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無償減資を行った場合の法人住民税への影響

『国税速報』平成28年1月11日号

平成27年度税制改正により、均等割の税率区分の基準となる資本金等の額について2つの改正があり、平成27年4月1日以後に開始する事業年度からは改正後の規定が適用となります。(『国税速報』平成28年1月11日号)

【疑問相談】地方税(法人住民税)

「無償減資を行った場合の法人住民税への影響」

Question:
当社(3月決算)の会計上の資本金及び資本準備金はそれぞれ50億円で合計100億円ですが、法人税法上の資本金等の額は、前期に取得した自己株式の取得価額△2億円があり、合計98億円となっています。当該自己株式は、証券市場において自己株式を2億円で取得したものです。なお、現在の利益剰余金は△ 130億円です。

このほど、平成28年3月期に無償減資により資本金を1億円まで減資し、49億円を欠損塡補に充てたいと考えています。この場合の法人住民税均等割の税率区分の基準となる資本金等の額を教えてください。

Answer:  
従来は均等割の税率区分の基準となる資本金等の額は、法人税法で規定する資本金等の額と規定されていましたが、平成27年度税制改正により、平成27年4月1日以後開始事業年度においては、改正後の規定が適用されますので留意が必要です。

改正後は、従来の資本金等の額に無償増減資の金額を加減算する措置、また、当該資本金等の額と会社法上の資本金及び資本準備金の合計額いずれか高いほうの金額を用いる措置が講じられています。

【解説】

1. 会計上の処理と税務上の処理

ご質問のケースにおいて、法人税法上は、会計上減少した資本金の額は資本金等の額の加算項目となりますので、無償減資の場合には、無償減資の前後で資本金等の額に変動がありません(法令8① 12)。なお、証券市場において取得した自己株式の取得の対価相当額は、資本金等の額の減算項目となります(法令8① 19)。

均等割の税率区分の基準となる資本金等の額は、従来は法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額又は同条第17号の2に規定する連結個別資本金等の額(地法23①4の5)と規定されており、法人税法上の資本金等の額がそのまま適用されていました。したがって、無償減資による欠損塡補を行った場合、従来は法人税法上の資本金等の額98億円を用いていました。

2. 平成27年度における資本金等の額の改正

平成27年度税制改正により、均等割の税率区分の基準となる資本金等の額について2つの改正があり、平成27年4月1日以後に開始する事業年度からは改正後の規定が適用となります。

(1) 無償増減資等の調整

1つ目の改正は、均等割の税率区分の基準となる資本金等の額について、無償増減資等の金額を加減算する措置を講ずることとなりました。

具体的には、平成22年4月1日以後、利益準備金又はその他利益剰余金による無償増資を行った場合、その増資額を加算します。また、平成13年4月1日から平成18年4月30日までの間に減資(金銭その他の資産を交付したものを除く)による欠損の塡補を行った場合及び資本準備金による欠損の塡補を行った場合、その欠損の塡補に充てた金額を減算します。さらに、平成18年5月1日以後に、剰余金による損失の塡補を行った場合(資本金の額又は資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金として計上してから1年以内に損失の塡補に充てた金額に限ります)、その損失の塡補に充てた金額を減算します。

この改正は、法人事業税資本割(外形標準課税)において既に措置されていたもので、資本割の課税標準と同様の取扱いとなりました。

(2) 資本金と資本準備金の合計額との比較

2つ目の改正は、改正後の地方税法第23条第1項4の5に規定する資本金等の額(すなわち、法人税法上の資本金等の額に1つ目の改正である無償増減資等の金額を加減算した金額)が、会社法上の資本金及び資本準備金の合計額又は出資金の額に満たない場合、資本金等の額は、資本金及び資本準備金の合計額又は出資金の額とする措置を講ずることとなりました。

法人税法上の資本金等の額は、自己株式の買取りや組織再編等によりマイナスされることがあり、場合によっては負の数値になることもあります。この改正により、地方税法上の資本金等の額と会社法上の資本金及び資本準備金の合計額といずれか高いほうを課税標準とすることになりました。

当該改正は、法人事業税資本割(外形標準課税)の課税標準についても同様の改正が講じられています。

(3) 改正後の規定による資本金等の額

ご質問のケースは、平成27年4月1日以後開始事業年度ですので、改正後の規定が適用されます。

貴社で行った無償減資は、平成18年5月1日以後に行った剰余金による損失の塡補であり、当該欠損塡補は資本金の額又は資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金として計上してから1年以内に損失の塡補に充てた金額であるとします。1つ目の改正により、損失の塡補に充てた49億円は、法人税法上の資本金等の額98億円から減算されますので、地方税法上の資本金等の額は49億円(= 98- 49)となります。しかしながら、2つ目の改正により、地方税法上の資本金等の額49億円と会計上の資本金及び資本準備金の合計額51億円といずれか高いほうの金額を課税標準としますので、結果として51億円が均等割の税率区分の基準となる資本金等の額となります。

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