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欧州サステナビリティ法規制(CSDDD・バッテリー規則等)対応アドバイザリー

デューデリジェンス(DD)方針の策定、人権・環境DDの実施、第三者検証取得に至る取り組みを支援

欧州では環境保護と気候変動対策、人権保護、競争力強化、デジタル化と透明性の向上を目的としたサステナビリティ関連法令が多数存在し、欧州企業をはじめ、欧州に拠点のある日系企業、そしてその取引先企業は対応する必要があります。対応に向けて、重点トレンドを抑えた、デューデリジェンス方針の策定から、人権・環境デューデリジェンス(DD)の実施、第三者検証取得に至る支援サービスをご紹介します。

欧州サステナビリティ法規制に関する外的要請

欧州委員会は注力政策である欧州グリーン・ディールの推進、また持続可能な開発目標(SDGs)を目指し、さまざまなサステナビリティに関連する法令を準備・発令しています。ひとつひとつの法令の要求事項に差異はあれども、根本は環境保護と気候変動対策、社会的責任と人権保護、経済の持続可能性と競争力強化、デジタル化と透明性の向上を目的としており、相互に補完し合うものとして設定されています。欧州企業をはじめ、欧州に拠点のある日系企業、そしてその取引先企業は、これらの法令に対応する必要があり、裏を返せば、法令対応を通じた持続可能なビジネスモデルを構築できなければ、欧州域内でのビジネス活動が難しくなる可能性があります。

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一方、これら法令には細かい規則があり、また法令の数も多いことから、企業としては限られたリソースのなかで、網羅的、かつ効率的な対応をしていく必要があります。そのためには、欧州サステナビリティ法規制に共通する、「原料サプライヤーの特定」「デジタルプロダクトパスポート化を見据えた製品情報のデジタル管理」「第三者検証の取得によるデューデリジェンスの効率化」という3つのトレンドを押さえておくことが重要です。

① 原料サプライヤーの特定

長期的な競争力の維持のためには、枯渇のリスクがある、または需要が急増する原材料の確保が、欧州市場にとっては急務です。さらに持続可能な方法で原料を調達しているかを確認することは、環境および社会的責任を果たすための第一歩となります。そのような背景から、バッテリー規則(Battery Regulation)や重要原材料法(Critical Raw Materials Act)では、重点原材料の調達先の特定やデューデリジェンスを義務として規定しています。またEUDR(欧州森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation))の要件には、原料サプライヤーが森林破壊や非倫理的な労働慣行に加担していないことを確認することが、企業の対応として求められています。

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② デジタルプロダクトパスポート化を見据えた製品情報のデジタル管理

消費者や規制当局への情報提供を行うためのデジタルプロダクトパスポート(Digital Product Passport)の導入に向けて、製品のライフサイクル全体にわたる透明性のある製品情報を、企業はデジタル形式で管理していく必要があります。このようなデジタル管理を見据えた法令は、エコデザイン規則(Ecodesign Regulation)、バッテリー規則(Battery Regulation)の要件にも一部含まれており、将来的には多くの製品がその対象となることが想定されます。

 

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③ 第三者検証を取得によるデューデリジェンスの効率化

CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)やForced Labour Banに対応するためには、企業が人権および環境リスクを適切に管理していることを明らかにする必要があります。そのためには各社が独自にSAQをサプライヤーに送付、サプライヤーは多種多様なSAQに回答していくという状況が発生し、かなりの作業負荷がサプライヤーにかかっていきます。このような事態を回避していくひとつの方策として、社会・環境に関する第三検証の取得が挙げられます。
第三者検証の取得によって、企業の取り組みが客観的に評価され、ステークホルダーからの信頼も向上するだけでなく、SAQを代替するものとして、サプライチェーン全体にわたるデューデリジェンスを効率化することができ、今後、第三者検証の取得を推奨される或いは推奨するケースが増えていくことが想定されます。

 

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デロイト トーマツ グループの欧州サステナビリティ関連法規制対応に関連するサービス

上記のトレンドを踏まえて、デロイト トーマツでは、デューデリジェンス方針の策定から、人権・環境デューデリジェンス(DD)の実施、第三者検証取得に至る取り組みを支援しています。

■ 各法規の網羅的なフィット&ギャップ分析

欧州サステナビリティ関連法規制への対応の第一歩は網羅的なフィット&ギャップ分析です。難解かつ複雑を極める各法規の要請事項をもとに、既存の取り組みでカバーできるものと、改善、もしくは新規に取り組みを検討すべきものを識別し、いつまでに誰が対応するべきかのロードマップを策定していきます。各関連部署、またグローバルでの巻き込みが必要なことから、垣根を越えたワーキンググループを組成、日英でのワークショップを実施し、コミュニケーションに重点を置いた対応も可能です。

■ 法規の適用範囲の確認、法規のアップデートの定期的な情報提供

「法規の解釈がわからないから、専門家から意見を聞きたい」「法規動向にキャッチアップしておきたいが、リソースが限られている」「どのグループ会社が法規の適用となるか確認したい」などの声に対応できるよう、デロイト トーマツでは当グループ弁護士法人(DT弁護士法人)とも連携し法規認証部の方のリクエストに応四えるサービスも提供しております。法規に関するQ&A対応、四半期の欧州サステナビリティ関連法規制のアップデートの情報提供、適用会社の調査などのご要望にお応えします。

