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「持続可能な」ESG戦略~EとSを支えるGをどう構築するか?

東洋経済新報社主催カンファレンス「健全かつ持続可能な企業経営の本質」開催レポート

ESG指数への組み込みは企業にとってわかりやすいゴールである一方で、各評価機関の要求にただ応え続けるだけの活動は長続きしません。社会・環境課題の自社にとっての意味を再確認し、経営そのものの中に自然に取り込まれる状態を目指す必要があり、その鍵となるのがガバナンスです。本カンファレンスでは、デロイト サステナビリティ日本統括責任者の達脇恵子が、多くのアドバイザリー業務の実績・経験に基づき、ゴールの設定からリスクマネジメント、グループガバナンス、開示等、既存のガバナンスにE(Environment:環境)、S(Social:社会)の要素をどのように組み込むべきかという観点で講演を行いました。

開催概要

催事名:健全かつ持続可能な企業経営の本質 決定版ESG

主催:東洋経済新報社

開催日時:2018年7月12日(木) 13:00~17:25

開催場所:東京ミッドタウン日比谷 BaseQ

講演内容

ESGを取り巻く最近のトレンド

• 国連責任投資原則(PRI)の署名機関数と運用資産額が継続的に増加している。

• SDGsについては、様々なプレーヤーが世界の共通言語として活用している。

• 世界のリスク認識において、環境、社会リスクは「発生可能性」と「影響の大きさ」という2つの側面から大きな位置を占める。デロイトの調査(「価値創造を目指して:過信をせずにリスクを見直す」 (英語版))によると、経営層の重視する事業戦略上のリスクは「サステナビリティ/企業の社会的責任(CSR)」であった。

• 特に近年では、環境、社会リスクの中でも、気候変動のリスク・機会を開示するという動きが強まっている。こういった動きは、気候関連財務ディスクロージャータスクフォース(TCFD)の影響を強く受けたものと考えられる。

  • こういったESGに対する注目度の高まりは、一時的なトレンドと考えるべきではない。企業は、経営の意思決定や実行の場面で、ESGを継続的に考慮する必要があり、自社のガバナンスにE、Sの視点を組み込むことが求められている。

企業に求められる対応(取締役会のおけるESGの組み込み)

  • 有限責任監査法人トーマツが経済産業省から委託を受け実施した調査(「コーポレートガバナンスに関するアンケート調査結果2017年版 」)によると、社外取締役の役割の一つとして、「株主/その他ステークホルダーの意見を取締役会に反映させる」ということを重視している企業が、一定割合存在する。こういった役割を持つ社外取締役は、企業が社会の声を経営に取り込む上で、社会の声の代弁者として機能しうるのではないか。

• その他、役員報酬へのESG要素の組み込みや、全社的リスクマネジメント(ERM)へのサステナビリティの組み込み等に取り組む企業も出てきている。

企業に求められる対応(戦略立案プロセスへのESGの組み込み)

• 従来、多くの企業では事業戦略策定とESGリスク・機会認識は統合されていなかった。しかし、近年一部の企業では、中期経営計画策定の初期において社会課題を考慮した重点課題の特定を実施し始めており、自社の戦略立案プロセスにESGを統合させる動きが強まっている。

企業に求められる対応(リスクマネジメントへのESGリスクの組み込み)

• 投資家は、脆弱なガバナンスによるリスク認識不足を懸念している。そのため、ESGリスクについてもリスク・機会を見える化し、マネジメント層の認識共有を図る必要がある。

• ESGリスク・機会については、将来予測をベースとしたバックキャストによって抽出することが重要である。そのヒントになるのが持続可能な開発目標(SDGs)である。SDGsの各項目に関しては、2030年へ向けて世界中で課題解決のための取り組みが行われるため、それにより様々な環境変化が見込まれる。言葉を換えれば、SDGsは世界の環境変化のリストと見ることもでき、環境変化には必ずリスク・機会が伴う。また、SDGs以外にも、TCFDのフレームワーク等は、様々な社会課題関連リスクを考慮する際の枠組みとして有効である。

• 現在多くの企業は、長期的な観点でのリスクの洗い出しを実施していないのが現状であるが、一部の企業では全社的リスクマネジメント(ERM)委員会の中で長期的リスクを取り扱うという動きもある。

• ERMにESGを組み込むだけでは、企業の対応として不十分であるということも事実である。企業は、ESGを考慮したリスクマネジメントプロセスを透明性ある開示で説明することが求められている。

関連サービス

デロイト トーマツ グループでは国内外で拡大するESG(環境・社会・ガバナンス)投資トレンド、企業のESG経営、ESGにおける最新動向の発信など、企業価値を向上するためのさまざまな活動を行っています。ESGに関連するサービスはESG・統合報告アドバイザリーをご覧ください。

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