国際ルール無視の米関税引き上げ 懸念高まる保護主義の連鎖

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国際ルール無視の米関税引き上げ 懸念高まる保護主義の連鎖

米国の輸入関税引き上げは、誰も望まない貿易戦争に発展する恐れがある。トランプ大統領の保護主義に歯止めをかける冷静な対応が必要だ。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。

日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。

国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。

ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。

中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。

日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。

国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。

ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。

中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。

日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。

国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。

ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。

中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。
 

日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。

国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。

ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。

中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

 

 

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。

 

日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。
 国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。
 ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。
 中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。

(週刊エコノミスト2018年4月10日号に寄稿した内容を一部変更して掲載しています)

米国のトランプ大統領は3月8日、通商拡大法第232条に基づき、鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決めた。同23日には、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動した。

情勢は流動的だが、執筆時点(3月26日)で想定される影響を考察した。
 

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日本製の鉄道レールなどに関税

関税引き上げの対象となる製品は、輸出入の際に商品を分類する世界共通の「HSコード」で決められている。

米国は対象の鉄鋼製品を年間約290億ドル(約3.2兆円)規模、アルミニウム製品を同約170億ドル(約1.9兆円)規模で輸入している。

国別では、鉄鋼製品は、欧州連合(EU)が21%、カナダが18%、韓国が10%、メキシコが9%、ブラジルが8%、日本が6%などの順。アルミニウム製品は、カナダが40%と最も多く、中国11%、ロシア9%、アラブ首長国連邦(UAE)8%などが続く。

ただし、措置発動前日の22日、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU及び韓国からの輸入については、少なくとも5月1日までは対象から除外すると発表された。

これらの国を除くと、措置の対象となる鉄鋼製品は日本からの輸入が最も多い。その規模は年間約17億ドル(約1,900億円)に上る。25%の関税が課されると、単純計算でも日本からの輸出品には約475億円の関税を余計に支払う必要が生じる。今回のトランプ氏の決定が、日本企業にも大きな影響を及ぼすことが分かる。

中でも、貿易額が特に大きいのが鉄道レールや鉄製パイプなどだ。日本政府も、日本企業を対象から除外するよう申し入れていたが、今のところ受け入れられていない。
 

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中間選挙を意識したトランプ大統領の強硬路線

米通商拡大法は1962年に成立。米商務省による調査の結果、調査対象製品の輸入が「米国の安全保障に対する脅威である」と判断された場合に、大統領の権限で「是正措置」を発動できる。

商務省は今回、トランプ氏の指示に基づき2017年4月に調査を開始、2018年2月に「鉄鋼、アルミニウム製品の輸入は安全保障上の脅威である」とする調査結果を公表した。
同法に基づきこれまで26件の調査が行われてきたが「一方的な措置」を禁止する世界貿易機関(WTO)のルールに違反する可能性もあり、措置の発動に踏み切った事例はほとんどない。同法に基づく輸入制限措置を発動するのは82年以来36年ぶりだ。

EUや中国は、米国に対し、「米国が輸入制限を行ったら対抗措置を発動する」と警告する。米国内でも、輸入価格高騰による産業界への影響や、日用品や自動車など最終製品への価格転嫁が消費者に与える影響が懸念されている。上下両院の議員や産業界などからも反対の声が多くあがっていた。

こうした反対を押し切り、トランプ氏は関税引き上げを決定した。トランプ氏は関税引き上げにより米国内の閉鎖された工場が再び稼働し、新規雇用が増えると主張している。11月に予定される中間選挙を強く意識した結果にほかならない。

トランプ政権内にも反対する声があった。経済政策の司令塔と呼ばれた国家経済会議(NEC)のコーン委員長は、「報復措置を招き、米国のためにならない」として、最後まで発動に異議を唱えていた。コーン委員長は、トランプ政権が措置を発表した直後に辞任した。そして翌週、同じく「国際協調派」とされるティラーソン国務長官も更迭された。

こうなると今後のアメリカの通商政策は、ロス商務長官やナバロ通商製造業政策局長など、トランプ氏と似た「保護主義」志向の高官による強引な政策が加速する可能性が高い。

鉄鋼、アルミニウム製品への関税引き上げから間髪を入れずトランプ政権が打ち出したのは、中国の「狙い撃ち」だ。使われた米国国内法は通商法301条だ。米国に対して不当な貿易制限などを行う外国政府に対し、輸入制限など対抗措置を発動する仕組みだ。

トランプ政権は、この措置を担ぎ出すため、米国の企業が中国に進出する際に技術情報や知的財産権の移転が中国政府から不当に求められているという点を挙げる。対抗措置として中国からの輸入品に25%の関税を課すと発表している。対象となる輸入の総額は最大で6兆円規模の見込み。

通商拡大法232条と通商法301条の違いの一つは、措置発動の条件にある(表)。232条の発動条件が「輸入が米国の安全保障を脅かす」のに対し、301条は「米国に対する不当な貿易制限等」である。

米政府が発動できる措置にも違いがある。232条では関税引き上げなど輸入制限が中心なのに対し、301条は輸入制限措置に加えて投資制限や入国制限などの措置を発動できる。

とはいえ、いずれも米国政府の判断に基づき「一方的に」発動するものであり、WTOのルールに違反する可能性が高い点は共通する。
 

日本の役割

EUは3月16日、米国に対する対抗措置案を公表した。米国からEUに年間28億ユーロ(約3,500億円)規模で輸入される製品に対して最大25%の関税をかけるものだ。スウィートコーンや米、タバコ、繊維製品、鉄鋼製品などが対象だ。

中国は当初、鉄鋼、アルミニウム製品の関税引き上げには冷静だった。だが、米国が301条に基づき、中国を「狙い撃ち」にする措置を発表した直後に対抗措置案を公表した。いずれも、発動すれば、米国企業にとって大きな負担になる。

くしくも、トランプ大統領が関税引き上げを決定した3月8日、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の加盟11カ国が、米国を除く「TPP11」協定(正式名称は「CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)」) に署名した。

TPP11は当初、2019年中の発効を目指していたが、米国の輸入制限に自由貿易での対抗軸を打ち出すため、発効を2018年に前倒しする動きがある。

国際ルールから外れた米国の一方的な措置が、国際社会にまかり通ることを許すべきではない。国際ルールに沿えば、各国は米国に対して対抗措置を発動することが妥当と言えるケースがあるかも知れない。しかし、対抗措置を発動することで、保護主義が連鎖し、「貿易戦争」を引き起こすような事態は誰も望んでいない。

TPP11をまとめ上げた日本のリーダーシップに対する期待は大きい。国内の政局をよそに、グローバル情勢は平穏ではない動きが進んでいることに目を向けるべきだろう。

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