■ デューデリジェンス方針の策定、契約要件の確認

バッテリー規則(Battery Regulation)やCSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)ではデューデリジェンス方針の策定を求めており、これは企業の行動規範と紐づけられ、契約書や同意書をもってサプライヤーへも要請される必要があります。また人権のみならず、環境も含めた内容である必要があることから、当該法規の適応を受ける企業の多くがその新設を検討しています。デロイト トーマツでは、企業の理念体系や方針類の企業内の承認プロセスに鑑み、他社ベンチマーク調査も行いながら、デューデリジェンス方針の策定の支援、並びに契約書などに盛り込むべき条項の要件定義を確認します。

■ 人権・環境リスク評価設計、BIツールを用いた内製化

CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)では、デューデリジェンスの基本である負の影響を特定、停止・防止し、救済を行うことが求められ、かついずれのステップでもステークホルダーの巻き込みが要請されています。また人権のみならず、環境デューデリジェンスが新たな取り組み事項として、各社対応が必要となると想定されます。
デロイト トーマツでは、バリューチェーンマッピングの作成、企業の事業や組織の特性、潜在的なリスクを含めたリスク評価や優先順位付け、SAQによる書面調査票の作成やヒアリング・フィードバック方法についての助言を、自社・グループ会社・国内外のサプライヤーへの展開を見据えて助言します。また内製化を見据えてBIツールを用いての情報収集や調査結果の分析なども支援しています。

■ 外部からの苦情も受け付ける苦情処理システムの構築と有事対応フロー設計

デューデリジェンスを求める多くの欧州サステナビリティ法規制では、苦情処理メカニズムの構築をそのうちに含めており、その受付対象は社内のみならず、社外、サプライヤーにまでに開かれていることを要請しています。その場合、既存の内部通報制度だけでは事足りず、制度の見直しや、場合によっては新しい窓口の設定が必要となります。サプライチェーンにおける有事の際の実施事項の明確化、受付窓口・体制・担当部署の明確化、有事の重要性評価の設計、クローズ・取引停止の評価設計、外部協力者とのエンゲージメントの必要の可否の評価設計、対応期間の検討、開示方法の検討等を通じて、苦情処理システム高度化を目指します。

■ グローバルでのサステナビリティ推進のための管理・報告・ガバナンス体制構築

欧州サステナビリティ法規制対応の特徴として、多くの企業での悩みポイントとしてあがるのが、適用対象が第三国企業かEU企業かによって、GHQや本社が主導して行うべきタスクと、各リージョンや事業会社で推進すべきタスクを識別することです。またタスクを切り分けたとしてもグローバルでガバナンスを効かせて、各活動を推進していく必要があることから、改めての体制構築が必要となることも少なくありません。
デロイト トーマツでは、欧州サステナビリティ法規制対応を契機に、推進力を持ったサステナビリティ活動をグローバルに展開していために、経営企画・サステナビリティ推進・人事・環境・調達など多岐に渡る関連部署を巻き込んだ社内体制の構築を支援します。あるべき姿を特定し、各拠点・部署・責任者の役割を明確にしながら、監督・執行・報告ラインを定め、規定・手順書の作成の助言を行います。

■ 第三者検証取得に向けたフィット&ギャップ分析と対応策検討

欧州の顧客からの要請事項として、サステナビリティ監査、人権・環境の各テーマ別監査や認証、業界別監査などの要請があった場合に、監査・検証を受けるまでに、認証・監査の要求事項を理解し、要求事項に対する不足を埋めておく必要があります。事前対応に向けた社内勉強会の実施、要求事項に対するフィット&ギャップ分析、不足事項の洗い出し、対応検討のための事例や一般的なアプローチの紹介、各種手順書の改定・作成をサポートしています。

デロイト トーマツ グループの強み

■ 人権・環境などサステナビリティの専門性とIT、ガバナンス、法務、税務にわたる総合的な支援体制

人権・環境リスク評価やCFP算定、リサイクル率アップのための戦略策定から、サプライヤー情報のデジタル管理、税務申告のためのノウハウなど、欧州サステナビリティ法規制対応には、多岐にわたるナレッジを結集して、総力戦で立ち向かう必要があります。デロイト トーマツは、サステナビリティに関する専門家に加え、法務、税務、IT、グローバルガバナンス等、様々な専門性を有したメンバーでチームを組成し、取り組みを支援します。また、欧州サステナビリティ法規制対応を発射台に、全社的リスクマネジメント(ERM)やサプライチェーンマネジメントの見直し、ガバナンス体制構築などの展開にも柔軟に対応しています。

■ 横断的な法規の解釈と対応を、広範なデロイト グローバルネットワークで実現

バッテリー規則(Battery Regulation)、CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)、EUDR(EU Deforestation Regulation)など、ひとつひとつの法規対応に応じるだけではなく、これらの欧州サステナビリティ関連法規制を横断的にウオッチし、グローバルの専門家を配置しながら、各社の対応策を討議・検討していることから、網羅的、かつ横断的な対応に関する助言が可能となっています。また、欧州の現地拠点に対する支援と本社に対する支援を平行させる並走体制での支援実績も多数有しています。

プロフェッショナル

松本 拓也/Takuya Matsumoto

松本 拓也/Takuya Matsumoto

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

シンクタンクにてコンサルティング業務に従事した後、有限責任監査法人トーマツに入社。 監査業務の経験を経た後、現在は、グローバルリスクマネジメント/コンプライアンス体制構築を中心に、グループガバナンス再構築、危機管理体制構築、内部統制構築、内部監査等のアドバイザリーサービスを数多く手掛ける。 主な著書に『最新 コーポレートガバナンスのすべて』(共著、日本実業出版)他 米国デラウェア州公認会計士/公認... さらに見る