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PMI (Post-Merger Integration)の重要性と統合ポイントの検討
グローバルM&Aを例にした、上智大学 経済学部での講義とワークショップ
2019年7月17日、デロイト トーマツ グループにてリスクアドバイザリーを提供する岡部 貴士ら5名のチームが、上智大学 経済学部 網倉久永教授のゼミナールにて、M&A後の統合(PMI: Post-Merger Integration)に関する講義とワークショップのファシリテーションを行いました。本記事では、授業とワークショップの模様をお伝えします。
PMIのプロセスには、明確な終わりがない
日本企業の成長戦略のひとつであるグローバルM&A。デロイト トーマツ グループでは、企業のグローバルM&A戦略の立案、実行支援に加え、PMIのフェーズにおけるリスクアドバイザリーの一環として組織やガバナンスの設計、内部統制の高度化等アドバイザリー業務を提供しています。
講義の冒頭には、PMIに関する前提知識として、「M&Aの一般的な流れ」について、リスクアドバイザリー事業本部の藤澤慶晃が解説を行いました。
<M&Aの一般的な流れ>
PMIに関して、「PMIのプロセスに明確な終わりはない」としたうえで、統合後、迅速に事業や組織を成長軌道に乗せるための初期的なPMIだけではなく、”Post PMI”として中長期視点で確実にシナジーを創出し続けるため、ハード(ガバナンスや経営管理)、ソフト(価値観・文化)の両方の要素に対して、継続的な改善に取り組むことが重要である、と藤澤は述べました。

シナジー最大化のためのPMIを検討する
後半は、リスクアドバイザリー事業本部の田村有が講義を行いました。PMIの目的として「経営戦略、およびそれと整合するM&Aの目的であるシナジー効果の実現」と、「シナジー最大化による企業価値の継続的な向上」の2つを挙げ、「成長軌道」と「成長持続」の壁を乗り越える必要がある、と講義を始めました。
<PMIの目的>
その後、「架空の企業A社が、B社を買収する際に想定されるPMI上の課題を抽出し、円滑に統合を進めるためのPMI計画を策定せよ」というテーマで、学生たちによるワークショップが行われました。学生たちが事前課題としてグループで取り組み、立案したA社のM&A計画にて想定買収先として選定したB社との統合に向け、PMI計画を策定するものです。デロイト トーマツのプロフェッショナルのファシリテーションの下、M&A後にどのような統合ポイントがあるのか洗い出し、優先順位をつけることで、より迅速に新組織を立ち上げ、シナジー効果に寄与する計画を検討します。
各グループがそれぞれディスカッションした内容を発表し、網倉教授からの指摘や、他のグループからの質問、デロイト トーマツのプロフェッショナルからのフィードバックを受け、活発な議論が行われました。各グループの発表後には、田村よりPMIの検討項目例を例示し、学生たちは自分たちのグループの発表について、どこに問題があったかを振り返りました。学生の皆さんには、統合に際し、Day 1(統合日)やDay 100(優先度の高い統合作業完了の目安)などのマイルストーンまでのごく僅かな期間で多岐に渡る論点をつぶし込む必要のあるPMIの難しさや、M&Aの目的達成のために不可欠となるPMIの重要性について理解頂いたようでした。
<PMIにおける統合ポイント(例)>
講義とワークショップの終了後には、出席した学生の皆さんから多くの質問が出るなど、グローバルM&AやPMIに関するアドバイザリー業務等への関心の高さがうかがえました。
デロイト トーマツ グループでは、企業のM&A戦略の立案、実行支援から、M&A後の統合まで、M&Aのあらゆるフェーズに関わる支援を行っており、今回講義を行った有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部では、内部統制の高度化を目的としたPMIの支援を提供しています。今後も産学官連携を通じた活動で、企業が直面する様々な経営上のリスクに対する知見を深めるとともに、人材の育成に関わる活動を継続的に実施してまいります。
M&AやPMIに関わるサービスにご関心のある企業のご担当者様はもちろんのこと、デロイト トーマツ グループにおける人材育成に関わる活動との連携にご関心のある教育機関のご担当者様は、お問合せフォームよりご連絡ください。

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