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平成27年度税制改正に伴う法人税基本通達等の改正

Japan Tax Newsletter:2015年9月1日号

平成27年7月9日、国税庁は平成27年度税制改正に伴う法人税基本通達等の改正を公表した。受取配当等の益金不算入制度や外国子会社からの受取配当等の取扱い、試験研究費の税額控除制度等についての税制改正に伴い、取扱いを明確化したものになっている。(Japan Tax Newsletter:2015年9月1日号)

はじめに

平成27年7月9日、国税庁は平成27年度税制改正に伴う法人税基本通達等の改正を公表した(平成27年6月30日付「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(課法2-8、課審6-3)。

受取配当等の益金不算入制度や外国子会社からの受取配当等の取扱い、試験研究費の税額控除制度等についての税制改正に伴い、取扱いを明確化したものになっている。このニュースレターでは、特に重要と思われるポイントを紹介する。

1 受取配当等の益金不算入関連

法人が内国法人から受領する配当等については、その株式等の保有割合に応じ、一定割合を益金不算入とすることとされている。平成27年度税制改正により、保有割合に応じた受取配当等の区分の見直しおよび益金不算入割合の見直しが行われたのに伴い、法人税基本通達等も改正された。

特筆すべき点は、関連法人株式等の判定をする際の取得した日についての通達が新設されていることである。

(1) 法基通3-1-7の2、連基通3-1-9(新設)

関連法人株式等(保有割合が3分の1超)に係る受取配当等は、負債利子控除後の100%が益金不算入となる。ここで、保有割合が3分の1超であるかどうかについては、配当等支払法人の株式等の3分の1超を計算期間の初日から末日まで引き続き有しているかを判定する必要がある(法令22の3)。この場合における当該株式等を取得した日は、例えば、株式の取得の原因が次に掲げるものである時には、それぞれ次の日となることが明らかにされた。

  • 株式の購入:当該株式の引渡しのあった日
  • 合併による被合併法人からの株式の移転(適格合併により移転を受けて保有期間を通算する場合(法令22の3③)を除く):合併の効力の生ずる日
  • 分割による分割法人からの株式の移転(適格分割により移転を受けて保有期間を通算する場合(法令22の3③)を除く):分割の効力の生ずる日

この内容は、支配関係および完全支配関係を有することとなった日の判定についての通達(法基通1-3の2-2)に足並みを揃えるものとなっている。支配関係および完全支配関係の判定についての通達については、譲受人が株主としての権利を行使することができることになるのが株式の引渡し時であることを重視したものと解説されている(「法人税基本通達逐条解説」(大蔵財務協会))。

2 外国子会社からの受取配当等関連

(1) 法基通3-3-5、連基通3-3-5(新設)

一定の外国子会社からの受取配当等については、基本的に、その5%相当額を除き95%相当額が益金不算入とされている(法法23の2①)。

平成27年度税制改正により、その配当等の全部または一部が当該外国子会社の本店所在地国の法令において当該外国子会社の所得の計算上損金算入することとされている場合には、当該受取配当等の額は当該益金不算入制度の対象外とすることとされた(新法法123の2②)。

そして、その損金算入される金額が当該配当等の一部の金額であり一定の要件を満たす場合には、その損金算入額に対応する部分の受取配当等(以下「損金算入対応受取配当等」)のみを益金不算入制度の対象外とすることができることとされた(新法法23の2③)。

今回追加された通達においては、当該損金算入対応受取配当等のみを益金不算入制度の対象外とする処理を採用した場合には、損金算入対応受取配当等以外の受取配当等金額について、その5%相当額を除く95%相当額が益金不算入となることが明らかにされている(除かれる5%相当額は受取配当全体の5%ではなく、損金算入対応受取配当等を除いた後の受取配当等金額の5%である点を確認したもの)。

以上を整理すると以下の算式となる。

  • 受取配当等益金不算入額=(受取配当等の額-損金算入対応受取配当等の額)×95%
  • 損金算入対応受取配当等の額=受取配当等の額×支払配当等のうち損金算入された額÷支払配当等総額 等の合理的な方法により計算した金額(新法令222の4④)

(2) 法基通16-3-36の2、連基通19-3-36の2(新設)

また、同時に、この損金算入対応受取配当等のみを益金不算入制度の対象外とする処理を採用した場合における、外国税額控除の取扱いも明らかにされている。

一定の外国子会社からの受取配当等について95%が益金不算入となる場合には、当該受取配当等に係る外国法人税は外国税額控除の対象にならないが、損金算入対応受取配当等に相当する外国法人税の額は外国税額控除の対象になるため、その金額の計算方法を明らかにしたものである。

