影響が気になるところだ。確かに足許は、金融危機以降に導入された様々な施策により、米国を始めとしたグローバル金融システムの危機的事象への耐久度はかなり強くなったといえる。同時に最近では、大手金融機関に対し資本をさらに求める、或いは経営そのものに際し監督当局が直接口を挟むことに対する懸念が強まっている。したがって、振り子が戻るように行き過ぎた規制が是正されることは、「金融システムの抱える不安定性」という視点からみても、決してマイナスではない。但し、既述のとおり、本当に米国の国民が、そのような方向性に納得するかは別問題だ。また環境規制面でも、長期的にみた環境面への負担に加え、多くの米国民の意識からのかい離が政治的不安定性をもたらす懸念は大きい。

 

2017年グローバル経済のベースライン・シナリオとトランプ・リスクの読み方

それでは、新しい3つのトレンドは、2017年のグローバル経済にどのような影響を与えるのであろうか。マクロ経済の短期的浮揚効果という面では、「グローバライゼーション」⇒「フラグメンテーション」はマイナス、「超金融緩和」⇒「財政出動」はプラス、そして「規制強化」⇒「規制緩和」はプラスとなる。この3つの効果を総合すると、筆者の考えでは、2017年には総じてマクロ経済にプラスの影響が加わるように思う。

理由としては、後述するように、「フラグメンテーション」を代表する米新政権の保護貿易主義への動きが、大統領の派手なパフォーマンスがある一方で、現実には非常に限定的な政策に止まるのではないかと考えているためである。さらにここでは、新政権と共和党間で、法人減税やインフラ面での財政支出に関しある程度の合意が比較的早い段階で成立し、秋以降の実際の財政拡張につながるという前提がある。この場合、2017年の米国経済は、前半は、財政支出や規制緩和を期待する資産価格上昇に伴う浮揚効果、後半は実際の財政拡張に伴う浮揚効果が経済を押し上げることとなる。この間、金利高、ドル高の逆風は吹くものの、これは景気浮揚効果の「結果」なのであって、同効果の一部を減殺するにしても、全てが消えてなくなるわけではない。同時に欧州や日本といった先進国経済も、その恩恵を自国通貨安や輸出増加を通じて最大限享受する可能性がある。一方エマージング諸国は、シェールガス増産の余波で原油価格が伸び悩み、米国の金利高が資本流出を促し、為替安⇒物価高⇒金融引き締めをもたらすことで、むしろ景気の下押しが目立つ年となりそうだ。

一方でリスク・シナリオとしては、(1)大統領と閣僚、或いは共和党との意見対立から財政拡張や規制緩和に係る政策実行が進まず、結果的に現在のトランプ相場が大きな巻き戻しにあう、(2)保護貿易主義政策等フラグメンテーションを促す政策が実際に大々的に実施され、これが貿易の縮小や輸入物価の上昇を通じて、米国を始めとした世界経済を大きく下押しする、(3)対中国や中東政策等での米国のアグレッシブな姿勢が軍事的緊張の高まりや偶発的軍事衝突をもたらし、結果的にグローバル・リスクオフの流れが一気に強まる、(4)米国労働市場のスラックが予想外に小さいことで、財政支出の拡大が、大幅な物価上昇⇒大幅な金利高⇒大幅なドル高をもたらす、等が考えられる。

上記のうち、(1)と(2)をメイン・シナリオではなく、あくまでもリスク・シナリオに位置付ける理由としては、トランプ政権が最後は現実主義的政策を志向するという、筆者の予想がある。トランプ氏の場合、「見捨てられた」中産階級への同情を「上から目線」で語るのではなく、一般市井の思考回路や振る舞いまで取り入れて、人々が自分の姿をトランプ氏の発言・行動に重ねることできるようにしたことに特徴がある。トランプ大統領の選挙手法が、これまで彼が大成功を収めてきたリアリティ・ショーのやり方を踏襲したと言われる所以である。

ここで問題となるのは、こうしたリアリティ・ショー的演出が、どこまで本当の「政策」としてシステマチックに採用されるかだ。政策の最終的な出口が、メキシコでの生産に係る原産地規則を厳しくするとか、中国からの一部輸入品に対してダンピング課税するとか、日本からの自動車輸入に再び総枠規制を導入するといったものに止まれば、米国や世界経済に与える影響は限定的なものに止まる。一方で、本気で、メキシコや中国からの輸入品に対し一律35%や45%といった関税を掛ける行動に出れば、米国経済を含む世界経済が大混乱に陥る。筆者としては、トランプ大統領が志向するのは、あくまでも「リアリティ・ショー」的演出により、彼の支持層を次の中間選挙までつなぎ留めておくことであり、それ以上のものではないと考えた。

 

日本が直面するチャンスとピンチ

さて、最後に日本が2017年に直面するシナリオに関して考えてみたい。ベースライン・シナリオは、やはり米国等における新しいトレンドを受けて、堅調な景気が続くと同時に、インフレ圧力が徐々に強まるとみたい。所得環境の改善に加え、円安や原油価格の底堅い動き等の材料が揃ってきているので、足許ようやく下げ止まった日本の物価が、今後反転・上昇していく可能性は非常に高いといえる。米国の金利が今後上昇傾向に入るのならば、尚更である。日本にとっては、念願の「インフレ」がようやく本格化する可能性が見えてきた。

仮にインフレが本格化する兆しが、より明確に見えてきたときに問題となるのは、日本銀行の金融政策に対するスタンスかもしれない。例えば、(1)現状0%を目途にコントロールしている10年物金利であるが、これは物価がどの程度まで上がった時点で解除するのか、或いは、(2)昨年の金融政策の枠組み変更の中で導入された「オーバーシュート型コミットメント」に関し、オーバーシュートの具体的な定義をどうするのか、(3)さらにはコミットメントの対象(表面上はマネタリー・ベースである一方、実質的には-0.1%の政策金利なのか、0%程度の10年物金利なのか、年間80兆円程度とする国債買い入れ額なのか等)をどうするのかは、必ずしも明確ではない。こうした点で市場とのコミュニケーションがうまくいかなければ、長期金利の一時的急騰等、不測の事態を招くかもしれない。

同時に、18年4月の日本銀行総裁交代を控え、政権が日本銀行に対し、金融緩和解除を阻止するような圧力を加えてくるかもしれない。金利上昇は、財政赤字の大幅拡大に直結するので、2019年10月の消費税増税の実行に係る決断、さらには2020年のプライマリーバランス黒字化の目標達成に向けた姿勢が問われる中で、日本銀行の金融引き締めに向けた動きは遅れる可能性も視野に入れておく必要がある。このとき起こるのは、止まらない円安、そしてインフレになるかもしれない。

2017年の難しさは、上記のようなインフレ・シナリオに加えて、これまで同様に、引き続きデフレ・シナリオも考えておく必要があることだ。トランプ相場が巻き戻すような事態となれば、再び急激な円高に見舞われるかもしれない。また仮にトランプ政権が、リアリティ・ショーのパフォーマンスを、現実の政策にまで本気で取り込もうとすれば、中国やメキシコ同様、「悪役」として分かりやすい存在である日本は格好の標的となり得る。さらには、仮に米国の中国に対する外交面でのアグレッシブな姿勢が、軍事的な緊張を高めるケースでは、当然ながら日本に対しても、大きなネガティブ・インパクトをもたらされる。このように日本の2017年は、色々な意味で、トランプ政権頼みの部分が大きくなりそうだ。

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