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事業戦略と知財戦略

特技懇(特許庁技術懇話会) 287号掲載

本稿では、法務、会計、税務、経営、ビジネスの視点から、企業にとっての知的財産の位置付けと普遍的な知財戦略の本質について解説する。また、欧米企業の事例分析を踏まえながら、事業戦略と知財戦略の関係性を紐解き、今、求められている知財戦略の再構築とその実行方法についても検討したい。

執筆

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
シニアヴァイスプレジデント  小林 誠

抄録

近年では経済のグローバル化が進み、大企業のみならず中小・ベンチャー企業においても既に海外進出を果たしている企業が数多く存在する。また、情報通信技術の革新により、IoT、クラウド、ビッグデータ、AI、ロボティクスなどの次世代産業が勃興し、事業環境から身近な生活環境に至るまで様々な業界ルールが急激に変化している。事業的にも技術的に複雑化し、新興国企業の台頭も含めて益々激化する市場環境において、今後の国際競争力向上のためには、従来のモノづくりのための知財戦略のみに拘らず、時代の潮流に合わせた新たな知財戦略への転換が必要である。

本稿では、法務、会計、税務、経営、ビジネスの視点から、企業にとっての知的財産の位置付けと普遍的な知財戦略の本質について解説する。また、欧米企業の事例分析を踏まえながら、事業戦略と知財戦略の関係性を紐解き、今、求められている知財戦略の再構築とその実行方法についても検討したい。

掲載誌

特技懇 287号(2017年11月15日)

1. はじめに

近年では経済のグローバル化が進み、大企業のみならず中小・ベンチャー企業においても既に海外進出を果たしている企業が数多く存在する。以前は日本企業の海外進出といえば、主に製造機能の海外移転を指すことが多かったが、現在では、営業機能や研究開発機能を現地に保有することも珍しくない。

グローバルでの事業競争が激化する中で、統計データによれば、日本特許庁における特許出願全体は2007年以降減少傾向にあり、日本から海外への特許出願全体も2012年以降漸減傾向にある1)。割合でみてみると、グローバル出願率は増加傾向にあるが、欧米企業と比較した場合、必ずしも十分とは言い難い2)。当然ながら特許は単純な数の議論だけではないものの、同じ土俵に立った場合の競合優位性はどちらが有利かは明白であり、将来の日本企業のグローバルでの競合優位性が懸念される。

また、コンピューティング技術の向上や通信速度の高速化などの情報通信技術の革新によるスマートフォンやウェアラブル等のIoT(Internet of Things)デバイスの爆発的な普及、クラウドビジネスの台頭、AI(Artificial Intelligence)、BD(Big Data)、ロボティクスといった次世代産業の勃興によって、ビジネス環境から身近な生活環境まで様々な業界のルールが大きく変化している。日本企業としては、国際競争力向上のために、従来のモノづくりのための知財戦略のみに拘らず、時代の潮流に合わせた新たな知財戦略への転換が求められている。


本稿では、事業戦略と知財戦略の関係性を紐解き、今、求められている知財戦略の再構築とその実行方法を検討したい。

なお、本稿では説明の簡略化のために、主に特許を念頭に事業戦略と知財戦略の在り方について記載するが、必ずしも特許だけでなく広く知的財産全体を捉えて検討する。また、文中の意見に関する部分は私見であることに予めご留意頂きたい。


1)特許庁「特許行政年次報告書2017 年版」第1 部 第1 章、13 ページ(2017 年)
2)特許庁「特許行政年次報告書2016 年版」第1 部 第1 章、13 ページ(2016 年)


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プロフィール

小林 誠(こばやし まこと)

国際特許事務所において、特許出願、先行技術調査、ベンチャー支援、および特許戦略コンサルティング業務を経て、現職に至る。

M&Aファイナンシャルアドバイザーおよび知的財産コンサルタントとして、製造業およびICT 業界全般のクロスボーダーM&Aアドバイザリー、JV 組成アドバイザリー、ライセンス契約アドバイザリー、ビジネスデューデリジェンス、知的財産デューデリジェンス、事業価値・株式価値・無形資産価値評価、知的財産戦略策定支援、知的財産取引支援、組織再編に伴う知的財産管理体制構築支援、グローバル知的財産管理体制構築支援、技術起点の新規事業開発支援、IPランドスケープ分析などの業務を専門としている。

代表著書「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」(2016年 日経BP社)[共著]

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