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株式の保有状況に異動があった場合における受取配当等の益金不算入額の計算に関する留意点

『国税速報』平成28年2月15日号

平成27年4月1日以後に開始する事業年度より受取配当等の益金不算入額の計算について見直しが行われました。本件の場合、株式等の区分、控除負債利子の計算(分子)、控除負債利子の計算(分母)、控除負債利子の計算(簡便法)について留意が必要となります。(『国税速報』平成28年2月15日号)

【疑問相談】法人税

「株式の保有状況に異動があった場合における受取配当等の益金不算入額の計算に関する留意点」

Question:
当社(国内メーカー)は、当期(平成 27年4月1日~平成 28年3月 31日)において、保有する株式に係る剰余金の配当(資本剰余金を原資とする配当には該当しない。)を収受しております。株式の保有状況及び当期に収受したこれらの株式に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

【株式の保有状況】

銘柄

当社の保有割合

増減事由

取得日(*1)~
平成26年11月30日

平成26年12月1日~
平成28年3月31日

A社株式(*2)
(内国法人)

20%

60%

第三者からの購入により保有割合増加

(*1) 数年前に取得した株式である。
(*2) 完全子法人株式等には該当しない。また、満期保有目的等有価証券に該当するものである。

銘柄

当社の保有割合

増減事由

取得日(*1)~
平成27年8月5日

平成27年8月6日~
平成28年3月31日

B社株式(*2)
(内国法人)

10%

5%

第三者への売却により保有割合減少

(*1) 数年前に取得した株式である。
(*2) 完全子法人株式等には該当しない。また、その他有価証券に該当するものである。

【当期に収受した剰余金の配当】

支払者 

基準日(*) 

効力発生日 

A社 

平成 27年3月31日

平成 27年6月24日

平成 27年9月30日

平成 27年12月22日

B社 

平成27年3月31日

平成 27年6月27日

平成 27年9月30日

平成 27年12月25日

(*) A社及びB社から前回収受した剰余金の配当の基準日は平成26年9月30日である。

平成27年度税制改正において受取配当等の益金不算入額の計算について改正が行われたと聞いておりますが、当期に収受したA社株式及びB社株式に係る剰余金の配当についてどのような取扱いとなるか教えてください。なお、当社は連結納税制度の適用は受けておりません。

Answer:

平成27年4月1日以後に開始する事業年度より受取配当等の益金不算入額の計算について見直しが行われました。
本件の場合、以下の点について留意が必要となります。

1 株式等の区分

受取配当等の益金不算入額の計算上、株式等の区分の見直しが行われました。

当期に収受した剰余金の配当の元本である株式は以下のとおり区分されます。

支払者 

基準日 

株式等の区分 

A社 

3月31日 

その他の株式等 

9月30日 

関連法人株式等 

B社 

3月31日 

その他の株式等 

9月30日 

非支配目的株式等 

 

2 控除負債利子の計算(分子)

関連法人株式等に係る配当等の益金不算入額の計算上、その事業年度において支払う負債の利子がある場合には、その支払う負債利子の額のうち関連法人株式等に係る部分の金額(控除負債利子)を、その配当等の額から控除することとされています。

本件の場合、控除負債利子の計算上、当期末におけるA社株式の帳簿価額を期末関連法人株式等の帳簿価額として、分子の額に含めることになります。

3 控除負債利子の計算(分母)

その他有価証券に係る評価益等相当額又は評価損等相当額について、総資産の帳簿価額の計算上、調整を要しないことになりました。

本件の場合、前期末及び当期末の総資産の帳簿価額の計算上、その他有価証券であるB社株式に係る評価損益額の調整は不要となります。

4 控除負債利子の計算(簡便法)

簡便法における基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度と見直されました。

当期においては、基準年度が当期のみとなるため、簡便法を選択する場合であっても、原則的な計算方法に基づき控除負債利子の計算を行うことが必要となります。

【解説】

1. 株式等の区分

(1) 株式等の区分及び益金不算入割合

受取配当等の益金不算入の対象となる株式等の区分及び益金不算入割合が以下のとおり見直されました。

株式等の区分 

株式等保有割合 

益金不算入割合 

完全子法人株式等 

100% 

100% 

関連法人株式等 

1/3超
100%未満 

100%(*) 

その他の株式等 

5%超
1/3以下 

50% 

非支配目的株式等 

5%以下 

20% 

(*) 控除負債利子を配当等の額から控除した金額が益金不算入額になります。

(2) 定義

①完全子法人株式等

配当等の額の計算期間を通じて内国法人との間に完全支配関係があった他の内国法人の株式等で一定のものとされています(法法23⑤、法令22の2①)。

② 関連法人株式等

内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の1/3超の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の計算期間の初日からその計算期間の末日まで引き続き有している場合におけるその他の内国法人株式等で、完全子法人株式等以外のものとされています(法法23⑥、法令22の3①)。

なお、計算期間とは、その配当等の額の支払を受ける直前にその配当等の額を支払う他の内国法人により支払われた配当等の額の支払に係る基準日の翌日からその支払を受ける配当等の額の支払に係る基準日までの期間とされており、原則として「直前の配当等の基準日の翌日からその配当等の基準日までの期間」が計算期間となります(法令22の3②)。

