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Imperial College London Innovations、技術商用化のための人工知能(AI)ソリューションを紹介

2017年12月5日、デロイト トーマツ コンサルティングは人工知能に関するイベントを開催しました。そこでは、Cogent LabsとImperial College London Technology Transfer Programにより、7つのAIソリューションが紹介されました。本記事では、そのイベントで議論された、「AIとデータの関係は?」「世界におけるAIとその影響とは?」という問いへの仮説を提示しています。また、ここ日本におけるAIとの関わりと経済見通しについて考察しています。

2017年12月5日、東京・丸の内にて、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下DTC)主催により、Cogent LabsよりDavid Malkin博士(AIアーキテクト)とMax Frenzel博士(科学研究員)、英国Imperial College LondonよりAlex Garcia氏(技術ライセンスエグゼクティブ)を迎え、AI関連ビジネスの近年の傾向と技術移転についてのピッチセッションが行われました。DTCからはInnovationリーダーの藤井剛とDigitalリーダーのFabian Wongがピッチセッションに続いて開催されたネットワーキング・レセプションに参加しました。

デロイトは、最先端の技術開発を実践する学術機関や研究機関と世界規模で提携し、DTCは日本での技術移転活動を促進しています。その活動の一環として、AIエキスパートやイノベーターを擁するImperial College Londonと、トップクラスの技術をイノベーションに変えるための方策を研究しています。

本イベントでは、7つのAIソリューションが紹介され、参加者に現在の事業に対するイノベーションの影響と、破壊的な技術が業界の垣根を越える時代に、技術移転が組織に付加する価値について検討する機会が提供されました。例えば、Cogent LabsでAIアーキテクトとして活躍するMalkin博士のチームは、保険、金融、医療、製造、販売、教育など、複数業界での手作業によるデータ入力を不要にするための「Tegaki」を開発しました。「Tegaki」は、紙上の手書き文字を99.22%まで認識することができると報告されています。また、同研究所の科学研究員であるFrenzel博士は、テキストの自動処理、分類、ラベル付けのための自然言語理解エンジンである「Kaidoku」を紹介しました。「Kaidoku」は、データの可視化と解釈を改善し、隠れた関係や傾向を明らかにするために設計されたソリューションです。どちらのソリューションも、既に数社の日本企業で導入された実績があります。そのほか、Face Soft、Logical Contracts、Adaptive Software Systems、Autonomous System Safety、Neural Network Wireless IoT Deviceなどのソリューションについても言及されましたが、いずれもデータ管理機能を備えつつも、各ソリューションの特徴は大変バラエティに富んだものでした。

データは、あらゆる企業にとって基本的な構成要素であり、今や企業の稼ぐ力を創造するための貴重な事業資産となっています。データが重要な事業資産として高く評価されるにつれて、組織間、さらには地域も横断して情報をよりアクセスしやすくすぐに使用できるようにするためのデータを解放することが必要になります。そこで、データを統合するために、機会学習を活用して、自然言語処理を自動化することになります。また、動的にデータ間の関係を理解し、ストレージと権限を管理するためには、データアーキテクチャとガバナンスに関する最新のアプローチが必要となります。また、これに呼応して、データのプライバシーとセキュリティに関する世界的な規制や法的要件が求められるようになります。※1

今後、大量のデータを処理し、事業上意味あるものに変換していくうえで、AIは必須のツールとなるでしょう。これに伴い、AIはさらに進歩を続け、AIベースの商業技術の数は飛躍的に増加し続けることでしょう。このような動きは、日本でもすでに生まれており、今後もますます加速するに違いありません。今後10年間で、人間の仕事の半分がAIに置き換わると言われています。こうした予測に対して、脅威を感じたり、悲観的に論じる意見も聞かれますが、この状況は、熟練した技術者が高齢化し、労働人口の減少が深刻化している日本では、歓迎すべき事態と言えるのではないでしょうか。労働者が余り、仕事の奪い合いが起きている欧米の国々と比較すれば、むしろ日本はAIが浸透しやすい環境にあるといっても良いかもしれません。また、日本の勤勉な労働力と匠の技は、自国の経済を新たな成長の方向に導くための変化の必要に迫られたことで、世界に誇る経験技術を、AIに学ばせ、これをビジネスに浸透させるための豊富な素材となるに違いありません。

1960~80年代に、日本が経済的に大きく成長した時に機能したビジネスモデルや、それを前提とした企業内の各種制度は、もはや通用しない可能性があります。初期のAIツールはまだぜい弱で不安定に見えることがあるかもしれませんが、データを蓄積することで、これらはより改善されていくことが保証されています。※2AIの積極的な活用を通じて、日本の企業のビジネスが再び勢いを取り戻し、ひいては日本の産業競争力を強化することができれば、日本は持続的な経済大国として再定義され、日本の産業界はさらに活性化することでしょう。
 

※1  “Tech Trends 2018: The Symphonic Enterprise.”(デロイトインサイト)下記より引用
https://www2.deloitte.com/insights/us/en/focus/tech-trends.html

※2 Kai-Fu Lee(2017年5月15日)“An Engineer’s Guide to the Artificial Intelligence Galaxy.”下記より引用
http://engineering.columbia.edu/kai-fu-lee-speech

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