具体的な計算方法は次のとおりとされている。

  • 外国税額控除の対象になる外国法人税の額=当該配当等の額を課税標準として課される外国法人税の額×支払配当等のうち損金算入された額÷支払配当等総額
1 「新法法」は平成27年度税制改正のうち平成28年4月1日に施行される部分の施行後の法人税法。以下同じ。
2 「新法令」は平成27年度税制改正のうち平成28年4月1日に施行される部分の施行後の法人税法施行令。

3 時価評価法人関連

(1) 法基通12の3-1-2(改正)

連結納税の開始または加入において、連結子法人となる法人は基本的に特定資産の時価評価をすることとされているが(法法61の11①、61の12①)、単元未満株式の買取り、その他これに類する買取りによりやむを得ず100%保有となる場合は、時価評価の対象外とされている。

当該通達はこの「その他これに類する買取り」の例示をしているが、これに平成26年度会社法改正により新設された株式併合による反対株主の株式買取り請求に伴う買取り(会社法182の4①)が追加された。

単元未満株の買取りその他これに類する買取り

  • 会社法192①:単元未満株主の単元未満株式買取請求権に基づく買取り
  • 会社法182の4①:株式併合による反対株主の株式買取請求権に基づく買取り ← 追加
  • 会社法469①:事業譲渡等による反対株主の株式買取請求権に基づく買取り
  • 会社法785①・797①・806①:合併等による反対株主の株式買取請求権に基づく買取り

4 試験研究費の税額控除関連

(1) 措通42の4(3)-2、68の9(3)-2(新設)

試験研究費の税額控除制度は、平成27年度税制改正により内容の見直しが行われ、特別試験研究費については内容の追加や税額控除率の引上げ等の拡充が行われている。このうち、内容の追加については、特定中小企業者等からその有する知的財産権の設定または許諾を受けて行う一定の試験研究で、当該特定中小企業者等との契約または協定に基づいて行われるものに係る試験研究費の額の内その知的財産権の使用料(以下、「当該知的財産権の使用料」)が追加されている(措令27の4⑥八、39の39⑤六)。この特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料のうち、特別試験研究費となるのは、当該知的財産権の使用料であることにつき監査を受け、かつ、その特定中小企業者等の確認を受けた金額で、その金額を支出した事業年度の確定申告書等にその監査および確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされている(措令27の4⑦四、39の39⑥四、措規20⑪、22の23⑪)。

今回追加された通達においては、特定中小企業者等に支払う知的財産権の使用料のうち、監査または確認を受けられない等の理由により証明された金額に該当しないものについても、試験研究費に該当するものであれば、通常の試験研究費としての取扱いは可能であることが明らかにされた。

5 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却または特別控除制度関連

(1) 措通42の12-1~5、68の15の2-1~5

平成27年度税制改正において創設された地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却または特別控除制度(措法42の12、68の15の2)について、通達が新設されている。

本制度の適用上、法人が中小企業者に該当するかどうかは、特定業務施設に該当する建物およびその付属設備ならびに構築物を事業用に供した日の現況によること等の取扱いが明らかにされている。

6 「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(個別通達)の改正

平成27年度税制改正により、平成27年10月1日以後に国内事業者が国外事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合には、リバースチャージ方式による課税方式が導入されることになった。これに伴い、消費税等についての経理処理等について言及した同個別通達(以下「個通」)の改正が行われたものである。

(1) 個通5の2

特定課税仕入れ(課税仕入れのうち、特定仕入れ(事業として他の者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供)に該当するもの)についての経理処理について述べたものである。

特定課税仕入れについては、リバースチャージ方式により仕入れを行った国内事業者が自ら消費税等を納付するため、取引時において消費税等の額に相当する金銭の受払いが無いのであるから、経理処理においても、当該特定課税仕入れの取引の対価の額と区分すべき消費税等の額は無いことを確認している。ただし、当該特定課税仕入れの取引の対価の額に対する消費税等の額に相当する額を、例えば、仮受金および仮払金等としてそれぞれ計上する等仮勘定を用いた経理処理も差し支えないものとされている。

(2) 個通14の2

税抜経理方式を適用している法人が行う取引のうち、登録国外事業者以外の国外事業者から受けた事業者向け以外の電気通信利用役務の提供の取引に係る仮払消費税等の金額は、全額が控除対象外消費税額等になることが明らかにされている。

そして、この場合の当該仮払消費税等の取扱いについて、次のことに留意することとされている。

1) 未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額が当該法人の資産に係るものである場合には、資産に係る控除対象外消費税等の損金算入(法令139の4)の規定の適用を受けることができる。

2) 未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額が当該法人が支出した交際費等に係るものである場合には、個通12(交際費等に係る消費税等の額)注2の取扱いにより、控除対象外消費税額等に相当する金額は、交際費等の額に含まれることになる。

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