ただし、計算期間の起算日について、一定の調整が必要となるケースがありますので留意が必要となります。

③ その他の株式等

完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等とされています(法法23①)。

④被支配目的株式等

内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の5%以下の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の支払に係る基準日において有する場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のものとされています(法法23⑦、法令22の3の2①)。

なお、特定株式投資信託の受益権については、その保有割合に関わらず、非支配目的株式等に区分されます(措法67の6)。ただし、外国株価指数連動型特定株式投資信託については、本制度の対象外となり、全額が益金算入されます。

(3) 本件の場合

収受した剰余金の配当毎に、それぞれいずれの区分に分類されるか検討を行います。

① A社配当(基準日:平成27年3月31日)

平成26年12月1日以降、A社株式の保有割合は継続して60%であり、当該配当の効力発生日(平成27年6月24日)以前6月以上継続して1/3超保有していますが、平成27年度税制改正により、関連法人株式等の判定については、効力発生日基準ではなく計算期間を基礎に行うことに変更されました。

計算期間は平成26年10月1日から平成27年3月31日となります。計算期間の末日である平成27年3月31日における保有割合は60%ですが、平成26年11月30日以前の保有割合は20%であり、計算期間中継続して1/3超を保有していないため、関連法人株式等には該当しません。

また、基準日における保有割合が5%を超えるため、非支配目的株式等にも該当しません。

したがって、いずれにも該当しないことから、その他の株式等に分類されます。

② A社配当(基準日:平成27年9月30日)

計算期間は平成27年4月1日から平成27年9月30日となります。計算期間中の保有割合は継続して60%であり、計算期間中継続して1/3超を保有しているため、関連法人株式等に分類されます。

③ B社配当(基準日:平成27年3月31日)

計算期間は平成26年10月1日から平成27年3月31日となります。計算期間の末日である平成27年3月31日における保有割合は10%であり、計算期間中継続して1/3超を保有しておらず、また、基準日における保有割合が5%を超えるため、関連法人株式等又は非支配目的株式等のいずれにも該当せず、その他の株式等に分類されます。

④ B社配当(基準日:平成27年9月30日)

基準日における保有割合が5%以下のため、非支配目的株式等に分類されます。

2. 控除負債利子の計算(分子)

(1) 控除負債利子の計算方法

関連法人株式等に係る配当等の益金不算入額の計算上、その事業年度において支払う負債の利子がある場合には、その支払う負債利子の額のうち関連法人株式等に係る部分の金額(控除負債利子)を、その配当等の額から控除することとされています(法法23④、法令22)。

控除負債利子は、以下の算式により計算します。

        当期に支払う負債利子の額×B╱A

A(分母):当期末及び前期末の総資産の帳簿価額の合計額
B(分子):当期末及び前期末の期末関連法人株式等の帳簿価額の合計額

なお、分子に含まれる期末関連法人株式等とは、内国法人が有する株式等でその内国法人の各事業年度終了の日の6月前の日の翌日を計算期間の初日とし、その事業年度終了の日を計算期間の末日とした場合に関連法人株式等となる株式等(期末完全子法人株式等を除きます。)とされています(法令22②)。すなわち、控除負債利子の計算上は、計算期間ではなく、原則として、配当等の支払を受ける法人の当期又は前期の期末日以前6月の期間を通じて、発行済株式等の1/3超を有しているか否かについて検討を行うことになるため留意が必要となります。

(2) 本件の場合

A社株式が期末関連法人株式等に該当するか検討を行います(B社株式の検討については省略します。)。

① 前期末

前期末におけるA社株式の保有割合は60%ですが、平成26年11月30日以前の保有割合は20%であり、平成26年10月1日から平成27年3月31日までの期間中継続して1/3超を保有していないため、期末関連法人株式等には該当しません。

② 当期末

平成27年10月1日から平成28年3月31日までの期間のA社株式の保有割合は継続して60%であり、期末関連法人株式等に該当するため、控除負債利子の計算上、当期末におけるA社株式の帳簿価額を分子の額に含めることになります。

3. 控除負債利子の計算(分母)

控除負債利子の計算上、分母の総資産帳簿価額には、その他有価証券に係る評価益等相当額又は評価損等相当額について減算又は加算を行うこととされていましたが、平成27年4月1日以後に開始する事業年度の控除負債利子の計算においては、調整を要しないことになりました。

本件の場合、その他有価証券であるB社株式について、当期末及び前期末において評価損益が計上されている場合であっても、当期における控除負債利子の計算上、当期末及び前期末のB社式に係る評価損益額を総資産の帳簿価額に調整する処理は不要となります。

4. 控除負債利子の計算(簡便法)

控除負債利子の計算については、原則的な計算方法に代えて、基準年度の実績を基礎として簡便的に計算する簡便法を選択することが認められています(法令22④)。

簡便法を選択した場合、控除負債利子は、以下の算式により計算します。

        当期に支払う負債利子の額×B╱A(小数点以下3位未満切捨て)

A:基準年度において支払った負債利子の額の合計額
B:基準年度において原則的な計算方法に基づき算定した控除負債利子の合計額

この簡便法における基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度と見直されました。

したがって、当期においては、基準年度が当期のみとなるため、簡便法を選択する場合であっても、過去の実績を基礎とした簡便的な計算を行うことができず、原則的な計算方法に基づき控除負債利子の計算を行うことが必要となります。

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※本記事は、一般財団法人大蔵財務協会の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。

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